あすかっちの古文教室「平家物語」妓王・妓女 | 高峰明日香の明日はどっちだ!

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1/6のロー・ファンタジーお人形劇場やってます。PCオススメ。
ジェニフレ・バービー・12インチフィギュア達で構成されてます。
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私が監督でドールは役者です。記事は予約投稿です。

あすか(右)「それじゃ今日は、『平家物語』の一節『妓王』のお話ね。今から800年以上前、平安時代と呼ばれていた頃、平清盛という武家出身の太政大臣がいたんだ。太政大臣は天皇に次ぐ権力を持っていた。かれは日本の半分を平家一門のものにしていた。たいそうな女好きで、50歳を越えていたけれど、何人も妻を持っていた。その中に二十歳にもなっていない妓王(ぎおう)という白拍子の女性がいた」

 

アンバー(左)「白拍子ってなぁに?」

 

あすか「男装して歌を歌い舞う、まあ今で言うダンスね、アーティストさ。ただ、この時代のアーティストは貧しい暮らしをしていた。妓王には妓女(ぎにょ)という妹と、母がいて、妓王が清盛の愛人になったことで立派な家に住み、毎月お米やお金をどっさり支給されていた。そして3年後、清盛の元へ新しい白拍子が現れた」

 

キワナ「何人も奥さんを持つなんて汚らわしい。不潔だよ」

あすか「昔はどこの国もそうだったし、今でもそういう国はあるよ」

 

あすか「白拍子の名は仏御前(ほとけごぜん)。16歳の美少女だ。京都でもっとも舞がうまいと言われていた。呼ばれもしないのに突然やってきた彼女に、清盛は腹を立てて追い返せと言った。すると妓王が歌や舞だけでも観てあげたらどうかととりなした。これが妓王の不幸の始まりだった。清盛の前に姿を見せた仏御前は、妓王に勝るとも劣らない美しい少女で、舞も歌も見事なものだった。清盛は速攻で、今日から仏御前を妻にすると言って、妓王を追い出してしまった」

3人「なにそれ!」

 

クリスタル(中央)「ひっどーい、女の敵よ」

アンバー(左)「許せない」

キワナ(右)「ありえない」

あすか「ひどいのはさらに、妓王の妹や母に送られてきたお米やお金が送られなくなっちゃったこと。暮らせなくなった妓王のもとに、清盛から『仏御前が退屈しているから、そなたが来て舞と歌で彼女を慰めてくれ』という手紙がきたんだ」

3人「えー!」

 

あすか「怒りまくって返事をしない妓王のところに、今度は命を脅かすような脅しの手紙が来たため、妹の妓女とともに清盛の屋敷へ。ところが通された楽屋はひどく粗末なもので、愛人だった女に対するひどいしうち。妓王は悔しくて、仏御前の前でつらい身の上を嘆く歌を歌った。清盛は『暗い歌では仏御前の気が滅入るので、次来る時は陽気な歌を歌え。これからはいちいち呼ばれずとも時々参って仏御前を慰めてくれ』としれっと言うんだな、これが」

クリスタル(右)「清盛ってサイテー!」

 

あすか「家に帰ってきた妓王はどっと疲れ、これからもこんな目に遭わされるくらいなら死ぬと言った。すると妹も母も、3人で川に身を投げて死のうと言い出す。母や妹まで死なせるわけにはいかない。妓王はまだ21歳なのに、尼になることを決意した。彼女は髪を切り嵯峨の山里で籠もって暮らしはじめた。すると19歳の妹と45歳の母も一緒に尼になった。結婚もできず卵も魚も食べられない身となり、京都の西の粗末な小屋で1年が過ぎた。秋の夜、なんと17歳の仏御前が訪ねてきた」

 

あすか「仏御前は、自分のせいで妓王が追い出されて尼になり、おわびをしたいのに清盛が許さず離してくれず、何不自由なく暮らしてもこんな栄華が続くはずはないと、妓王を羨ましく思う、けさ清盛が寝ている隙に屋敷を抜け出し、自分も髪を切って尼になった、と言って頭からかぶっていた布を取った。そして、もしこれで許してもらえるなら共に仏に仕える身となりたいと申し出た」

 

アンバー(中央左)「仏御前の気持ちって全然分からない。豪華な暮らししてたのにそれを捨ててしまうなんて」

あすか(左)「普通はそうだろうね。でも、新しい女が現れたら自分もまた捨てられる。いっそ尼となり人目を避けて暮らしたほうがいいと考えたんだろう。妓王は許すどころかあなたを尊敬する、と言って歓迎した。こうして、4人の尼は助け合って俗世から遠ざかって余生を送った。おしまい」

 

アンバー(左)「ひどい話ね、清盛ってほんっとやなやつ」

クリスタル(右)「こんなのイヤ、誰も幸せになれないなんて」

 

キワナ「清盛は許せないけど、昔の日本のことが分かって面白かったよ。あたしももっと日本のこと勉強したくなった」

あすか「うん、どんどん勉強して」

 

キワナ(右)「じゃ、また学校で」

あすか「うん、またね」

クリスタル(中央)「あー、現代に生まれててよかった」

 

あすか(右)「あ、志のぶちゃん」

志のぶ(中央右)「あすかさん、『妓王』の講義もう終わっちゃいました?そこでキワナちゃんとすれ違ったんですけど……家の手伝いでなかなか出られなくて」

あすか「『妓王』はいま、話し終わったとこ」

志のぶ「あー、残念」

あすか「壇ノ浦の戦いでもやる?安徳天皇の最期のとことか」

志のぶ「あ、はい、そのお話も好きです、『妓王』はフィクションと聞いてびっくりしましたけど、壇ノ浦は史実ですものね」

アンバー「フィクション?」

クリスタル「妓王って実在しなかったの?」

あすか「まあ、えーっとぉ……実はね……」

 

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14コマと長い話にお付き合いくださりありがとうございました。

そう、先日お話ししたとおり、この平家物語は史実を元にしたフィクションなので、妓王は実在の人物ではありません。

このあと志のぶちゃんとあすかっちは夜ふけまで平家物語について語り合い、双子は寝てしまいました。

キワナちゃんは、その後日本文学に興味を持ち、高校の時、牧師の父親に日本の大学に行くことを許してもらって大学は国文科へ入学しました。

<禁・無断複製転載>

 

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