百鬼丸「(赤ちゃん可愛いですねえ、ぼくこの子育てたいです、がうがう、あすかちゃん、この子ぼくにください、うんとうんと大事にします、がうがう)」
あすか「百鬼丸、それは出来ない相談だ。今日この子を預かったのは私じゃなくて久美子ちゃんなんだよ。久美子ちゃんがこの子の世話をする。そして時間が来たらこの子の親御さんにお返しする。そういう約束なんだ」
了くん(右)「うちも託児所みたいになってきたな。許可いるんだっけこういう商売」
久美子(左)「口コミで来る程度だから商売じゃないわ。お小遣いが欲しいときやってるの。あたしは今日が初めてなんだけど、替えおむつとか必要なもの全部買うの忘れちゃったの。で、わるいんだけみんな、買い出し手伝ってくれない?百ちゃん、その間この子みてて」
百鬼丸「(分かりました、がうがう)」
赤ん坊「わーん」
百鬼丸「(あ、これはおっぱい欲しい時の匂いです、がうがう)」
ビーちゃん「(百ちゃん、僕たちオスだワン)」
百鬼丸「(オスでもいっぱい出て来ました、これお飲みください)」
帰ってきた久美子ちゃん「え?なにこれ?どうなってんの?」
ビーちゃん「(赤ん坊が百ちゃんのおっぱい吸ってるワン)」
あすか「と、とにかく引き剥がそう」
あすか「なんで?オスなのに」
了くん「オッパイで床がベタベタだ。本物だぜこれ。動物番組でよく見るけど犬の庇護欲ってのはすごいな。性別や種族をいとも簡単に越えてしまう」
あすか「TVは誇張多いからどうだろうな。なんか薬飲ませたりしなかったよね?犬の高プロラクチン血症っての聞いたことないけど、百鬼丸、とくに病気じゃないよね?」
了くん「病気じゃないだろ」
あすか「2匹ともご苦労さん。あとでキッチンにおいで、美味しいものあげる」
百鬼丸「(美味しいものよりあの子のお世話したいです)」
玄関のチャイムが鳴る。
久美子「あらやだ、もう迎えが来ちゃった」
顧客「あらまあ、ニコニコとご機嫌ね。ん?なんか犬臭いわね」
久美子「気、気のせいです」
顧客「どうもありがとう。はい、カードにポイントつけたわよ、ここにサインお願いね」
久美子「はい」
アインシュタイン先生「獣医の知り合いに聞いたんだけどね、ある程度の大きさのある犬ってのは、別種の哺乳類の赤ちゃんが好きであることが多いそうだ。自分より大きかろうが、赤ん坊であることを見抜いてしまい、とにかく可愛がりたいと感じるらしい。だけどその多くは洋犬で、遺伝的にもっとも狼に近いとされる柴犬や、ザ・和犬な秋田犬などがそういう態度に出ることはありえないと。柴犬なのに、百ちゃんはよほど最初の飼い主に愛されたんじゃないかな?1歳11ヶ月と若くして不死化して生殖能力を失っても、弱いものをいたわる気持ちまでは奪われなかった。これは極めてレアケースだよ。ましてやオスなのに母乳が出るなんて。いったいこの宇宙の何が、かれのような犬の存在がこの地上に現れるようプログラミングしたのだろう?」
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飼い犬は、単純に飼い主の真似をするんだと思いますが。
百鬼丸はあすかっちに溺愛されたので、預かった赤ん坊に本能的に愛情を分けてあげようと思ったのでは。
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