「中小企業には有能な管理者候補がいない」と嘆く必要はまったくない。有能な管理者になるためには資質よりも重要な要素があるのだ。それは、「社長といっしょに夢を実現させよう」と社長に感情移入できる人材かどうか。いわば社長の分身になれる人材を育てることが、管理者育成の王道である。
管理者になるには資質よりも重要な要素がある!
管理者の育成、人材の育成は経営者にとってもっとも重要な仕事のひとつだが、経営管理という視点で考えた場合、ひとりの管理者がコントロールできる範囲には限界がある。ひとりが指導できる範囲は、知的な業務では5人、肉体労働でラインを管理する場合は30人とされている。
たとえば社長が5人を管理するとして、有能な管理者をひとりもつことで管理できる人数は2倍の10人、有能な管理者を5人に増やせば30人を管理できる。管理者がさらに新しい管理者を育成すれば、その数はネズミ算式に増えていく。有能な管理者を育成さえしていれば、会社は成長する。だから、管理者の育成が経営者の重要な仕事なのである。
ところが多くの場合、中小企業に有能な管理者がいない。管理者が社長と従業員との間に入ることでコミュニケーションを妨げたり、管理者が従業員を育成するどころか、彼らの社長に対する信頼をそいで志気を低下させてしまう――そんな例はいくらでもある。有能な管理者を育てるには、どんな方法に取り組めばよいのだろう。
有能な管理者を育てるには、必ずしも有能な管理者を採用しなくてもよい。たんに経営者の身内であるという理由で会社を手伝っていた経営者の弟や甥が、有能な管理者に育つ例はしばしばある。これは、有能な管理者になるためには資質よりもっと重要な要素があることを示している。
優秀な資質をもたない人材を有能な管理者に育成する鉄則。それは「社長といっしょにこの会社をすばらしい会社にしたい!」と社長に感情移入してくれる人材、社長と同じ気持ちになってがんばってくれる分身をつくることである。
一人ひとりの人材は優秀でないかもしれないが、「社長といっしょに夢を実現しよう」と社員と社長が心をひとつにして努力できる組織をつくる。そのためには社長が将来の夢を一生懸命に語らなくてはならない。
すると、その夢を実現したいと思う人たちが集まってくる。優秀な人は少ないかもしれないが、そのなかの比較的優秀な人が夢を実現しようと努力し、能力を高めていく。こうして抜きん出てくる人材が有能な管理者になるのである。
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