ノンコ(右)「いまどう思ってるかって?今はもうしょうがないけど、最初はすごくいやだったわ」
あすか(左)「なんで?」
ノンコ「気持ち悪いからよ。いつまでも年とらないなんて無気味だわ。全ての生き物は生まれて老いて土に還るのが当然なのに。お母さんは普通じゃないことは嫌いよ」
あすか「普通って……今お母さんが言ったようなことが普通?」
ノンコ「当たり前でしょう。普通で平凡が一番いいのよ」
あすか「お母さんは自分がいなくなることは恐くないの?」
ノンコ「少しも恐くないわ。だってみんないつかは死ぬんだから。自分だけ生きていたいと思うのは悪い人が考えることだわ」
ノンコ「そりゃ、日に日に腰の痛いのがラクになって、足のしびれも取れて、普通に歩いたり走ったり出来るようになったから、少しは毎日楽しくなってきたけど、異世界っていうの?今、そこで教師やってるけど、あそこにいずれ完全に移住しなきゃならなくなったのがいやよ。おばけになるなんて。そんな生活が毎日続くと思うと地獄だわ。いったいどうしたら永遠に生きていたいなんて馬鹿げたことを思いつくのか理解に苦しむわ」
あすか「……そっか」
ノンコ「あすかちゃんだって、小学生みたいな体型のままの身体になっちゃって悩まないの?おかあさんももう、あすかちゃんに弟も妹も産んであげられなくなって残念だわ」
あすか「私は、これから楽しいことがいっぱい待ってると思うんだけど……」
ノンコ「いずれ飽きるわ」
ノンコ「さ、もう寝かせてちょうだい。今日は学校でいろいろあって心理的に疲れたわ」
あすか「不死化したら人間の三大欲求ってなくなるんじゃ?」
ノンコ「人によるわ。お母さん睡眠欲はたっぷりあるの」
あすか「今日だけ一緒にいて。なんか恐い」
ノンコ「眠いって言ったでしょう。アンタみたいに親不孝な子は私の家系にはいないわ」
あすか「……」
あすか「……」
アインシュタイン先生「ノンコさん機嫌悪い?実はぼく、さっきちょっと言葉の行き違いで喧嘩しちゃったんで、そのせいだと思うよ。今から謝ってくる。明日にはノンコさん、機嫌直ってるよ」
あすか「……そっか。先生は自分が不老不死って平気?」
アインシュタイン先生「最初はいやだったけど、今はノンコさんが永遠に一緒にいてくれるっていうから、とっても幸せだよ」
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ノンコさんは40年間普通に生きてきましたから、あすかっちのように永遠の青春なんて飽きてしまっています。静かに年老いて土に還ることを望んでいました。身体は少しずつ若返っていくけれど、心までは年を重ねることを止めることは出来ません。
永遠に働かなければならないのかと思うと、ノンコさんはうんざりなのですね。
一方でアインシュタイン先生は世間知らずだから、まだまだ楽しいことがたくさんあると思っています。しかもお仕事、大して苦もなくやっているようです。
この中では、ノンコさんだけが、現実を見つめて、終わることのない恐怖を味わっているようですね。
私は若くて健康ならいつまでも生きていたいですね。だって科学の発展がこれから先どうなるか、すごく気になりますもん。あすかっちみたいに怪力だったらなににも負けませんし。でも、ひとりぼっちはなるべく避けたいですね。
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