6月3日。
ノンコ(右)「あら、ふたりとも対照的なお顔しちゃってどうしたの」
久美子「今日、手塚治虫文化賞の授賞式があったのよ。で、『鬼滅の刃』と『ペリリュー』のうち、どっちが特別賞取らせるか、審査員の里中満智子が迷ってたの。あたしは鬼滅を推してたからバンザイなんだけど、あすかっちが不満みたいなのよ」
ノンコ「あら?あすかちゃんは『鬼滅の刃』大好きだったじゃない。賞獲ったら嬉しくないの?」
あすか「鬼滅の刃は劇場化されて興行収入300億円とかになって、漫画文化向上の役には立ったと思うし、私自身好きだけど、手塚治虫が生きてたら賞は『ペリリュー』に行ったと思うんだよ」
ノンコ「まあ、どうして?」
あすか「手塚治虫ほど戦争を嫌った漫画家は後にも先にもいないから。だから手塚治虫の賞なら『ペリリュー』のほうがふさわしいと思ったんだよ」
あすか「それに、これから鬼滅は秋に第2期がテレビで始まるし、いくらでも賞をもらう機会はあると思うんだよ。でも知名度が劣る『ペリリュー』は今取らなければ忘れ去られてしまう。重版かかんないとその作品は生き残れない。審査員の里中満智子センセは前から鬼滅に賞あげたかったと言い続けてたけど、これからチャンスのある鬼滅と、これから語り継がれていかなければならない『ペリリュー』じゃ勝負にならない。だから今、取ってほしかったんだ」
久美子「えー。単純に好き嫌いでいいんじゃないの。あんたほんとに鬼滅好きなの?」
あすか「好きだよ。だけどそれとこれとは別」
久美子「厳しいわね」
ビーちゃん「(ふたりとも、授賞式はもう終わっちゃったし、こんな議論は不毛だワン)」
百鬼丸「(あすかちゃんは『ペリリュー』は地道に推していけばいいですよ、がうがう)」
ツヨシくんと了くん帰ってくる。
ツヨシ「え?鬼滅はもう連載終わっちゃったじゃん。ぼく今、呪術廻戦にハマってるしー」
久美子「了くんは?」
了「好きなものに賞獲るとか獲らないとか、なんか意味あるの?」
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「鬼滅の刃」はもう説明不要ですよね。
「ペリリュー」は太平洋戦争で南の島に送り込まれた日本兵たちのサバイバルものです。これは語り継いでいかなければいけないものです。これまで描かれた戦争漫画は銃後の日本人の生活が多く、局地戦やその後のことについてメインに言及したもので有名なものは少なかった気がします。
そこで、エンターティメント性は鬼滅ほどでないものの、戦争ばかりしている最近の漫画・アニメ界に一石を投じたと思うのです。
だから、ノミネートだけというのは残念でした。
あのですねー、こういうことを話題にしたからって変な思想持ってるんじゃないかとか、どっかに入ってるんじゃないかとかそういうことは一切ありません。ご安心ください。
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