藤村博士「ぼくは脳神経外科と産婦人科の者なので、そういうことまでは確証が持てませんが、順調に平坦に生きてきた内田さんや綾倉さんにとって、テストや恋愛が人生のメインイベントだったんじゃないでしょうか。きみのように中学生でものを書くとか取材するなんてことは、彼女らにとってあまりに刺激的だったのでしょう。きみが想像するとおり、彼女らはきみを目の前から消してしまわなければ自分を否定されたような気になってしまったのです」
藤村博士「だから彼女らは、きみの弱みを知るやそれを利用して、きみを追い詰めようとした」
あすか「……そうだね。でも、それは私が悪いんだから仕方がないよ」
藤村博士「きみはいじめ加害者だったから何をされても文句が言えないと?」
あすか「言えないよ」
藤村博士「でも、彼女らは学校裏サイトに、きみの着替えているところを隠し撮りした画像を載せたんでしょう。彼女らもまた、いじめ加害者になったわけですよ。彼女らも何をされてもいい存在ですか?」
あすか「それは分からない。でも多分、私は許されない」
藤村博士「そんなことはありません。きみの身体の大きな傷はクラスの人の知るところとなったでしょう、もう充分です」
あすか「あれは……去年カルト宗教団体を取材していて、うっかりお金を奪われた元信者に同情して、取材として言っちゃいけないことを言ったから……逆上した信者にやられた、その時のなんだ。私が未熟だったから……」
藤村博士「ひどい宗教ですね」
あすか「……そこは、勧誘を断った芸能人がよく不審死してることで有名だった。私はこれですんで運がよかった方なんだ」
藤村博士「その傷を曝されたんでしょう。でも、きみは正しいことを言って負った傷を恥ずかしく思っているんですか?きみは単に内田さんと綾倉さんにいじめられたんです。きみには反撃する権利があります」
あすか「しないよ。そんなことで誰も幸せにならない」
藤村博士「きみはどうして自分を大事にしないんですか?間違っていないなら誇っていい傷です」
藤村博士「でも、ジルコニアの人が1年近く経っても傷がキレイに消えないのはおかしいです。見られたくないなら目立たなくなるようにしたら?きみのお父さんは、やけど治療がうまいんで、今の状態よりかなりよくなると思いますよ」
あすか「うーん」
藤村博士「内田さんや綾倉さんのような暇人には、きみの身体の傷さえうらやましいんでしょうね」
あすか「えー!熨斗つけて差し上げたいほどだよ。でも私、このままでいいよ」
藤村博士「勲章として?」
あすか「うん。どっちみちいつか消えちゃうんだし」
藤村博士「……分かりました。綾倉さんと内田さんは自宅待機だそうですね」
あすか「うん」
藤村博士「きみの話だと、そのふたりはちょっと病気っぽいですね」
あすか「うん。あるいは人格障害かも」
藤村博士「また今回みたいなことがあったら、全力で逃げてください。きみなら教室のドアぐらい壊せるでしょ。女の子なんだから顔は守ってください。異常な人の言うことを聞く必要はありません。きみ自身を大事にすることは、きみが大切に思っている人達を守ることでもあります」
藤村博士「中学生ってのは、スゴくワガママで嫉妬深いもんなんですよ。きみはどうも極端な人と関わりやすいようなので、気をつけてください」
あすか「うん」
あすか「藤村博士って優しいよねー」
了くん「あすかっちはお得意さんだからね。これ以上ケガしないでくれよ」
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今回のことを藤村博士に報告したあすかっちでした。
綾倉さんと内田さんは、停学にもならず、平然と登校してきました。そして、ただの一度もあすかっちに謝ることはありませんでした。嫌味なところも変わりませんでした。ただ、学校裏サイトでのあすかっちへのバッシングはピタリと止みました。
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