あすか「了くん、キッチンにリンゴあるよ。食べない?……どっか具合悪い?」
了「……マクレーンに破門された。……仏像喫茶出禁になった」
あすか「怒りっぽいけど懐深いマクレーンが破門言い渡しって、よっぽど失礼なこと言ったんだねえ」
了「ああ、それもあるな。だけどオレ、仏法分かってないって。分かろうともしてないって。ごく簡単なことを分かってないってさ」
あすか「で、破門?」
了「しつこくしすぎたかもな。オレも先走って自分でも勉強してたし。でも独学では限界があるって分かったからだったんだけど」
仏像喫茶にて。
マクレーン「破門と言った覚えはまったくないが、アイツは全く分かろうとしてねーんだよ。自分から教えを拒否してるコトに気づいてねえ。アイツは当分、仏像喫茶に出入り禁止だ」
あすか「どーしても?」
マクレーン「あいつにはまだ早いんだよ。少し大人になって、人の話を聞けるようになったら出禁やめてもいい。なまじ頭の回転がいいのが災いしてる、短期間に仏教に熱を上げすぎだ。あいつはまだ、我が強くて子供過ぎるぜ。もう少し見聞を広めてからのほうがいい。上っ面なぞっただけじゃ傲慢になるだけで、悟りにはたどり着けない」
あすか「……男子三日逢わざれば刮目して見よ、とは考えてくれない?」
マクレーン「俺は三国志専門じゃねぇよ」
マクレーン「たった三日じゃいくらなんでも無理だぜ。まさに馬の耳に念仏と言いたいところだが、うちは馬肉なんぞ出してねえからな。いまのところ、豚に真珠だよ。」
あすか「ただいま」
了「ドコへ行ってたんだよ。ひょっとして仏像喫茶か?あんたお節介だからな」
あすか「了くん、いつかきっと、分かってもらえる日が来る。私はきみみたいにもともと生真面目じゃないから、仏法に深く関わらない。だけどきみはすごく楽しそうに勉強してた。」
了「ああ、楽しかったよ。そしてこれからも教わったことを忘れない」
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オトコノコというモノは切り替えが早いもので、了くんは翌日から向こう(ファンタジーキャッスル)の家に籠もり、次の狩りの支度を始めました。
かれはファンタジーキャッスルまで写経道具を持ってきていました。
向こうも、そろそろ冬です。
若き猟師に幸あれ。
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