『なでしこリーグ1部全チーム紹介【AC長野パルセイロL編】』~Shooty連載リライト版 | ヒロ・ゴラッソ

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サッカーコラムサイト『Shooty』にて連載していただきました、『今年から見よう!なでしこリーグ1部全チーム紹介』ですが、なにぶん2月20日から開始したため、最新の情報に書き換えて自ブログにしてリライト致します。

 

 それでは第8回となる、AC長野パルセイロ・レディース編(以下、長野L)です。昨季1部昇格初年度ながらも3位へと躍進したチームの歴史・現状・注目選手などをまとめました。ご覧下さい☆

 

元記事『【⑧AC長野パルセイロレディース編】今年から見よう!なでしこリーグ1部全チーム紹介』

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快進撃以上に称えられるべき地域密着型の模範クラブ


by AC長野パルセイロ

 

 クラブの起源は「資格の大原」としてテレビCMでもお馴染みの大原学園。その系列の専門学校の1つである、大原スポーツ公務員専門学校サッカー専攻科女子サッカーコースの生徒や教職員が2000年に設立した『大原学園JaSRA女子サッカークラブ』。

 

 2003年から日本女子サッカーリーグに加盟し、大原学園時代から当時のトップリーグである『Lリーグ』にも参戦。ただ、競技面では2003年から2007年までの僅か5年間で1部昇格と2部降格を2度ずつ経験。1部に残留した経験が1度もなく、昇降格を繰り返す“ヨーヨークラブ”の位置付けにありました。

 

 その後、2年連続で1部復帰を果たせなかった2009年シーズン終了後、現在J3に所属している『AC長野パルセイロ』の女子チームへクラブを移管する事が決定。2010年シーズンから新たに『AC長野パルセイロ・レディース』として生まれ変わり、現在に至っています。

 

 ただ、クラブ移管後は2部残留に必死なシーズンが続くなど、チーム成績は悪化。2013年シーズンから就任した現指揮官=本田美登里監督の下でようやくチームが安定したものの、1部昇格までは2部で3シーズンを過ごす事になりました。

『長野L、2016年の成績と観客動員数』ホームとアウェイで大きな差がある通り、日本サッカー界が重視する地域密着を体現した模範クラブである。

 

 それでも、男子のトップチームも含めて、地元自治体との連携やローカルメディアを駆使したクラブ運営により、地域密着の模範例として高く評価されており、初めて1部昇格を果たした昨季はホーム平均観客動員数でリーグ最多の3647人を記録。

 

 初の1部で3位へと大躍進したチーム成績はもちろん特筆すべき偉業ですが、(上記の表から)目を引くのはホームとアウェイで大きな差が生まれている観客動員数の違い。如何に地元で愛されているクラブであるのかが明白です。

1部昇格初年度の3位大躍進を支えた超攻撃的サッカー~戦術は「ボールを持ったら1歩でもゴールに近付けろ!」

長野=超攻撃、3点取られても4点取る攻撃サッカーを植え付けた本田監督。by AC長野パルセイロ

 

 2013年から指揮を執る本田監督は2001年から2011年まで長期政権を築いた岡山湯郷Belleで、なでしこジャパンのパスサッカーを支える絶対的な司令塔となったMF宮間あや選手を育て、クラブを日本屈指の名門へと押し上げた指揮官。2007年には、女性として初めて「日本サッカー協会公認S級コーチ(指導者ライセンス最高位)」を取得した女子サッカー界の名将中の名将です。

 

 そんな稀代の名将でも1部昇格まで3年を必要としたチーム作りでしたが、現在の長野Lが体現する両方のゴール前を行き来きし、得点も失点も多い、出入りの激しい超攻撃的なサッカーは魅力満載です。地域密着を図るためにも重要な要素でした。

 

 戦術は「ボールを持ったら1歩でもゴールに近付けろ!」とは、実写版映画でSMAPのメンバー全員が出演した事でも有名な『蒼き伝説シュート』からの引用ですが、まさにそんな言葉が体現されています。

男子も含めて、攻撃でも守備でも組織的なサッカーを選択する日本サッカー界にあって「“組織”よりも“個人”」、「“横”よりも“縦”」を強く意識する長野Lのサッカーは異端です。ただ、“個”を貫く意識を全体で共有しているからこそ、“組織”としても機能しており、最前線から最後尾までがコンパクトになったインテンシティ(プレー強度)の高さが成立しています。

 

 初めて1部昇格を果たした昨季、長野Lは1部の舞台でもその斬新なスタイルを堂々と披露し、見事に3位へと大躍進。全18試合でリーグ3位の38得点を記録しながら、34失点はワースト3位。12勝1分5敗と大きく勝ち越しながら、得失点差が僅かに+4。長野Lと同勝点で得点失点差の末に2位となったタレント軍団・INAC神戸レオネッサは40得点19失点の同+21。長野Lの“異端ぶり”はこちらでも“健在”です。

 

 ただ、昇格組でノーマークだった昨季の大躍進を経て迎える今季、長野Lは他チームから徹底研究され、対策をとられるでしょう。そのため、今季は効果的に“横”を使った攻撃など、試合運びに幅を持たせたチーム力の積み上げが求められます。昨年から断続的になでしこジャパンにも選出され始めた守備的MF國澤志乃選手には、展開力やゲームメイク能力の面で期待がかかります。

【注目選手】FW横山久美~アルガルベ杯得点女王獲得のなでしこジャパンの新エース

 
直近のアルガルベ杯で大会得点女王となり、日本のエースとして活躍したFW横山。by garow

 

 そんな長野Lを体現している選手はやはり、エースFWの横山久美選手。3月のアルガルベ杯で出場4試合(先発3)で4ゴールを奪って大会得点女王を獲得するなど、新生なでしこジャパンのエースの称号を手にしたと言える、現在23歳のFWです。

 

 岡山湯郷から2014年に当時2部の長野Lに加入した横山選手は、2部の2年間で46試合出場65ゴール。トンデモな記録的ペースで得点を量産し、昨季は1部でも得点ランキング2位の16得点を挙げました。

 

 なでしこジャパンでも披露している通り、彼女の最大の魅力は突出した“個”を全面に押し出すようなドリブル突破からのシュート。「ボールを持ったら1歩でもゴールに近付けろ」を体現している選手です。

 

 1部昇格後もそのプレースタイルで「長野旋風」を巻き起こすチームと横山選手。ただ、横山選手は昨季のリーグ中断前での11試合で13得点という驚異的得点ペースから、中断明けに7試合3得点と失速。対策が進んだ中断明けでも5勝2敗と、チームが破竹の勢いを続ける中で「変化」が見られました。

 

 ドリブル突破とシュートを最優先として狙うのは前提にしながら、それをキープ力や自分に集中するマークを活かして周囲を使う事でチームに昇華。それが速攻だけでなく、ゴール前に引いた相手に対して、遅い攻撃でも崩せる攻撃のバリエーションの拡がりへと繋がりました。

 

 それは他チームからのさらなる対策が進む今季、チームに求められる効果的な攻撃や試合運びの幅に他なりません。昨季はそれを横山選手を筆頭とする個人レベルで取り入れていたものを、チーム全体にどう共有するか?

 

 おそらく、この「変化」を「進化」として昇華した時、長野Lは男子も含めて最も理想的な「日本サッカーの“日本化”」を完成させるモデルになるでしょう。

 

【AC長野パルセイロレディース在籍全選手リスト】(公式HPへ)

さらに進化する長野Lリーグ戦日程


2015年に新装された長野Uスタジアムはピッチとの距離11mで体感できる球技専用スタジアム。今季のリーグ戦では8試合の開催を予定。by AC長野パルセイロ

 

 そんな長野Lは開幕から3戦を2勝1敗。ホームの2試合で勝利しています。

 

 ただ、その勝利は共に1-0。他チームからの研究も進んでいるものの、今のところは対策が進む事を見越して新たな戦い方を取り込んだものの、それが上手く出ていない印象。ただ、すでに2勝を挙げるなど、地力をつけてきているのも明白です。

 

 前に出てボールを奪いに行く守備と、後方に引いて守るリトリートした守備。素早く縦へと展開して一気にフィニッシュへと向かう攻撃と、横を使って緩急も取り入れる攻撃。

 

 ピッチ上では選手達の自主性を優先する本田監督の下、これらを使い分ける事が出来た時、長野パルセイロ・レディースは、本物の強豪チームになるでしょう。

【長野パルセイロL プレナスなでしこリーグ1部日程】

第1節、3/26(日)13:00 KICK OFF
VS浦和レッドダイヤモンズレディース(HOME)AT長野Uスタジアム(○1-0)
第2節、4/2(日)13:00 KICK OFF
 VSノジマステラ神奈川相模原(AWAY)AT相模原ギオンスタジアム(●3-2)
第3節、4/15(土)13:00 KICK OFF
 VSマイナビ・ベガルタ仙台レディース(HOME)AT長野Uスタジアム(○1-0)
第4節、4/23(日)13:00 KICK OFF
 VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(AWAY)ATフクダ電子アリーナ
第5節、4/29(土)13:00 KICK OFF
 VS日テレ・ベレーザ(AWAY)AT多摩市立陸上競技場
第6節、5/3(水)12:00 KICK OFF
 VS INAC神戸レオネッサ(HOME)AT長野Uスタジアム
第7節、5/7(日)15:30 KICK OFF
 VS伊賀フットボールクラブくノ一(HOME)AT長野Uスタジアム
第8節、5/13(土)15:00 KICK OFF
 VSアルビレックス新潟レディース(AWAY)ATデンカビッグスワンスタジアム
第9節、5/20(土)14:00 KICK OFF
 VSちふれASエルフェン埼玉(HOME)AT長野Uスタジアム
第10節、5/27(土)13:00 KICK OFF
 VSマイナビ・ベガルタ仙台レディース(AWAY)ATユアテックスタジアム仙台
第11節、8/19(土)17:00 KICK OFF
 VSジェフユナイテッド市原千葉レディース(HOME)AT長野Uスタジアム
第12節、8/26(土) 16:00 KICK OFF
 VS日テレ・ベレーザ(HOME)AT佐久総合運動公園陸上競技場
第13節、日時未定
 VS INAC神戸レオネッサ(AWAY)会場未定
第14節、9/9(土)14:00 KICK OFF
 VS伊賀フットボールクラブくノ一(AWAY)ATならでんフィールド
第15節、9/16(土)16:00 KICK OFF
 VS アルビレックス新潟レディース(HOME)AT長野Uスタジアム
第16節、9/24(日)13:00 KICK OFF
 VSちふれASエルフェン埼玉(AWAY)AT川越運動公園陸上競技場
第17節、9/30(土)13:00 KICK OFF
 VSノジマステラ神奈川相模原(HOME)AT長野Uスタジアム
第18節、10/7(土)13:00 KICK OFF
 VS浦和レッドダイヤモンズレディース(AWAY)AT浦和駒場スタジアム

【AC長野パルセイロ公式HP】

 

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【なでしこリーグ1部全チーム紹介】

3月25日から開幕した今季のなでしこリーグ。byなでしこリーグ公式HP
  

 当ブログでは先週末から開幕したプレナスなでしこリーグ1部参加の全10チームを1チームずつ紹介する記事を掲載しています。この機会に是非、ご一読ください。詳細は下記バックナンバーをクリックして下さい☆
 
【なでしこリーグ1部全チーム紹介~『Shooty』リライト版】
 
第1弾、<マイナビ・ベガルタ仙台編> 
第2弾、<浦和レッドダイヤモンズL編>
第3弾、<ちふれASエルフェン埼玉編>
第4弾、<ジェフユナイテッド千葉L編>
第5弾、<日テレ・ベレーザ編>
第6弾、<ノジマステラ神奈川相模原編>
第7弾、<アルビレックス新潟L編>
第8弾、<AC長野パルセイロL編>
第9弾、<伊賀FCくノ一編>
第10弾、<INAC神戸レオネッサ編>
 

 それでは皆さん、今週末も各サッカー会場でお会いしましょう!
 
 それではまた(^.^)/~~~

 
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