アルフレッド「使用人の私がみなさんより先に2度予防注射終えてしまって心苦しいのですが、決まり事ですので……皆さんはまだ1回目ですね。副反応があったのはツヨシ様だけ、でしたかな。無理せず、2回目の時は早くお休みになってください。では私は買い出しへ行って参ります」
ツヨシ「ぼくだけ熱出て腕が痛くなっちゃって、もう治ったからいいけど、みんな副反応がないなんて。ぼくもヴァンパイアになりたいのに」
あすか「人聞きの悪い。誰がヴァンパイアだ」
ツヨシ「みんな副反応がなかったのはきっとそのせいだ」
了「そんなことまだわかんねーよ」
ツヨシ「ノンコ先生、ぼくの2度目の時はついてきてくれる?」
ノンコ「いいわよ、それで恐くなくなるなら先生付き添いするわ」
あすか「お母さん、最近ツヨシくんに甘いよ。やっぱりツヨシくんのベーゼンドルファー燃やしちゃったから気が引けて?」
ノンコ「まあ、すこしはね」
あすか「発症したら苦しいのかな」
了「そりゃそうだろ」
あすか「副反応だけでもツヨシくんよろよろだったからな――」
了「ツヨシが感染しない最善の策を選ぶに限る」
あすか「私達『キュービックジルコニア』は発症しないんだよね」
了「オレ達はこの手のものの発症はほとんどないけど、自分が感染するのも、他の人間に感染させるのも、普通の人と同じだよ。ワクチン打てば即、何をしてもいいというわけじゃないさ、今まで以上に感染対策が要るよなあ」
============================
ファンタジーキャッスルは医学・医工学が異常に進んでおり、伝染病に関しては日本では死亡率100%の狂犬病さえ治してしまうというレベルです。
それで、王都では殆どの人が伝染病に罹らないのです。
また、効く薬も種族によって違うので、種族別に区分けされていたりします。州によって方針は違いますし、あまりにも田舎なところだと対応が遅れて流行することもあります。
もう、一家挙げてファンタジーキャッスルに逃げてしまえば余計な苦労も要らないのですが、その辺あすかっちたちが真面目すぎるんですよね。
<禁・無断複製転載>