プレナスなでしこリーグ1部第6節、伊賀FCくノ一vs浦和レッズL~完敗より残念なこと | ヒロ・ゴラッソ

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内容的完敗を喫した伊賀

 痛すぎる連戦下の2連敗

プレナスなでしこリーグ1部第6節】

開催日:2017年5月3日 13:00 KICK OFF

会場:上野運動公園競技場(三重県)

伊賀FCくノ一 0-3 浦和レッズL

【得点者】<浦和レッズL>吉良(42,77分)、菅澤(64分)

終始不調で、それ以上に緩慢だった、この選手に物申したい!by伊賀FCくノ一公式HP

 

初勝利を完勝で飾るも

昇格組ノジマに手痛い敗戦

 
固まった今季のレギュラーを3段階に分けてみました
 

 先週末とは打って変わり、太陽が燦々と照る気持ち良い日となったGW初日の5月3日、またまた三重県伊賀市の上野運動公園競技場へ足を運びました。

 

 プレナスなでしこリーグ1部は開幕から5節を終了。伊賀フットボールクラブくノ一は筆者も現地観戦した第4節・ちふれエルフェン埼玉戦で4-0と今季初勝利を完勝で挙げましたが、先週末はアウェイで今季1部初昇格ながらも躍進しているノジマステラ神奈川相模原に手痛い敗戦を喫しました。

 

 第3節のジェフユナイテッド市原千葉レディース戦も先制しながら敗れた事もあり、ノジマ戦の敗戦はかなり精神的にダメージが残ってるはず。しかも中3日でGWによる連戦が続く期間のスタートとなる試合だっただけに、心身ともに辛い敗戦だったはず。

 

 どちらも試合内容は押し込んでいた事と、共に敵地での試合だった事を考慮して立ち直ってもらいたかったのですが・・・。

 

 4-0で初勝利を飾った埼玉戦で佐藤楓選手のFW起用がハマり、今季のチーム編成におけるベストイレブンが定まった伊賀。ノジマ戦も同じ先発メンバーで挑み、この日もというところでしたが、新加入のMF大久保舞選手が欠場し、同じく新加入MF高橋悠選手が3試合ぶりに先発復帰した1箇所の変更でスタートしました。

 

【浦和レッズL】菅澤獲得も今季も低迷?近未来に黄金期到来なるか?

 

 この日ホームの上野に迎えたのは、浦和レッドダイヤモンズレディース。昨季8位に終わって残留争いを経験したとはいえ、2014年には年間リーグ優勝(エキサイティングシリーズ)を果たしており、特に中盤には、猶本光選手と柴田華絵選手の技巧派MFコンビがいます。

 

 何よりも2005年から男子のJリーグ・浦和レッズの傘下に入った事で下部組織が充実し、下部年代の日本代表へ多くの逸材を輩出するようになっているチーム。女子サッカー界ではなかなか下部組織からトップチームまで昇格して活躍する選手が少ない中、理想的な育成環境が整備されています。

 

 実際、今年に入ってからも下部組織出身のGK池田咲紀子選手が代表デビューを飾っており、日本が準優勝した昨年のFIFA-U17W杯ではMF長野風花選手が大会MVPに選出されるなど、近未来には黄金期到来の予感もあります。

 

 ただ、テクニシャン揃いの中、特に昨年の浦和レッズLは試合内容を決定力不足によってスコア化できませんでした。そのため、2014年と2015年になでしこリーグの連続得点王となった日本代表FW菅澤優衣香選手を獲得。本格派ストライカーの加入により、課題解消を狙って今季を迎えました。

 

 しかし、ここまで伊賀と同じく5戦で僅かに1勝1分3敗。今季から監督に昇格し、2013年にINAC神戸レオネッサで国内外全4冠制覇の偉業を成し遂げた石原孝尚監督による再建の手腕にも注目が集まります。

 

攻守に緩慢だった伊賀

 後手を踏み続けて失点

この写真のように中盤で数的不利になる場面が多過ぎた伊賀。by伊賀FCくノ一公式HP

 

 試合は出だしこそホームの伊賀がボールを持つものの、3本以上はパスが繋がるような場面が少ない落ち着かない展開で進みました。

 

 連戦の疲れなのか?昇格組・ノジマに敗れた精神的な疲労なのか?この日の伊賀の選手達は攻守の切り替えが遅く、緩慢でした。

 

 浦和レッズLは序盤、前線へ放り込むロングボールだけの攻撃に終始していたものの、2トップの菅澤選手と吉良知夏選手に徐々にボールが収まって来たところで主導権は浦和レッズLへ。前線でボールが収まった事で技巧派のMF陣が前を向いてプレーできるようになり、さらに伊賀のMF陣よりも4人全員が中央寄りにポジションをとる事で、中盤のエリアでは数的有利を多く作った浦和レッズL。前半は特に自由自在の攻撃が繰り出しました。

 

 伊賀はただ耐えるのみの展開。最終ラインが下がり過ぎて前線と間延びした事もあり、跳ね返してもセカンドボールを拾われる苦しい時間帯が続きましたが・・・何とか耐えた・・・はずでした・・・。

 

 しかし、前半終了間際、この日先発起用されたMF高橋選手が自陣でサイドチェンジのパスをミスキック。「中央を通すパスは慎重に」とはサッカーの基本ですが、この致命的なミスでボールを奪われ、そのまま浦和レッズLにフィニッシュにまで持ち込まれました。何とか後方に残っていた選手達で時間を稼いで決定的なシュートは防いだものの、懸命にブロックした逆側のぺナルティボックスに展開された時には浦和FW吉良選手がド・フリーとなり、そのまま失点。

 

 内容が悪いながらも何とか耐えていただけに、42分という時間帯の失点をミス絡みで喫したのは精神的に痛かったように感じました。

 

ミス絡みの失点で流れ戻らず

痛い連敗で野田監督に悲壮感

 

 0-1で折り返した後半、リードする浦和が左SBを交代する修正を見せたのに対して、選手交代なしで挑んだ伊賀。後半開始早々は前半よりも1段階全体のラインを押し上げる事で圧力をかけ、ペースを握り、中盤から駆け上がったMF櫨まどか選手の惜しいシュートなどもありましたが、得点できず。

 

 逆に攻め込んだ時間帯が続いた64分、ハーフウェイライン付近でDF大橋実生選手が不用意なボールタッチを相手FW吉良選手に奪われ、そのままぺナルティエリアまで持ち込まれ、最後はGK越しのクロスを送られ、菅澤選手が難なく合わせて0-2。

 

 この日動きがキレキレだった吉良選手は77分にも右サイドからパス交換で抜け出し、最後は豪快な右足シュートを炸裂させて0-3。

 

 昨年の上野での浦和レッズL戦では主導権を握りながらもセットプレーとカウンターに屈した伊賀。この日は間延びさせてもFWの2人を前に残したのは、逆にカウンター狙いに徹したのか?

 

 結局、何の狙いがあったのかよく分からないまま0-3で敗れた伊賀。千葉・ノジマ・浦和に3敗を喫したのはかなり痛く、試合後の野田朱美監督が「連敗をとめられない責任は全て監督である私にあり、選手個々の能力を活かした戦い方に導いてあげることができず、サッカーを難しくしてしまっています。中3日と時間はありませんが、次節の長野戦は出来る限りの変化と覚悟を持って臨みたいと思います。」という悲壮感の強い試合になってしまいました。

 
【HIRO'S ROOM】MF小嶋美舞
→元・控え組のハングリー精神!

昨季の主力と今季の新加入選手が主力に並ぶ中、昨季控えの立場から定位置を掴んだMF小嶋の奮起に期待。 by伊賀FCくノ一公式HP

 (説明しよう!【HIRO’S ROOM】とは、筆者=hirobrownことhiroが観た試合で、気になったポイントや選手などを独断と偏見でピックアップして部屋で独り言を呟くコーナーである)
 
 全く収穫なく、個人的には試合前に購入した『どら焼き』が思いの外美味し過ぎたくらいしかなかったのですが、少し整理すると現在のレギュラー陣には、昨季からの主力に新加入選手をプラスした陣容。さらに、そこに昨季は控えの立場にありながら、現在は主力を張る選手が3人います。
 
 特に右サイドMFに定着し、埼玉戦では残り10分ほどでFWに繰り上がった僅かな時間で2得点を挙げたMF小嶋美舞選手。今季は本来のアタッカーの位置で仕掛けるプレーを見せてくれています。昨季は左SB起用や途中出場の最初の交代カードとなっていた彼女。野田監督が何とか主力にしたい意向がある選手だとも感じていました。
 
 この日も全く攻撃が連動しない中、左サイドで味方がボールを持った時は迷わず右サイドから中央へ長い距離を走る動き出しを続けて抵抗した小嶋選手。決して上手く行ったわけではないですが、前線の他の選手がミス絡みの最初の2失点で気持ちを失ったような表情を見せる中、控えの立場からポジションを奪った彼女の懸命さは最後まで貫かれていました。
 
 本来は足下でボールを受けてドリブルで仕掛けるのが得意なはずの小嶋選手ですが、チームが全く上手くいかない中でも諦めずにひたむきに考え、動き続けたことでしょう。他にもGK井指楓選手と左SB竹島加奈子選手が昨季は出番に恵まれない中、控え組の多くがチームを去ったオフを経て、定位置を掴んでいます。
 
 長丁場とはいえ、18試合しかないリーグの6試合が終了した今季。もう新加入選手もお客さん扱いでは困ります。昨季からの主力にはより一層引っ張っていってもらわないといけません。
 
 よく、「パスを回していても意味がない」「前へ進め」などと野次が飛んでくる事は現在の伊賀だけでなく、どこでも聞こえてきます。ただ、筆者はパスを回せるだけでも十分に価値があるし、パスを回す=攻撃というわけでもないと思っています。適切な守備をするためにはショートパスを回してコンパクトな陣形を作るという狙いもありますから。
 
緩慢だった17番に喝!
 高倉監督の前で・・・・・・
 
 ただ、ボールを失った後の切り替えで決して後ろに振り返って欲しくはない。前に出てボールを奪うプレスをかけて欲しい。ましてやこの日のようにボールを失った選手が「ああ、ミスった」と天を仰いでる暇があるなら切り替えて欲しい!
 
 特に17番、誰よりも好きな選手だから物申したいですが、この日の彼女は今まで観た中で最低でした。ボールを失う回数が多かったのももちろんですが、そんな事は今までもボールタッチが極端に少なかった試合ももっとありました。
 
 でも、この日のように自らボールを失ったのに相手を追いかけなかったり、オフサイドラインに取り残されてプレーに関与しないような姿は観たくなかった。カウンター狙いに徹するために敢えてプレスをかけなかったり、攻撃に力を温存させるのも手ですが、相手が全く怖がっていなかった。駆け引きになっていなかった中でのこの日のプレーぶりは緩慢でしかなかったと批判したいです。
 
 ましてや、この日はなでしこジャパンの高倉麻子監督が視察に来ていた中で・・・本当に残念です。次あんな試合をしたら・・・
 
 主将になって責任も感じているでしょうが、この日は周囲の選手と心が離れているように感じました。もっと自分の気持ちを周囲に伝えても良いのでは?
 
 次節まで中3日ですが、トレーニングよりも気持ちの整理とコミュニケーション。特に控えの立場からポジションを奪った小嶋選手のような気持ちを17番の選手にも改めて感じてもらいたいです!
 
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【なでしこリーグ1部全チーム紹介】

3月25日から開幕した今季のなでしこリーグ。byなでしこリーグ公式HP
  

 当ブログでは先週末から開幕したプレナスなでしこリーグ1部参加の全10チームを1チームずつ紹介する記事を掲載しています。この機会に是非、ご一読ください。詳細は下記バックナンバーをクリックして下さい☆
 
【なでしこリーグ1部全チーム紹介~『Shooty』リライト版】
 
第1弾、<マイナビ・ベガルタ仙台編> 
第2弾、<浦和レッドダイヤモンズL編>
第3弾、<ちふれASエルフェン埼玉編>
第4弾、<ジェフユナイテッド千葉L編>
第5弾、<日テレ・ベレーザ編>
第6弾、<ノジマステラ神奈川相模原編>
第7弾、<アルビレックス新潟L編>
第8弾、<AC長野パルセイロL編>
第9弾、<伊賀FCくノ一編>
第10弾、<INAC神戸レオネッサ編>
 

 それでは皆さん、今週末も各サッカー会場でお会いしましょう!
 
 それではまた(^.^)/~~~

 
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