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あすか「有蘭ちゃん…その恰好…」
有蘭「実は夏休み、タイに行って胸と子宮取ってきたんだ」
テレンス「有蘭が迷っていたんで、背中を押したんだよ」
あすか「な、なんてことを(…っていうか、ここの世界線上ではうちらの歳で性別変えられるのか)!親に言った?」
有蘭「お母さんは認めてくれたけど、お父さんはずっと石になったままだよ。きょうだいもよそよそしい。けど、やっと夢を叶えたんだ、あすかっちもいつも言ってたろ、人はなんにでもなれる、なりたいものにある権利があるって。褒めてよ」
あすか「いや、いくらなんでも…きみ、声まで…」
有蘭「声も男らしくなったろ?男性ホルモン注射したのさ」
あすか「本気だったのか…」
有蘭「もちろんだよ。あすかっちの声も男みたいだから、一度病院に行って、男か女か調べてもらったら?」
あすか「仲間に引きずり込もうとするなよ」
有蘭「俺を男だと認めてくれる?」
あすか「健康なのに胸と子宮取ったら、認めざるを得ないじゃないか」
有蘭「認めてくれるんだ。じゃあ、あすかっちの玄関にレインボーフラッグを飾ってよ」
あすか「お断りだ!うちにはLGBTに該当する人間はいない」
有蘭「俺を男だって認めてくれるなら飾れるはずだろ。それに、ジルコニアたちはみんなノンセクシュアルだって、ツヨシが言ってたよ。ツヨシはそうじゃないけど、一人一人ちょっとずつ違うって。あすかっちと了くんはノンセクシュアルだろ?俺、その話聞いてめちゃ嬉しくなったよ。迫害されても頑張るんだろ?」
あすか「ちょっと待て。待て。私は同性愛者じゃないし、本気で人に恋したこともない。まだ分からないのに、どうして旗を掲げたり、君を認めないと迫害されなきゃいけないんだ?」
テレンス「あすかっちはLGBTじゃないの?」
あすか「じゃないよ」
テレンス「じゃ、迫害する側だ」
あすか「なんで2択なんだよ。どうして自分はLGBTじゃないって言ったら同性愛者を差別することになるのかが分からない」
テレンス「あすかっちもカミングアウトすりゃ分かるよ。でも、それでも僕たちはきみたちを受け入れるよ」
あすか「テレンスもLGBTじゃないだろ!」
テレンス「じゃないけど、かれの主張には賛同するから、窓から外にレインボーフラッグ吊るしてるよ」
あすか「その理屈を理解しろって無理だよ。どう考えても今出す結論じゃない。世の中に性別は2つだ。男の子っぽい女の子はいるし、女っぽい男もいていい。けど、有蘭ちゃんはもともとは女の子じゃないか。ただ、もう女やめたから周囲は何も言えない。それだけだよ、きみは男の子だ。そんな旗、掲げる必要ないじゃないか」
有蘭「レインボーフラッグを窓から掲げるのは、同じ境遇の人の励みになるんだよ。また、会合もしやすい。石を投げてくるような奴がいても、同じ境遇の人の家に逃げ込むことができる」
あすか「LGBTって種類いろいろあんだろ。私はどれでもないよ」
有蘭「いや、あすかっちはノンセクだよ。そういう人知ってる」
あすか「私はまだ何にも当てはまらない。決めつけはよせ」
有蘭「あすかっちは嘘ついてる、あれだけ本を読んで、LGBTQについて何も知識がないとは言わせない。自分は該当しないと思い込んでるだけさ」
あすか「きみこそ、トランス男子なのにゲイってどういうことだよ。そんなカミングアウトしたら変な奴につかまっておもちゃにされるぞ」
有蘭「認めろよ、あすかっち。男も女も駄目なら、ノンセクシュアルに決まってる。了くんもそうだよ、きっと」
あすか「違うってば!了くんはそういう欲望を抱かないだけだよ。うちじゃそういう話はタブーなんだよ」
有蘭「そうやってずっとごまかし続けて生きていくのはつらいぞ。本当の自分になれよ」
あすか「今、充分本当の自分だ。」
有蘭「嘘つき!」
あすか「嘘じゃない。きみの世界が狭いだけだ。その証拠に、まだ鞄にはBL本が入ってるだろ。最近は男もBL読む時代だけど、そう多くない。まだ捨てられないなら、きみは女の子だよ」
有蘭「あれは…捨てるつもりだよ」
あすか「そうかい。自分にうそついてるのはきみのほうだと思うけど」
有蘭「俺は嘘なんかついてない。あすかっちの本棚はビッグコミックとかアフタヌーンとか、青年誌のものばかりじゃないか。絶対、女じゃないよ」
あすか「余計なお世話だ」
有蘭「俺はこれからも俺の同志を探し続ける。テレンスも平和を守る同志を探し続けるってよ。あすかっちはどうするんだい」
あすか「もう同志はいるよ。それから、読者にもっと私の本を買ってもらいたいね。笑ってくれたら幸いだ」
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有蘭ちゃんは、もうあすかっちの家に来ないのでしょうか?
あすかっちが買い物を済ませて帰ってみたら、了くんの部屋からレインボーフラッグの垂れ幕が…。引っぺがして了くんを捕まえて訊いてみると、了くんは「おれ達、ノンセクだろ?ジルコニアになった時点ですでにそうなるのに決まってるじゃないか。他人に危害を加えないってだけで充分間違ってないだろ」
と、あっけらかんと言いました。
素材。
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