あすか「もう夏休みも終盤かー。2学期は図書委員になれるかなぁ~」
あすか「支持してもらえなかったら恥ずかしい」
ノンコ「じゃ友達に推薦頼んだら?人は使いようよ」
あすか「うーん。何読んでるの」
ノンコ「向田邦子よ」
あすか「向田邦子の?『字のないはがき』載ってる?国語の教科書にあるよ」
ノンコ「これにはないわね。『眠る盃』ってのに載ってた気がする。すごいわねー、教科書に載るようになったの?この人。お母さんの子供の頃はTVドラマの脚本家だったのよ」
あすか「そうなの?」
ノンコ「もう、すごく有名だったわ」
あすか「先生もそう言ってた。飛行機事故で亡くなっちゃったんだよね」
ノンコ「そうよ」
あすか「『字のないはがき』って話、まだ字の読み書きができない小さい娘が疎開する時、父親が自分宛のはがきを持たせて、よいことがあった時は○を、そうでない日は×をはがきに書いて毎日送れって言うんだよね。最初○だったんだけどどんどん○が小さくなって×になって便りが来なくなったので母が迎えに行ったら百日咳で寝てたって。東京のほうが危ないのになんで迎えに行ったんだろう、なんで疎開させたんだろうってすごく謎だった」
ノンコ「そうねえ、教科書に載っちゃうとそういうことのほうが気になるのね。親としては空襲で一家全滅するのが恐いからってタテマエで小さな子を田舎に預けるんだけど、実際は東京に食べるものがないから田舎でたべさせてもらってて、いざ向こうで病気になっちゃうと預けてるところにも迷惑がかかるから迎えに行ったんでしょ」
あすか「あ、そうか」
ノンコ「とはいえ、テストではそんな答え書けないわよね。どうにか悲しい言葉を書いて『戦争で離ればなれに暮らすような時代がいかに悲しいか、家族の絆が大切か身に染みました』とでも結んでおけば?」
あすか「身も蓋もない…」
ノンコ「あすかちゃんが普段雑誌に書いてるコラムみたいな内容の回答は、教師は喜ばないわ。クライアントによって使い分けしなさい」
あすか「学校のテストのほうが難しくなっちゃったな、テストってお金くれないし」
ノンコ「そうね、時にはコチラがお金払ってテスト受けたりするものね」
あすか「戦争って食べるものや着るものや娯楽がなくなって生活が楽しくなくなっちゃうんだね。映画やゲームや漫画で扱ってる戦争は強くて格好良くて美形ばかりなのに」
ノンコ「そういうのに騙されないことね。お母さんはおばあちゃんから戦争の時の話いっぱい聞いてるから戦争は嫌いなの、若者の心をあおり立ててかっこよく戦いにかり出して、死んだら元も子もないでしょ」
あすか「うん。でもヒロイック・ファンタジーのコラムのお仕事の依頼来てるの。戦いといっても空想だから」
ノンコ「お断りしなさい!草葉の陰で向田邦子が泣いてるわよ、自分のコラムがせっかく教科書に載ってるのに子供はなんにも学んでないって」
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断れるわけないでしょ。
向田邦子は料理も得意で女性的なこと書かせたらもってこいの人だっていうんで敬遠していたんですがいざエッセイ読んでみたらサッパリした文体でサバサバ系で読みやすいです。面白い。
小説はまだ読んでませんが、どうなんだろ。
中学生の国語の教科書に載っている向田邦子作品で知られているのは「字のないはがき」と「ごはん」です。
「字のないはがき」は講談社文庫の「眠る盃」に載っています。
「ごはん」は文春文庫の「父の詫び状」に載っています。
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