大鐘さん「あすかちゃん、あすかちゃん、4丁目の丸子さんなんだけど、大変なのよ」
あすか「あ、大鐘さんの奥さん、いらっしゃい」
大鐘さん「丸子さん夫婦、一昨日から行方不明だったでしょ」
久美子「入水?」
あすか「うん。10年前から奥さんが認知症になっちゃって、旦那さんがずっと世話してて、その旦那さんも脳に動脈瘤が出来て不安になったんじゃないかって、大鐘さん言ってた」
あすか「二人に子供はいなかったんだって。二人手をつないで海の中に入っていったって」
久美子「……どうして公共サービスを受けなかったのかしら」
ツヨシ「丸子さん?ぼく会ったことないよ。噂は聞くけど……なんだっけ、旦那さんごはん作るの大変だからって、近所の人がお惣菜持っていったんだけど、旦那さん『真仁子は俺の作ったものしか食べないんだよ』って……何か色々面倒くさい相手だよね」
あすか「私達、認知症サポーターだったのに、なんにも知らなかったね。認知症の人とその家族に寄り添うのがお役目なのに」
久美子「家族が閉鎖的なんじゃ仕方ないわ」
了くん「ご遺体、家に戻ってきたってよ」
あすか「丸子さんち行く?」
了くん「おれはやめとく。面識がない」
久美子「アタシも……あんまり気が進まないわ」
アインシュタイン先生「ぼくが行ってくるよ。ご主人とは、よくご挨拶したからね」
久美子「丸子さんってどういう人だったのかしら」
あすか「私が物心ついたときにはもう認知症だったらしいからなぁ……でも、うちの病院に一度も来たことないってさ」
ツヨシ「認知症なのに?」
あすか「お父さん、おかえり」
久美子「叔父様、どうだった?」
アインシュタイン先生「……どうして公共サービスを受けようとしなかったのか、どうしてうちの病院に来たことがなかったか分かったよ。二人は正式の夫婦じゃなかったんだ」
あすか「あれ?今は事実婚でもそれなりにパートナーとして……」
アインシュタイン先生『なんにも関心がなかったみたいだ。奥さんには、まだ他に家族が……ほんとのご亭主がいたんだよ。一緒の墓には入れないだろうね』
アインシュタイン先生「分からない……どうしてご家族に返して養老院に入れてもらわなかったのか……どうして最後まで逃げずにいられたのか……10年も」
アインシュタイン先生「どうして一番苦しい道を選んでしまったんだろうね」
あすか「帰したくなかったんだろうか」
久美子「エゴだわ」
アインシュタイン先生「かれらは二人きりの世界に行ってしまった。もう邪魔をするものはいない」
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老老介護。
お婆さんって最期まで看取ってくれるイメージあるけど、
お爺さんはわりと危ないですよね。
寄り添う腕も払ってしまう人ならば、手の出しようがない。
出来ることの限界を感じたあすかっち達でした。
ハッシュタグリカ
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