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霧島くん「あすかっち、今回はジルコニア協会の民間軍事組織に資金援助ありがとう。あすかっちの助けがなかったら、海外に売られた子ども達を救出することは出来なかったよ」
あすか「救出できてよかった。みんな10歳前後で、日本人の子もいたんだよね。ジルコニアになる薬を打たれて売られてたんだよね。ひどい話だ」
了くん「藤村博士の薬、そんなところまで漏れてるのか?」
霧島くん「ああ。若い姿のまま時間を止められて、常連客に飽きられると別の国に売られるんだ。日本人の子は親元に帰されたけど、もうそれ以上成長しない。親御さんは『生きて帰ってきてくればどんな姿でもいい』って泣いて出迎えてたけど、ずっと見た目が子どものままの娘と暮らしていくのは大変だろうな」
霧島くん「彼女はまだ帰れたけど、他の途上国の子達はもう家の労働力として期待できないから親元には帰せない。自活していかなきゃならないんだ。チャリティーオークションでなんとか子ども達の住む家を手に入れたけど、教師を始め、世話をする人間を雇わなくちゃいけない。手に職もつけさせないといけない。頭のいい子は上の学校に行けるよう手配する。これからジルコニア協会は資金集めに奔走するのさ」
あすか(左)「二度とこんなことが起きちゃいけないな」
了くん(右)「いや、これは氷山の一角だと思う。世界中でこういうことがあるんじゃないか?」
霧島くん「ああ、おそらくな。ぼくらはこれからもそういうのと戦わなきゃいけない。戦闘能力が高いきみたちが参加してくれると助かるんだけど、お母さんの介護と、あすかっちの不調があるんじゃね……。ただでさえジルコニアは攻撃性が低くて戦うのに向かないから、兵士を育てるのも大変なんだ。敵を倒そうにも敵もジルコニアになってるからてごわい。でも、向こうで作った薬は不完全だったらしく、不死にはなっていなかった。だから敵を全滅させられたけど……もし向こうで完全な薬が出来て、独裁者の手に入ったら、世界はおしまいだ」
久美子「今回、敵が作った薬が不完全だったのは、途上国に吸血鬼の血液が存在しないせいね。でも、必要な原料は藤村博士の頭の中にしかないわ。そう簡単に同じものは作れやしないわよ」
あすか「海外で10才の子どもがひとりで外なんて歩けないよ。永遠に苦しむ子ども達が気の毒だ」
霧島くん「いや、その……薬が不完全だったから、子ども達も年老いることはないけど不死ではないんだ。それが救いだね。じゃ、ありがとう。あすかっちの新刊、妊婦さん達の間で人気らしいね。子ども達は人類の未来だ、きみがその母親を励ます本が書ける作家でよかったよ。もっとお金持ちになったら、ジルコニア協会への寄付よろしく」
あすか「……」
あすか(左)「救いなんかじゃない。大人なら永遠に生きててもよくて、小さな子が成長しなかったら不死でない方がいいの?そんなこと他人が決めていいわけないじゃないか。私なら、つらくても生きていたいよ……」
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あすかっち達はそれなりの格好をすれば大人に化けることが出来ますが、10才の子ども達ではそれは不可能です。
勿論、子どもに見える大人はいくらでもいますが、彼らは年老います。でも、不完全なジルコニアにされた子ども達は、子どもの姿のまま寿命を迎えるのです。勿論その頃、彼らの頭の中は大人です。そしてその存在は、ジルコニアの秘密のため一生隠され続けるのです。
その苦しみはいかばかりでしょう。
高橋留美子の「人魚の森」をはじめとするホラー漫画の人魚シリーズの主人公の500歳の青年とその相棒の少女は、不死身ですがミドルティーンぐらいです。しかし他の登場人物の中には、幼児のまま800年生きてきた者もいます。常に保護者が必要になるということは生きづらいでしょう。萩尾望都の「ポーの一族」の吸血鬼の主人公達も、一見自由に生きているように見えて、後見人がいつも近くにいます。永遠を自由に生きるには、ある程度大人でなければならないのです。
治安のよい国に生まれ、早い歳で自分の食い扶持を自分で稼げるようになってしまったあすかっち達は、ジルコニアの秘密を守って大人のように振る舞うことが可能です。「相談できる大人達」もかれらを大人として扱ってくれます。それがどんなに稀な幸運であることか、彼らが自覚することはあるでしょうか。













