ナタリーさん「今度の連作書くに当たって、あすかっちが抱いてる宗教観を載っけておきたいのよ。編集部としてはね…」
あすか「編集部の方針としては、『神なんていない、信じられるのはお金と死んでも裏切れない仲間、死んだら人はただのタンパク質とカルシウム、一度きりの人生、快楽に溺れて楽しくDancing、ただ前だけを見て進もう』って書いてほしいんでしょ」
ナタリーさん「分かってるじゃない。じゃ、そんな感じで書いて」
あすか「それは駄目だよ」
ナタリーさん「なんで?あすかっち無神論者でしょ」
あすか「無宗教だけど無神論者じゃないよ」
ナタリーさん「えー!ニュージーランドでは3割の人が無神論者なのよ、先進国にはもう宗教は時代遅れなの!」
あすか「無神論者だったらクリスマスも祝えないでしょ」
ナタリーさん「カルト宗教はそうかもしれないけど…あすかっちの学校、カルトが運営する学校の生徒に襲撃されたばかりなのに、なにかの宗教を信じるのは変よ」
あすか「その襲撃されたうちの学校はカトリック校だっていま言わなかった?こんな声明文書いたら退学になっちゃうよ」
ナタリーさん「面白いじゃない。そのエピソードで読者食いつくわよ」
あすか「私は作家になるために大学まで続いてる学校選んだの。なのにそんな文を書いて退学になってまた受験地獄なんてまっぴらだよ」
ナタリーさん「さらに面白いじゃない。『作家になるために中学受験したのに、作家を続けるために退学になりました』って帯に入れたら絶対売れるってば」
あすか「他人の人生だと思って好き勝手なことを言わないでよ」
ナタリーさん「カトリック校に入っちゃったのはあすかっちの都合でしょ?こっちには関係ないわ」
あすか「ナタリーさん、これナタリーさんの出世と関係あるの?」
ナタリーさん「私にもあすかっちにもね。最年少の芥川賞作家が出てもいいと思わない?」
あすか「…それか」
ナタリーさん「ま、今回はこれで引き下がるけど。新人作家は編集者の出世椅子取りゲームの駒に過ぎないってことも忘れないでよね。代わりの作家はいくらでもいるんだから」
あすか「ナタリーさん、ひどい!」
あすか「ナタリーさんこそ、無神論を押しつけないでよね。狂信的な無神論者って時々いるけど、それはそれで気味悪いもんだよ」
ナタリーさん「そんなこと言ってるといつか騙されて全財産取られちゃうわよ。それに神が居るならどうしてカトリックの学校が襲われるの?祈ってれば災害に遭わないんでしょ」
あすか「じゃあ墓参りに来たら地震が来て墓石の下敷きになって死んだ仏教、山ほどあるけど、単にそういう理由で、ナタリーさん宗教アレルギーなわけ?違うでしょ」
ヾ(▼ヘ▼;)ヾ(▼ヘ▼;)ヾ(▼ヘ▼;)ヾ(▼ヘ▼;)ヾ(▼ヘ▼;)ヾ(▼ヘ▼;)
実は、ナタリーさんのお母さんが新興宗教に騙されて高額な壺を買わされたので、頭にきたナタリーさんは無神論者になってしまったのです。
私は「無神論者」の家庭に育ちました。ベビーブームで入る幼稚園がなくてやっと入れた幼稚園だけ偶然キリスト教系でしたが、家庭で神仏について語ることは許されませんでした。
よその家に行ったときはお線香あげることもありますが、家には仏壇もなければお線香もろうそくもありません。祖母の位牌はありますが、うちは一応浄土真宗だったそうなので、祖母の位牌は間に合わせの禅宗のものなのです。いいかげんなものです。
ただ、母がこの前初めて仏花を買って来て、祖母の位牌の前に飾ったので、ああ、母も歳を取ったんだなと感じました。
地震で仏壇の下敷きになって亡くなった人がいると聞くと、神仏はないなと言わなければいけない空気でしたが、そのせいか私は「ありがとう」も「ごめんなさい」も言えない子供でした。
「地下鉄サリン事件」で「宗教は悪いもの」という考え方が日本では定着し、深夜番組でににを集めた「オーラの泉」という番組がゴールデンタイムに来てしまい、子供が生まれ変わりを期待して自殺したことをきっかけにそれを防ごうと無神論・唯物論を広める風潮が各界で勧められた結果、世の中は殺伐としたモノに変わりました。一部のカルトのために、メディアでは神道と葬式仏教以外の宗教が否定的に扱われ、居場所もなく、すがるもののなくなった青年達の中には「むしゃくしゃするから誰でもいいから殺そう」とする人がどっと現れました。
「人はすがるものなしに生きていけない」と私は思っています。
もちろん、自動お金吸い取り機にすぎない新興宗教は一切信じませんが。人は自分がよいと思ったものを広めたがる動物ですが、宗教も無神論も両方とも人に押しつけるものではありません。
<禁・無断複製転載>
![]() |
ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)
907円
Amazon |










