異世界「ファンタジーキャッスル」での久美子ちゃんの家。
あすか「ごめん久美子ちゃん、ブライスこれだけしか持ち出せなくて。異世界行く鍵と一緒に持っていけるのあんまりなくて、家具とか全部置いてきちゃった」
久美子「あたしもそこまで要求しちゃいないわよ。だから家具付きの家を学校に用意してもらったの。卒業までタダで住めるわ」
あすか「ファンタジーキャッスルってずいぶんと融通が利くんだねえ」
久美子「リアルワールドと違って、広いし、オペラ劇に力を入れてるからね」
あすか「ねえ、変だ変だと思ってたけど、この部屋、ゆきちゃんの部屋じゃない?彼女のと構造同じだし調度品もいくつか同じものがある……」
久美子「ゆきちゃんって、聖フルール女学院時代のあんたの友達よね。よく遊びにいったわね。あたしも変だとは思ってたけど、彼女こっちに滞在してるのかしら。学校の話だと前の住人は親子で家具置いてすぐ引っ越しちゃったってことだったけど」
あすか「テニスラケット、ゆきちゃんと私とキラりんのだ。懐かしいな」
久美子「そんなものまで置いていったの……あたしがここに住んでいいのかしら?ひょっこり帰ってこないかしら?」
あすか「いや、それはないと思う。一式置いて出ていくって海外じゃ珍しいことじゃないし」
あすか「それに現実世界とそっくり同じってことは、この部屋はコピーだよ。こっちにいる間、住みやすいように再現したんだろう。きっと現実世界に戻ったんだよ」
久美子「そうだといいわね」
久美子「このフェイクグリーン、置いていかれても困るのよね」
あすか「じゃあ、捨てたら?あるいは空いてる棚に置くとか」
久美子「ドレッサーが欲しいからこのチェストも邪魔なんだけど、この世界の家具ってどこも大きめなのよ。だから推定ゆきちゃんの使ってるんだけど……」
あすか「そのまま使えば?とりあえず掃除できるところは掃除、捨てられるモノは捨てる」
あすか「ロフトベッドもそのままだ……さ、拭いちゃおうっと」
あすか「フェイクグリーンは棚の上に置いて、あとパソコン接続して……あ、そうだ、こことどうしてうちのスマホ通じないの?」
久美子「異世界だからかもねえ。でもこの世界じゃあんまりネット、意味ないわよ。ケータイあるにはあるけど、メールと通話しか出来ないわよ。この辺に関しては遅れてるの。だって、魔法使った方が早いもの。あ、気がついてなかったけど、ミッフィーが残ってる。やっぱりこの家、コピーなのね」
久美子「でも、あたしじゃ彼女の代わりはできないわね」
あすか「久美子ちゃんは久美子ちゃんで良いんだよ。これから先、部屋をどんどん久美子ちゃんらしくしていけば?」
久美子「じゃあ、フェイクグリーンいくつか片付けちゃうわ。絵の具とかも新しいのに変えよう。そうそう、この家、漫画が他にもあったの。あたし、吉田秋生のファンになっちゃったわ」
あすか「その漫画はお祖母ちゃんやお母さん世代の人が好きなんだよね。私も昔好きだったけど」
久美子「昔って何よ」
久美子(左)「実はこの王都の家、王都と、村の家と、現実世界のあんたの部屋と、直接つながってるの。そこの扉、スイッチひとつでどこでも行けるわよ」
あすか(右)「はあ?ハウルの動く城かい!」
久美子「あすかっちもこっちに住んじゃえばいいのに。あたしにとっては理想の世界だわ」
あすか「2年間村で暮らしたけど、熊退治ばっかりやってたよ。魔法はたいして覚えられなかったし」
久美子「だいたい綺麗に片付いたわ。さあ、UCCで乾杯しましょ」
あすか「いつの缶コーヒーだよ」
久美子「そうだ、今日、掃除を手伝ってくれたお礼にこのフラスコとかビーカーとか謎の薬品、あげるわ。あすかっち好きでしょ、こういうの」
あすか「これ持って帰るの?私の部屋、無茶苦茶散らかってるのにこれ以上余計なもの置けないよ!」
久美子「……」
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と、いうわけで、久美子ちゃんは異世界と現実世界を自由に行き来できる身となりました。
女の子のひとり暮らしは危険ですが、久美子ちゃんは声で窓ガラスを割れるほどの歌唱力です。あすかっちと違って怪力にはなりませんでしたが、強盗の鼓膜を破ることもできるでしょう。
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