知らないおじさん | 高峰明日香の明日はどっちだ!

高峰明日香の明日はどっちだ!

SFホームドラマ。永遠の時を生きる「ジルコニア」の少年少女たちの日常と夢と性と悩みがドールによる劇場で石神井公園・池袋・新宿を舞台に繰り広げられます。闇深いです。記事は予約投稿です。

あすか(右)「昨日、シャインマスカットが玄関に置いてあったんだけど、買ってきたの了くん?」

了くん(左)「いや、オレ知らない」

 

あすか「そっかー。じゃ、ツヨシくんかな?昨日うちに誰もいなかったみたいだけど」

了くん「ツヨシは昨日はオレと父さんとずっと一緒だったよ」

 

あすか「じゃ、誰だろ?お礼言えないなー。暑かったから悪くなっちゃうと思って、全部食べちゃった」

了くん「玄関の中なのか外なのかで答えが変わってくる」

 

男「それはこのお兄さんのプレゼントだよ。一番高いシャインマスカットだったんだ、美味しかったろ」

あすか「ごちそうさまー。って、わっ、誰?」

 

男「お兄さん君の小説読んだんだけど、なんで君はお兄さんのこと知ってるのかなって思って」

あすか「な、なんの話か分かんないんだけど……」

男「お兄さんいつも通学してる君を見てるんだけど、ほんとに中学生なんだね」

了くん「なんだよあんた」

 

あすか「なんでこの家が分かったんですか?」

男「お兄さん配達員だから、一度来た家は忘れないんだ。君んちいい車あるよね、お兄さんの車はポルシェ・ボクスターなんだけど、乗ってみたくない?」

 

男「君の小説にポルシェに乗った青年が出てくるよね、そして首にタトゥーを入れた女性に『ポルシェをラッピングする奴はいない』って話しかけるだろ、お兄さんあのシーン好きなんだよね」

 

久美子「ちょっと、おじさん」

 

ツヨシ「これ以上進んできたら住居侵入だよねー」

久美子「そうよねー」

 

ツヨシ「あすかっち、なに今の人」

あすか「知らない」

 

ツヨシ「なんで玄関のカギ閉めてないんだよ、今のおっさん明らかにおかしいよ」

久美子「シャインマスカットってアンタ、知らない人からもらったもの食べちゃダメじゃない」

了くん「ポルシェ・ボクスターならお祖母さんが乗ってたから、知らない人のをわざわざ乗る必要はないよ」

あすか「全員でいっぺんに喋るな!わけわからんわ」

 

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話の流れで察するに食べ物の配達をしているおっさんですが、あすかっちの小説を読んで中学生だということを知り、興味を持ったようです。どこか自分の心理と共通するものを感じ、会いに来たのでしょうが、シャインマスカットを持って訪ねてきた日は全員が留守でした。2度もやってくるとは執念深いですね。