霧島「お姉さんにはお目にかかったことがあるんですが……ぼく、こういう者です」
了くん「え?」
了くん「『ジルコニア協会 不死人組合 営業部 霧島昇平』……組合?」
あすか(左)「あんた、こないだの志麻子ちゃんとどうなったの?」
霧島「スマホのSIMカードが届いたので、農園はやめましたよ。今は日本国籍のパスポート持ってます。世界一信用が高い日本のパスポート、うちの組合で用意できますよ。戸籍も手配できるので今は組合と別のとある組織で働いてます。それに母は日本人ですので」
了くん「反社会勢力とか闇社会とか?」
霧島「そういうものではありません。ヴァンパイアや不死者など伝承で語られていて実在するものだけが出入りする、安全を保証するための組合といいますか、ギルドでもあるんですが」
あすか「きみは不死者だったのか」
霧島「あなただって死なない兵士『ジルコニア』でしょう?そうした将来、社会から浮く存在のためにうちの組合があるんです。ぼくも縁あってジルコニアなのでここへ遣わされました。病気・ケガの際の保証をする保険の案内もしてますよ。あなた方もうちを利用する資格があるので知っておく権利があるんです」
霧島「希望されるならあなた方の後見人も務めますが。ぼくじゃ若すぎるというなら適齢の者を遣わします」
あすか「うちはちゃんと保護者がいるよ」
霧島「今朝お目にかかりました。鼻風邪引いたんで診ていただいたんですが、先生は少しずつ若返っていかれますよ。いつか保護者には無理がある歳になられます。そうなったらうちをご利用ください。うちとしてもあなた方のような存在が将来、その辺うろうろというのは困るんです」
了くん「詐欺師にしか見えない」
あすか「私達を闇バイトに使おうとしてないって証明できる?」
霧島「困ったな、こんな疑い深い人たち初めてだ。じゃあ、あすかさんが本多レオンと教会の汚れ仕事を引き受けて何度も悪たれを南米に送っていたという情報を持っていると言えば信じてくれますか?『聖フルールの青い鷹』って裏社会じゃけっこう知られてるんですがね、正体を知ってる人は少ないけど」
あすか「組合はレオン先生にも声をかけたのか」
霧島「かけようとしたら姿をくらましてしまいました」
了くん「ほんとにあやしいな。真っ当ならレオン先生だって入るはずだ」
霧島「手ごわいですね」
了くん「いかにも反社会のものですってカッコウで来るから……」
霧島「いや、このカッコウはもう一つの組織に在籍してるときの服で……白いTシャツにGパンなら信用してもらえますか?」
あすか「もう遅いよ」
霧島「ぼくの別の組織の上の者が、薬害で不死者となった『ジルコニア』の人たちの情報が少ないんで、その薬の出どころを探してみたらここにあたったんですよ。あなた方一家で『ジルコニア』だそうじゃないですか。そんな無作為に仲間を増やされたらうちだってあなた方怪しんでますよ。お互い怪しんでたらいつか抗争になります。それを避けるためにギルドがあるんです。お願いですから信用してください」
了くん「言っておくけど、うちにはその薬は置いていないよ。作り方だってここにはないし、父さんも知らない。他の誰かに知られて無用に兵隊を増やす組織が出て来たらまずい。何か食べる?」
霧島「僕はお腹いっぱいなので結構です。ヴァンパイアなどは人間の血液しか受け付けませんが」
了くん「そうか」
霧島「でも種族によっては普通の人間のように飲み食いしてトイレ行ったりお風呂入ったり、どこも変わらない者もいるので、それはギルドのほうで確認してます。あなた方も普通のものを食べて普通に生活していることは聞いています」
霧島「我々もあなた方のことは調べさせていただきました。おうちの事情や、SF小説に出てくるような体験、奇妙な人脈……その人脈の中にうちも入れていただけるとありがたいかと。そのぐらいに考えてくださってけっこうですので」
あすか「分かったよ。今はそれでいいんだね。霧島さんの顔は覚えておく」
霧島「ありがとうございます」
アインシュタイン先生「霧島くん、そんなとこに突っ立ってないでこっちへおいで」
霧島「あ、はい。お子さん達の信用を得たかったのですが……」
アインシュタイン先生「無理だよ。この子達はそう簡単に陥落しないよ。ぼくだってあすかちゃんの心を開くなんてまだまだだ」
霧島「先に謝っておきます。以前、先生の右足を撃った三下は今、ぼくの上司です。ギルドとは関係ありませんが、トップが薬の秘密を知りたがって……」
アインシュタイン先生「もう脚は生えてきたよ。きみの気にすることじゃない」
霧島「生えてきた?」
アインシュタイン先生「引かないでほしいからどうやってかはひ・み・つ。この子達はぼくのために相当辛い思いをしたんだよ。だから彼らを勧誘しないで。きみは組合の仕事だけやってりゃいいんじゃないの?裏の組織にいると組合に入ってくれる者も入ってくれないんじゃない?」
霧島「いや、それは事情があって……」
アインシュタイン先生「助けが必要なときはこちらから呼ぶよ。きみもなにかつらいことがあったらいつでも連絡して。解決できるか分からないけど、寄り添うことは出来るからね。その時は一緒に悩もう」
霧島「すいません本当に」
霧島「また来ます。勧誘じゃないです」
アインシュタイン先生「うん。あすかちゃんが異界に人脈多いから、こちらにも情報は入ってきてる。きみの組合はずいぶん古くからあるんだね」
あすか(右)「ねぎっちょ不死人ギルドに入ってたの?」
ねぎっちょ(左)「籍だけ置いてるわ。不死じゃないしヴァンパイアじゃないから顔は出さないけど、一応不老長寿だからね。不死者はだいたい身分証明のもの揃えてもらうこととか、便利に使ってるわよ。レオン先生が入らなかったのは前のお仕事を記録されるのがイヤだったからじゃないの?」
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「不死人組合」を容易に信用できなかったあすかっち。未知のものに対する恐怖は尋常ではありません。
でも、いかにも怪しい者ですオーラを纏って現れた霧島くんもまずかったですね。かれが関わっているもう一つの組織も気になりますが、それ以前に了くんとあすかっちを警戒させてしまいました。組合は霧島くんの今回の営業失敗をどう扱うでしょうか。
再登場はあるかな?














