久美子(右)「あら、蒸気機関発明された頃の新聞売りの少年みたいねー」
あすか(左)「そっちこそ宇宙人が着そうな服だねー」
久美子「……で、その服どうしたの?」
あすか「朝起きたら枕元にあった。プレゼント袋にリボンかけて『あすかっちへ』って書いてあった」
久美子「100均のプレゼント袋と見た。了くんだ」
久美子「その服のセンスからして異世界趣味ね。ってことは了くんの手作りだ。狩りに出掛けた時の獲物の革の余ったヤツでしょ。昨日まだ黒いの干してるからなんだろうと思ってたけど、革の塗料が乾いたから仕立てたんだわ」
あすか「うん、靴もぴったりだ。ズボンもカッコイイ」
久美子「いいわね~、自分で猟が出来る人たちって。材料がいくらでもあってさぁ」
あすか「久美子ちゃんも必殺の声で熊や鹿倒せるのに……」
久美子「あたしの声をそんな野蛮なことに使うのイヤよ」
あすか「猟で得たものはヤオヨロズの神から与えられた、肉一片骨の1本も余すことなく使える贈り物だぞ。ありがたく命に感謝して使わせてもらうんだ」
久美子「何か言葉の使い方かなり間違ってると思うけど、ジョークよね?」
あすか「あ、了くん帰ってきた」
久美子「どうもそのハンチング帽、EVAシリーズの白オバケの口にしか見えないんだけど」
あすか「了くん、これありがとう」
了「着てくれたんだね」
あすか「うん。バッチリ好みだよ、ありがと」
了「離れに仕立て部屋作った。ミシンありがとう」
久美子「はあ?どういういきさつ?」
あすか「まあちょっと以前の朝、喧嘩したの。了くんが熊の毛皮縫えるミシン欲しいって言うからお祖父ちゃんのローライフレックス、2台のうち1台手放そうって言ったら、そんなだいじなものもらうわけにいかない、借金するって。でも私、借金キライなんだよね」
久美子「……それが原因?」
了「うん。ローライフレックスってここじゃ人気だね。珍しい色だったから結構な額だった。熊の毛皮縫えるミシンで試しにあすかっちの服、なめしてたハギレで縫ってみたんだ。そんで結構綺麗に縫えて、その服で冒険者にもなれそうだったからどうかなと思って。染料乾いて洗って干してを繰り返して、ってとこが結構キツかったよ。残ったお金で靴底買ってきて靴作ってみた」
あすか「了くん器用だねー、靴ぴったりだよ」
久美子「……バカなの?ミシン1台でつまんない喧嘩。あすかっちはまた幸福の王子やってるし。そんなんじゃ了くんダメになっちゃうわ。了くん、甘えてんじゃないわよ。ツヨシくんみたくなりたくなかったら、あすかっちにお世話になっちゃダメよ」
了「も、もちろん次からは受け取らない」
久美子「あたしにも何か作って~」
了「いいよ。なにか次の獲物仕留めたら、作るよ。採寸はあすかっちにやってもらってくれよ。オレ、ボイン恐いから」
久美子「一言余計なのよ、この2歳児!」
了「あと、革製品着て、州外に出ないでくれ。最近、革製品反対運動家がファンタジーキャッスルにも入ってきてるんだ。王都はまだシルバーフォックスでも歩けるけど、かれら用のレストランもあるから、何か不快なことを言われるかもしれない」
久美子「そんなのへっちゃらよ。ここの王侯貴族は毛皮身につけてるでしょ。それに革製品反対運動家そのものは別に悪い人たちじゃないわ。多くのセレブも支持してるわ」
了「もちろん、いい人も悪い人もいる。一言多いほうの革製品反対運動家が現れると、あすかっちの機嫌が悪くなるんだ。……あすかっちって、なぜか自称・正義の味方が一言言いたくなるような、可憐だけどどこか生意気そうな外見だから、いろいろあったらしくて」
あすか「こらぁ、聞こえてんぞ!」
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特に毛皮反対とか革製品反対とか、そういう人に弁明しているわけではありませんが……。
ドールの服や小物に使われる合皮やエナメルは劣化が早いことが多く、他のものに移ったりして扱いは楽ではありません。
あすかっちが実際に着ている革ものは合皮です。








