霊能者現る | 高峰明日香の明日はどっちだ!

高峰明日香の明日はどっちだ!

SFホームドラマ。永遠の時を生きる「ジルコニア」の少年少女たちの日常と夢と性と悩みがドールによる劇場で石神井公園・池袋・新宿を舞台に繰り広げられます。闇深いです。記事は予約投稿です。

ツヨシ(右)「神ヨキ子先生、ぼくの前世は何ですか?」

ヨキ子先生(左)「たぐいまれな音楽の才能があった北欧の王子様よ。王子ゆえ音楽のお仕事に就けなかったから、今生でピアニストになれたのよ」

 

久美子「ヨキ子先生、アタシは?」

 

ヨキ子先生(左)「あなたはギリシャ時代にアテナ神殿の巫女だったのよ。かつて一生そこで過ごしたから、今は反動で自由に羽ばたいているわ」

 

あすか(右)「王子に巫女?スピリチュアル系の人ってどうして他人の前世見る時、王子とか巫女とかお姫様系ばっかり言うの?飢饉で飢え死にした農民とか、大名行列の前に飛び出して真っ二つにされた幼児とか、お家騒動で追腹切った侍とかいないの?」

久美子(左)「極端な例ね。ヨキ子先生は悪い例は言わないと思うわ。何回目か前のキラキラな前世を言うのよ」

 

久美子(右奥)「ヨキ子先生、この人の前はどうだったんですか?」

ヨキ子先生(左)「この方の前世は、ジプシーの占い師よ」

あすか(右)「占い、嫌いなんですけど?」

ヨキ子先生「占いはあくまで芸のひとつです。いつも歌ったり踊ったり、人を楽しませていました。今生は人生について学び考えたことや、過去生で知った物語を人に伝える役目がありますよ」

 

あすか(右)「どうして人には役目があるんですか?」

ヨキ子先生「肉体を持たないものはその叡智を正しく人類に伝えられないので、混乱を避けるために人をフィルタとしています」

 

了くん「あんた何だ?」

久美子「了くん、失礼よ。霊能者の神ヨキ子先生よ」

 

ヨキ子先生「あなたは前世で縄文時代の狩猟採集民でしたよ」

久美子「きゃー、了くんは猟師なんですよ」

 

あすかっちの心の声「(このネット時代、ちょっと調べりゃ分かるようなことだよねー。ツヨシくんのお客って変な人多いな)」

 

ヨキ子先生「あなた方は、何度目かの転生で互いに面識があります。その縁に導かれてここにいるのです」

あすかっちの心の声「(こういうセリフもよくあるよね。なんで霊能者ってどの人もそういうことを言うんだろう。過去じゃなくて未来を言ってほしいな)」

 

ツヨシ(中央)「ヨキ子先生すごいでしょ?聞いてびっくりすることばかりさ。TVのローカル局でも特集組んでたね」

あすか(左)「霊感は否定しないけど、普通はそういう人ってTVに出たがらないんじゃない?」

ツヨシ「ヨキ子先生は自信があるんだよ」

 

(パソコンのキーボードを叩く音)

あすか「……神ヨキ子って人、以前に霊感商法で訴えられて裁判に負けてるし。TVっていい加減だよな」

 

=============

 

本物とか偽物とかではなく、それで大儲けをしている人もいますが、TVに出るようなのはだいたいが仕込みのある霊感商法です。夢を売るビジネスです。