あすか「ちょっと待ってて、上巻もうちょっとで読み終わるから」
ツヨシ「なんで今ニーチェなの?」
あすか「中等部と高等部の合同の文芸部で、期末テスト後ちょっとニーチェが流行ったの」
ツヨシ「失踪した父ちゃんがニーチェなんて読むと馬鹿になるぞって言ってたよ」
あすか「いや、意味はサッパリ分からないんだ」
ツヨシ「安心したよ。中2で『ツァラトストゥラ』読む人なんておっかないからね」
あすか「最高学年のかほる先輩が勧めてくれたんだけど、それで高等部中心にバーッとみんな読み出して、みんなで超人だ超人だって騒いでたんで面白そうだったから、中2でも分かるかなと思ったんだけど」
ツヨシ「分からなかったんだね?」
あすか「全然分かんない。この作者、『神は死んだ』って言ってるでしょ」
ツヨシ「うん、ぼくそこしか読まなかった」
あすか「てっきりそれですがるものがなくなって晩年発狂したんだと思ったんだよ」
あすか「原因は梅毒だったんだ」
ツヨシ「結局はニーチェもしょせん男だって言いたいんだね?」
あすか「言われる君は不愉快だろうけどね」
ツヨシ「でもどうしてあすかっちこの本読む気になったの?」
あすか「シスター・クラレンスがこの本を読むなって全校生徒に言ったからだよ」
あすか「お祖母ちゃんも中学の時は先生に筒井康隆と小松左京は読むなって言われて、隠れて読んだって」
ツヨシ「あー、大家のおばーちゃんね。画家の。血筋だね」
あすか「だからすらすら解いてみんなの鼻を明かしてやりたかったんだけど残念だよ」
ツヨシ「明かさなくていいよ。あすかっちはもうちょっと夢のある本を読んだほうがいいよ。『罪と罰』読んだあと斧持ってぼくを追いかけてきたことあるでしょ」
あすか「あれは刃はプラスチックだよ。パーティージョークだよ。それに『罪と罰』っていっても子供にも読めるように易しく書いてあった」
ツヨシ「あすかっちは一生この手の本読まなくていいから。こないだのファンタジー本でも読んで優しい女の子に育ってほしい」
あすか「貴様は私のお袋か」
ツヨシ「読むのやめてくれるならお袋にでもコブクロにでもなるよ」
ツヨシ「文章覚えていて、大人になって意味が分かるようになったら害になるかもしれないじゃないか」
あすか「なんでみんなああしろこうしろあれはするなこれはするなと言うのさ」
ツヨシ「言えば言うほど逆効果だろうけど…ぼくの宿題みてよ」
ヽ(*・ω・)人(・ω・*)ノヽ(*・ω・)人(・ω・*)ノ
暑い夏の日の、ますます暑くなる昼下がりでありました。





