注意
ここから先は私の勝手な創作になります。
アプリとは関係ありません。
苦手な方はここでお戻りいただけますようお願いいたします。
尚、主人公は「初音」にしています。
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紅い。
何もかもが紅い。
街中が、辺り一面が、紅く朱く赤く染まっている。
辺りに漂う鉄の臭い。
あまりの騒々しさに何も聞こえない。
ここはどこ?
私は何でこんなところにいるの?
清盛さんは?
清盛さんは、どこ……?
「初音」
声が聞こえた気がした。
必死に声の聞こえたほうをたどる。
見えない目を凝らす。
――見つけた。
遠くに清盛さんがいる。
なぜか義朝さんの姿もある。
行きたい。
側に行きたいのに。
足がもつれて動けない。
清盛さん!
声も出ない。
その間にも清盛さんは私を置いてどんどん遠くへ行ってしまう。
清盛さん!!
一瞬だけ振り返った清盛さんはこれ以上ないくらいに優しい表情で笑っていて。
刹那、清盛さんの背後で白銀の冷たい輝きが煌めいた。
叫びたい。
駆け寄りたい。
けれど私はただ目を背けることしかできなかった。
「初音………初音」
名前を呼ぶ低い声に私は目を開けた。
「清盛さん…」
涙で滲んだ視界に、ぼんやりと見えた清盛さんの姿に言い知れぬ安堵を覚える。
清盛さんは片肘をつき上半身だけ起こした状態で、私の顔を覗き込んでいた。
「起きたか?」
「はい」
力の入らない腕で、どうにか私も起き上がる。
無意識に清盛さんの着物をぎゅっと握りしめると、清盛さんは何も言わずそっと手を重ねてくれた。
また、この夢だ。
全てが紅くて、清盛さんがどこか遠くへいってしまう夢。
ここ3日位ずっとこの夢にうなされ、清盛さんに起こされる日が続いている。
不意に、清盛さんの長い指がそっと目元をなぞって涙を掬った。
「……何度もごめんなさい」
私が寝ていないのは自業自得。
けれど、子供みたいに夢なんかでうなされて、清盛さんに迷惑をかけている自分が情けなくて仕方ない。
清盛さんはわざわざ私を心配して一緒に寝てくれているのに…。
そう。あれはただの夢。
あれが夢で今、ここが現実。
頭ではよくわかっている。
それなのに悪寒が、体の震えが止まらないのはどうしてなのだろう。
寒いからじゃない。
本能的に感じる恐怖が体中に纏わりついている。
「もう、大丈夫です」
すうっと深く息をすってから私は清盛さんににっこりと微笑んで見せた。
「だから、私自分の部屋で寝ますね」
余計なことを言わないうちに部屋に戻ろう。
実際に危険があるわけでもなんでもないのだから。
これ以上迷惑をかけちゃいけない。
掛け布団代わりにかかっている羽織をわきに避け、立ち上がろうとしたその時。
「お前なあ…」
頭上で大きなため息が聞こえると同時に、のびてきた手に腰元をぐいっと抱き寄せられた。
「清盛、さん?」
「…そんだけ震えてて大丈夫なわけねえだろ」
いうなり清盛さんは、私を抱き寄せたままごろんと横になってしまう。
「いえ、あの、でも、迷惑になるし…自分の部屋で……」
抜け出そうと身体をよじってみるものの、動けば動くほど逆に腕に力が入れられていくような気がする。
「いいからそのままおとなしく寝ろ」
そういって目を閉じてしまった清盛さんは、どうやら放してくれる気はないらしい。
声色こそ怒ってるようにも感じられたけれど、まわされた腕の力強さに、伝わってくる心音に、清盛さんがちゃんとそこにいるんだとただただ安心した。
何も聞かないでいてくれる気遣いに感謝しながら、身体の力を抜く。
清盛さんが小さく笑ったのがわかった。
安心したせいか、心地よい温度に包まれて、瞼が重くなってくる。
考えてみればここ3日、まともに寝ていなかったのかもしれない。
「…ありがとう、ございます…」
そのまま疲れと安堵に身を任せ目を閉じた私は、そう時間のたたないうちに意識を手放した。
初音が眠りについた後、涙の痕の残った頬を撫でながら清盛はつぶやく。
「世界が赤く染まる、か…」
清盛さんの腕の中で眠ったあの日の翌朝、私と清盛さんは熊野詣に行くために京を出立した。
あれからもう6日になる。
私は清盛さんについて歩いているだけで、場所の把握はできていないけれど、今いるところが切目王子という場所だということは教えてもらった。
歩くせいか、はたまた清盛さんのおかげか、ここ数日はうなされることもなくよく眠れている。
ただ、一つだけ。
熊野詣と切目王子。
この二つの言葉を現代で聞いたことがあるような気がしてそれだけが気がかりだった。
私が覚えている位だから、なにか重大な事件に関するキーワードだったと思うのだけれど…。
もっと真剣に歴史の勉強をしておけばよかったと後悔するものの、今になってはどうすることもできない。
ぼんやりそんなことを考えていると。
「ひゃにするんれすか!」
横から伸びてきた腕に、むにっっと頬を引っ張られた。
ぺちぺちと腕をたたきながら抗議すると、清盛さんはにやっと笑う。
「おまえがぼけっとしてっからだろ」
「…だからっておもいっきりひっぱらなくてもいいじゃないですか…」
再び頬へと伸ばされた腕に身構えるけれど、今度は優しく頬を撫でられただけだった。
「冷えてんな。中入るか」
今は12月の初め。
確かに夜の空気は冷たい。
だが、遮るものの何もないこの時代、空気が澄んだ冬の夜空はとてもきれいで。
暖炉に火をともし、御簾をあげ、私たちはお酒を飲みながら星見をしていたのだった。
「はい」
部屋の奥、褥に入ろうとしたその時。
清盛さんの纏う空気が冷えた。
次第に馬の足音が近づいてくる。
「清盛様っっ!!!」
外から聞こえた切羽詰まった声。
聞き覚えのある…たしか、清盛さんの家臣の人の声だ。
京からの早馬のようだった。
「清盛様!!!火急の用にございます!!」
「火急?」
清盛さんは私に出てこなくていいと合図すると、御簾をあげて外へと出て行った。
「………信西……」
「……義朝が………」
「……間違い」
声を潜めているためか、私の所までははっきり聞こえない。
それでもただ事でない雰囲気ははっきりと感じられた。
何か良くないことが起きたのだと、それだけはわかる。
ふと、私の脳裏に夢で見た光景が、赤く染まった京の街が浮かぶ。
嫌な予感しかしなかった。
やがて低い声で清盛さんが何かを命じると、馬を走らせる音が聞こえた。
清盛さんは白い書状を握りしめたまま部屋の奥へと入ってくる。
その表情が、いつになく苦しそうに見えて、私は思わず清盛さんの手を取った。
「初音…?」
「私は、何があっても……清盛さんの味方ですから」
その言葉に清盛さんはすうっと目を細め、私を見つめる。
いつか見た、強い覚悟を秘めた眼差し。
射抜くようなその瞳に胸がざわめく。
「…俺が義朝を殺すことになっても…?」
「え?」
清盛さんはぐしゃっと書状を握りつぶした。
「どういう、ことですか?」
「……義朝が、謀反を起こした」
清盛さんは苦しそうに、腹立たそうに、けれど確かにそう口にした。
「どうしてあと少し待てなかった……?義朝」
清盛さんが誰にともなくそう呟いたことを、私は忘れない。
平治1年12月9日
信西排除の為、院御所・三条烏丸殿が藤原信頼、源義朝の軍勢に包囲され炎上
後白河院及びその姉・上西門院の身柄を内裏内、一本御書所に軟禁。
後の世に言う平治の乱の始まりだった。
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お久しぶりです
←毎回これから始まってる気がしますがwww
今回は趣向を変えて基本的に史実にのっとって書いてみようと思います。
あ、でもあくまでも「基本的に」なので変えるところはバッサリ変えます。
矛盾のないように整合性を保ちつつ書けるのか…すっごく不安もありますが![]()
とりあえず歴史の勉強だけはどうしても大大大大嫌いな私が、受験生時代よりも真面目に勉強してるという
それから少しだけリアのご報告。
この3連休、面接で缶詰状態になっていた私ですが内々定を頂きました(^-^)/
大きな声では言えないけど、精神的にも時間的にも余裕ができたかなって感じです。
確定した結果が出るのは8月末かな…。
応援してくださった方々、ありがとうございます
確定したらまたちらっとどこかでご報告します。
あともう1点。
西行さん祭りの裏で、史実バージョンの記事をあげたんですが回収困難で1回下げました。
読んでくださった方々、本当にごめんなさい。
今書いてるお話の中になんとか埋め込もうと思ってるのでご容赦いただければ幸いです。