現実社会のあすかっち宅にて。
自治会の人「そんなカッコウでうろつかれちゃご町内の皆さんがおちつかないわ。だいたいどこで手に入れたの、そのセーラー服」
了くん「これは義姉がミリタリーショップで買ってくれた、どっかの国の海軍の制服です。私服として使ってて、誰からも文句を言われたことはありません」
自治会の人「お姉さんが変な趣味なのね」
了くん「義姉は正常です。おばさん失礼ですよ」
あすか(左)「な、なにがあったの?」
久美子(右)「自治会の新会長さんが来てるのよ。了くん男の子なのにセーラー服着てるのおかしいってうるさいの」
了くんの声「男らしく女らしくって誰が決めたんですか。おばさんの子供の頃はそうかもしれないけど今は違うんです。だいたい男物として作られてるのにセーラー襟だからって女子のものって変ですよ。ぼくは男です。だからハーフパンツ穿いてていいでしょう。でもおばさんの言い方だとセーラー襟にはスカート以外考えられないみたいじゃないですか。変ですよああでなくちゃとかこうでなくちゃとか」
久美子「いつもの了くんと全然違う~」
あすか「1対1だとすごいよ最近」
自治会の人「あなたねえ、大人を舐めてんじゃないわよ。社会は常識で出来てるの。おばさんは常識を言ってるの。似合う似合わないのは関係ないのよ。学校に行く時ぐらい学ラン着ろって言われるのがそんなに苦痛?」
了くん「式典の時は学ランで行ってますよ。うちの学校、制服の着用は義務じゃないんです」
自治会の人「そんな話聞いてないわ。女子はみんな制服で通ってるわよ。揃えるお金がない子はジャージ登校だったわ」
了くん「女子の事情まで知りません」
自治会の人「だいたいあなた、元々どこの子なの?お父様も養父だし、お義母様ともまだ事実婚なんでしょ?お父様はお医者様って書いてあるけどどこで開業してるの?医院の住所辿ってったらお名前まるで違う若い先生がひとりいらしたきりよ。不法滞在?でるとこ出てもいいんだけど」
久美子「うわぁ~、たまんない」
了くん「海外にいて、ぼくはまだ下宿だって書いてあるでしょう」
久美子(左)「了くんが『ぼく』だって。ねえツヨシくん、了くんのセーラー服ってそんなに変かしら」
ツヨシ(右)「ぼく、セーラー服以外の了くん知らないからよく分からない。うちのガッコの男子は黒以外も着るし嫌味なくおしゃれだし」
あすか(左)「まあ了くんにしか似合わないってのがどうしようもないけど。大人は似合う似合わないじゃなくてTPOの世界に生きているからね」
自治会の人「いいかげんにしなさい!ゴミ捨て場使わせないわよ」
了くん「それは日本国憲法違反です」
久美子(中央)「やだわ」
了くん「やれやれ、変なおばちゃんだ」
あすか「了くん、普通の服、縫ってあげようか?」
了くん「おれ、べつにあんたに義理立てしてこれ着てるわけじゃないから。これが気に入ってるの」
あすか「うーん、そう言い切られるとなぁ」
了くん「だいたい『らしく』とか言われたって分かんねーよ」
あすか「まあ文金高島田に打ちかけで学校行かないのと同じ理屈なんだけど、うちの学校は前の3年生の男の先輩が文化祭でもないのにそれやって似合いすぎて笑い取れなかったんでなんとも……」
了くん「よし、こうなったらオレ一生これ着るぞ。誰にも文句は言わせない」
あすか「一生って……服、そんなに保たないよ。あと了くん、興奮してキャラ変わってるよ。みんなびっくりしてるよ」
了くん「百ちゃん、お前文句言われなくていいな」
百鬼丸「(その代わり脱げません)」
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了くんについては見慣れすぎてもう誰も変だと思っていないのに、自治会のおばちゃんは声が大きく、みんなを納得させてしまうようです。
以後、了くんは町内名簿に女子欄に掲載されています。自治会のおばちゃん、執念深いですね。
実は自治会のおばちゃんは、若い頃いわゆる「フェミ男くん」に恋して振られて、それ以来少しでもガーリッシュな要素を持つ男子を憎むようになったのです。また、昔、セーラー服は男子向けの子供服だったことも知りません。このぶんだとそのことを知らない人いっぱいいそうですが。
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