
比呂「あれ?あなたは栄斗の友人の……」
あすか「はい?」
比呂「覚えてません?栄斗の従兄の栗原比呂です」
あすか「ああ、どうも。高峰あすかです」
比呂「赤ちゃん、弟さんですか?」
あすか「いえ、ベビーシッターやってるところです。1時間ぐらい外で散歩させてくれと頼まれました」
比呂「えっ?」
比呂「ベビーシッターやってるんですか?中学生作家と聞きましたが」
あすか「仕事につながりそうなことは何でもやります」
比呂「失礼ですが、あなたの若さではまだ難しいお仕事では?」
あすか「その辺は工夫次第です。連れ帰る頃、赤ちゃんはたいていご機嫌なので私、"縁起のいい人"と言われてます」
比呂「赤ちゃん、ご機嫌で帰ってこられるんですか?この年齢だとありえないのでは?」
比呂「なにかコツでも?」
あすか「赤ちゃんのお母さんの匂いのついたものをまとったり、スマホの待ち受け画面をお母さんの顔写真にしたり、赤ちゃんによっていろいろです。出すタイミング、ミルクかうんちか、まちまちですのでその都度やり方を変えます。それでも泣かれることが多いですが、大抵ニコニコして帰ってきますんで、仕事は来ます」
比呂「ベビーシッターってそこまでやるんですか?」
あすか「これは私のやり方なので、全部のベビーシッターさんにお勧めは出来ません」
比呂「事故とか気をつけてます?」
あすか「アクセルとブレーキを踏み間違えたすっとこどっこいの車が来たらこういうしげみがクッションになるよう、散歩させる場所も気をつけます。赤ちゃん優先ですからいざという時には私が盾にもなります」
比呂「恐い仕事ですね」
あすか「いろんな仕事してますけど結構役に立ちますよ、こういう経験。でも本物のお母さん方にはかないませんよ、やっぱり。赤ちゃんのお母さんにうまく化けられるものではないから」
比呂「でも縁起のいい人なんですね」
あすか「裏じゃ魔除けって言われてますよ私。事故物件に1年住んでたことありましたけど、一度も心霊現象を体験してませんから。占い師の友人によると、恐いところへ行く時は私を連れて行くと何事もないそうです。赤ちゃんはいろんなことに敏感ですので、安全保証のベビーシッターは重宝されます」
比呂「不思議な人ですね」
あすか「仕事はいつでもお待ちしております」
あすか「あ、そろそろ1時間ですね、それではまた」
比呂「あ、はい」
比呂「……今までぼくの周りにいなかったタイプの女の子だ……受験の日ついてきてもらったらどうなるかな」
=============================
赤ちゃんは犬ではありません。あすかっちのやり方をまねてもうまくいくとは限りませんので、赤ちゃんを扱うプロに教わりましょう。8ヶ月から3歳までの赤ちゃんは分離不安が強く、家族がちょっとでも見えなくなるとギャン泣きします。










