あすか(右)「昨日、シャインマスカットが玄関に置いてあったんだけど、買ってきたの了くん?」
了くん(左)「いや、オレ知らない」
あすか「そっかー。じゃ、ツヨシくんかな?昨日うちに誰もいなかったみたいだけど」
了くん「ツヨシは昨日はオレと父さんとずっと一緒だったよ」
あすか「じゃ、誰だろ?お礼言えないなー。暑かったから悪くなっちゃうと思って、全部食べちゃった」
了くん「玄関の中なのか外なのかで答えが変わってくる」
男「それはこのお兄さんのプレゼントだよ。一番高いシャインマスカットだったんだ、美味しかったろ」
あすか「ごちそうさまー。って、わっ、誰?」
男「お兄さん君の小説読んだんだけど、なんで君はお兄さんのこと知ってるのかなって思って」
あすか「な、なんの話か分かんないんだけど……」
男「お兄さんいつも通学してる君を見てるんだけど、ほんとに中学生なんだね」
了くん「なんだよあんた」
あすか「なんでこの家が分かったんですか?」
男「お兄さん配達員だから、一度来た家は忘れないんだ。君んちいい車あるよね、お兄さんの車はポルシェ・ボクスターなんだけど、乗ってみたくない?」
男「君の小説にポルシェに乗った青年が出てくるよね、そして首にタトゥーを入れた女性に『ポルシェをラッピングする奴はいない』って話しかけるだろ、お兄さんあのシーン好きなんだよね」
久美子「ちょっと、おじさん」
ツヨシ「これ以上進んできたら住居侵入だよねー」
久美子「そうよねー」
ツヨシ「あすかっち、なに今の人」
あすか「知らない」
ツヨシ「なんで玄関のカギ閉めてないんだよ、今のおっさん明らかにおかしいよ」
久美子「シャインマスカットってアンタ、知らない人からもらったもの食べちゃダメじゃない」
了くん「ポルシェ・ボクスターならお祖母さんが乗ってたから、知らない人のをわざわざ乗る必要はないよ」
あすか「全員でいっぺんに喋るな!わけわからんわ」
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話の流れで察するに食べ物の配達をしているおっさんですが、あすかっちの小説を読んで中学生だということを知り、興味を持ったようです。どこか自分の心理と共通するものを感じ、会いに来たのでしょうが、シャインマスカットを持って訪ねてきた日は全員が留守でした。2度もやってくるとは執念深いですね。