この物語はフィクションです。
あすか(手前)「先生、今年の『ジュニア作家読者大賞』、なんで私、1位獲れなかったんでしょう?」
須伽萬田(すきゃまんだ)先生(奥)「投票するのは子供だし、選ぶのは作家さんじゃなくて編集部の人達だから、ぼくにもよく分からないんだけど……最終審査としては……」
あすか(左)「沢山の資料を読んで正確に書いた完璧な文の難解な話よりも、たとえ稚拙であったとしても親しみやすい、子供たちの心に素直に入る子が書いたものが売れると踏んだんだって」
久美子(右)「どーいうこと?」
あすか「作家が審査員だったら私が1位になったろうって、須伽萬田先生嘆いてたよ」
ツヨシ(右)「その1位になった子の小説ってどんなの?」
あすか(左)「『ハリポタ』と『精霊の守り人』足してで割ったような話」
ツヨシ「そんなんで1位になれるの?」
あすか「活字に弱い子供たちのために、広く受け入れられるにはよく知られている設定のもののほうがいいんだって」
ツヨシ「それじゃ作家怒っちゃうだろ」
あすか「私も許せないけど、今、作家も怒りにくい時代になっちゃってね」
ツヨシ(右)「売れればいいの?」
あすか(左)「本が読み捨てになってきてるんだよ。『小学生に読ませるのに山崎豊子的なものは受け入れられない』が結論だったって。悔しい」
ツヨシ「あー」
久美子(右)「要するに子供騙しね。1位獲った子いくつ?」
あすか(左)「12歳だって」
ツヨシ(中央)「それは話題性あるね」
久美子「あすかっち、リサーチ不足だわよ。子供が子供のために書いた小説の読者大賞なんてどうでもいいじゃない。だいたいそもそももうプロで書いてるんだから……」
あすか「プロ、アマ、問わずの賞。んで応募したの須伽萬田先生だから」
あすか(左)「シニア向けの話を書こうとすると、お子さま扱いで、年齢隠さないとお綺麗な依頼しか来ない。年齢見ないで読んでくれる読者はなぜかドロドロホームドラマばかり要求するんだよ。最近やっと、好きなこと書いても通るようになったのに」
ツヨシ(右)「お怒りごもっとも。そういうことだったら、これから先もそういうことあるだろうね。あすかっちの作品は華やかな賞をもらうより泥水すすってきた人たち狙いでいいんだよ」
あすか「それじゃ原稿料が上がらないんだ~」
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しかし、その作品はのちに出版され、別の賞にもノミネートされて大賞獲ったので、あすかっちは今までより忙しくなるのでありました。
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