<お知らせ>
X(旧Twitter)のチャット(DM)が使えなくなりました。
ブログのメッセージボードも無料では変えられません。
ご不便をおかけします。
人物・設定はコチラ↓
久美子(左)「アタシの劇団に、30代の美人がいるんだけど、彼女、ある生活保護受けてる男といい仲になっちゃってね。その男はかつてトロンボーン奏者でドイツにもすんでたことがあるんだけどね、落ちぶれてとあるコレクションのレプリカを作って売って食べてたの。でも、そのコレクションがあまりにも素晴らしすぎる出来で、警察に本物ではないかと通報されて、アカウント削除を繰り返してはあちこちの銀行に口座作って、とうとうすべての銀行から締め出されてしまったの」
久美子「男はNBならまだ、チャンスがあると思ったけれど、彼の健康保険証はもうマークされてて、使えないから、彼女に泣きついて『あなたの保険証のコピーをください』って頼んだの。それは犯罪だけど、そんなこと知らない彼女はかわいそうだと彼に保険証のコピーを渡してしまったのよ。彼はコピーされた保険証で彼女に成りすましてあちこちの銀行に口座を作って、またコレクションを売り始めたの。さらに彼は全国的に口座を増やしたわ。彼女のもとに奇妙な督促状や覚えのないネット通販の買い物のフィッシングメールが一日何通も届き始め、彼女は具合が悪くなって、オペラ歌手を続けられなくなり、お休みしたの」
あすか「その男は生活保護を受けながらオークションで商売してたってことだね。彼女もそれが悪いことだと知らなかった」
久美子「そうよ。30過ぎてもその男に騙されてたことに気づかなかったのね。彼女は今、劇団に復帰してるけど、ほぼ合唱だけやってるわ。セリフが覚えられないんですって」
あすか「人間不信になっちゃったかな」
あすか「なんで騙されちゃったかな」
久美子「ハンサムで話術がすごく巧みだったからね。彼女は彼がいつか生活保護を抜けて立ち直ってトロンボーン奏者に復帰すると思っていたのよ。でも彼はどんどん墜ちて行った」
あすか「でも、彼女ばっかり責められないな」
久美子「彼も彼女も趣味に生きる人だったからね」
あすか「詐欺師ってすぐ近くにいるんだね」
あすか(右)「お嬢様育ちで清らかな心を持っていて、騙されて…」
久美子「そうね。その後ずっと彼女はお金にしがみつくようになって、毎日貯金通帳をチェックするようになったの。で、フェイスブックに登録したら、あの彼がまた友達申請をしてきたので、即、アカウントを削除したそうよ。彼女は家から出られなくなったわ。警察に届けようと思ったけれど、家の恥だからダメだと父親に言われ、カード類すべてを父親に没収されたんですって。日曜日に両親と買い物に出る時以外は外出も電話もメールもネットも禁止され、スマホも取り上げられて、家でひとりでオペラのDVDを見ている日々が1年続いて、やっと劇団に帰れた時はもう役はまったくやらせてもらえなくなったの」
久美子「合唱だけで食べていけないから、もうすぐやめて、お見合いするんですって、トウが立ってるから条件のいい結婚はできないけれど、食べるのには困らないからって。アタシ、夢も希望もない生活考えられないわ。ジルコニアになってよかった。人間のように結婚しなくても済むもの。青春は永遠だし、アンタの記憶をシェアしたおかげでいろんなこと知ったもの」
あすか「私たち、人間だよ、久美子ちゃん。確かに青春は永遠だけど、最低限度文化的な生活をする人間でいるためには身分証明が要る。彼女、いまマイナンバーカードになってパニくってるだろうね、どんどん世の中複雑になって」
久美子「複雑になったっていうことで許しちゃだめよ。アンタは優しいけど、自分自身に優しくない。自分を大事にしない。だから今話したような怪しい人間が寄ってくるかもしれない。今までだってノンコ叔母さんからは愚痴を吐く器にされてたり、おしゃべりな子に脅かされたり、何度も『幸福の王子』になって懲りない。自分を大事にしなさいよ。アンタが『幸福の王子』をやめたらテイカーはいろいろアンタに文句を言ってまたたくさん奪おうとするだろうけどね。自己犠牲を美徳だと思ってるのはよくないわ。もう中途半端にキリスト教に縛られるのもやめなさい。アンタを大事に思って、心配してくれてる人間もいっぱいいるわ」
久美子「落ち着いたらアヴァロン島に行くことができるパスキーの最後の人を探しましょ。”緑の瞳を持つ乙女”ってお祖母ちゃんが言ってた…アンタもアヴァロン島なら、だれにも利用されずに生きられるわ」
あすか「心配かけてごめん。でも、私、いつも『幸福の王子』ってわけじゃないよ」
久美子「アンタの情報欲しいハッカーはいるんだからね。アヴァロン島については把握できないけれど、カメアリくんみたくアンタにアンチな奴もいるんだから、気をつけるのよ」
久美子「あとは、ツヨシくんにもおしゃべりをやめさせないと。不老不死の薬があるなんてしゃべって歩いてるから、アタシのところにも変なメールが来るようになったわ。」
ツヨシ「あすかっち、ぼくの靴下片方ないんだけど、知らない?」
あすか「知るか!自分で探せ」ドカッ!
ツヨシ「OUCH!!」
久美子「あすかっちが騙されない奴が一人はいるようね」
了くん「あすかっちは好きなタイプの人がそばに現れると、嫌われたくなくて黙っちゃうんだよな。それで、好意を示されても、うまく応えられない。損だよ、そういうの」
あすか「嫌われるのが怖いのは、そう。でも自分からアタックしても、うまくいかないんだよ」
了くん「あすかっちは初対面で嫌いなタイプには本音で喋るから、却って仲良くなることもあるよな。で、失ってから好きだったと気づいたり、な。もう怒らないから、愚痴ぐらい聞いてやるよ」
==============
あすかっちが騙されないよう、劇団の先輩の失敗を語る久美子ちゃん。あすかっちが心配でたまりません。了くんも同じです。
あすかっちが、自分自身を好きになれるといいんですけどね。
失敗を恐れるあまり、大きく羽ばたけないあすかっち。お仕事のほうは順調なのにね。
不徳の致すところを知る。
久美子ちゃんにはいろいろな人の人生を聴きましたが、
その人たちのことを思うと、あすかっちまだまだ未熟者。
このエピソードはフィクションです。
私も自分も、周囲の人も大切にできる人間になりたい。
難しいところですが、今からでもきっと間に合う。
いつもフォロー、イイネ、コメありがとうございます。
また来てね。

















