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あすか「了くん、こんなところで遊んでていいの?仕事休んで大丈夫?」
了くん「大丈夫。おれはクビにはならない」
了くん「男の新人3人雇ったんだけど、3人とも1週間で逃げちゃったよ。力仕事ばかり期待されて疲れるって。最近のZ世代はホネがないよなあ」
あすか「了くん、私達さらにその下の世代だよ?ハハハ」
あすか「私は、しばらくここを楽しむことにしたよ。本も全部読んじゃったし庭もないから散歩もつまんないけど、こうやってベースギターゆっくり聴けるのも悪くない」
了くん「これはクリス・スクワイアの“自由の翼”のソロだよ。お祖母ちゃんならこれ好きなんじゃないかと思うけど、あすかっちは知らないか」
あすか「ん、まあ残念ながら」
ナイチンゲール「まー、うるさい音かき鳴らして楽しそうね」
了くん「ナイチンゲールさん、姉の点滴終わりそうです」
あすか「何でこんなに点滴いっぱいするんですか?」
ナイチンゲール「あなた今回、頭を開けたからね。化膿止めがじゃんじゃん必要なのよ」
藤村博士「高峰さん、少し身体動かしてください。運動不足になりますよ。了くんは……ツヨシくんから聞いたんですが、最近、物騒なケガ2回やってるそうですね」
了くん「ええ……まあ」
藤村博士「どっちも3日で治ったっていうけど、病院には来て下さい」
藤村博士「うちは公に出来ないケガも扱っています。自費になりますけど。きみは回復力が高峰さんの数段上ですが、化膿しないとは限らないんです。深手を負ったときはケチってないで受診して下さい。警察には言いません」
了くん「あすかっちのしてくれた手当は万全だったと思うけどな」
あすか「うん。経口だけどマニュアル通り化膿止め使ったよ。お父さんの棚から持って来ちゃった。点滴の化膿止めもあるんだね、知らなかったよ」
了くん「藤村博士はパーティーでもあんなに上からだった?」
あすか「うーん、私には優しかったけど……」
あすか「あの博士、下戸なの。だからノンアルのル・パラディのパーティーにはピッタリだね。ハタチぐらいの女の子に治験に協力してくれませんか?とか変なナンパしてたよ。ほんとに古代、二人の女神を手玉に取ってたのかねえ」
了くん「5万年以上生きててハタチぐらいの女の子にナンパ?いくら外見が若くても、そういう年の取り方はしたくねーな。世間から置いていかれるのはつらいけど」
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藤村博士は親切で言っているのですが、了くんにとってはうるさいようです。
去年より余裕の、あすかっちの入院生活。
個室をいいことにベースを持ち込んだり、消灯時間を過ぎても寝たふりしてふたりで喋ってたりTVを見てたり。
了くんは心の老いを恐れています。介護施設で年上の後輩も出来ましたが、了くんから見ると何も考えずボーッと育った印象で、いまをときめくZ世代たちが子どもに感じられてしまうのです。一方で了くんは昔の欧米のロックンロールを落ちついた環境で聴いたり弾いたりするのが好きで、同世代の子ども達に馴染めません。あまり気の向かないゲームで出来る友達はみんな昔のロック好きの年長者。了くんは音楽友達が出来ることは嬉しいですが、自分が世間から置いていかれているように感じています。
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