ヴェンゲル監督のもっとも優れた点は、長期的視野の広さだと思います。
サッカーの監督というのは常に結果を求められます。
そんな中で、短期の結果を出しつつ、長期的視野を持つことはなかなか困難なことです。
ヴェンゲルは、無敗優勝を達成したチームを早々に解体しました。
ヴィエラ、アンリ、ピレス、キャンベル、リュングベリ、ベルカンプ・・・そうそうたるメンバーが今は一人もいません。
調子がいいとき、うまくいっている時に変革をすることはとても勇気のいることです。
スタジアムの建設費がかさむため、選手の補強費用に予算がさけない状況を考え、チームを若手主体に切り替えていきました。
「スターはとってくるものではない、自前で育てるものだ」
ヴェンゲルの哲学は徹底しています。
「チャンピオンズリーグ(ヨーロッパ最大の大会)の優勝が目標ではない。数年にわたって準決勝、決勝に進めるチームを作るのだ」
この発言は、ヴェンゲルがいかに継続性を重視しているかがわかると思います。
超有名選手を集めて、一時の派手な強さを求めるのではなく、いかに高いレベルを維持するか。
今のチームは、今年でもヨーロッパを制することができるクオリティを持ちながら、完成するのは5年後くらいと見ているようです。
そしてその頃までには、また解体への準備を進めて、新たなチームを作り上げていることでしょう。
会社もチームも継続的に続いていくもの。
だからこそ、短期的な視点ではなく、いかに長期的視野を持てるか。
「今」だけに基準をおかないこと。
大切なことだなと思います。