コンフェデレーションズカップ第2戦・イタリア代表VS日本代表~自滅した日本・・【J特】 | ヒロ・ゴラッソ

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イタリア代表4-3日本代表

得点者【イタリア代表】デ・ロッシ(41分)、オウンゴール(51分、内田)、バロテッリ(53分、PK)、ジョビンコ(87分)

【日本代表】本田(22分、PK)、香川(32分)、岡崎(69分)

74分、DF6内田篤人☛DF21酒井宏樹

79分、FW18前田遼一☛FW11ハーフナー・マイク

92分、MF17長谷部誠☛MF14中村憲剛

      

負ければグループリーグ敗退が決まる日本は”鉄板メンバー”11人でスタート☆

 ~ブラジル戦からは1人変更で前田が最前線に。

 今月に入ってのW杯最終予選・ホームでの豪州戦に終了間際のPK弾による引き分けによりW杯出場が決定した日本。その後は同予選最終戦のイラク戦に1.5軍となるメンバーで終了間際の得点により0-1の勝利を経て、各大陸王者が集うコンフェデレーションズカップに参加。 しかし、第1戦は開催国ブラジルとの開幕戦という大舞台でのゲームとなったものの、華々しいムードとは打って変わり、日本は3-0と完敗。勝ったブラジルですら地元サポーターからブーイングを浴びる”慎重すぎる”試合内容でした。

 ブラジル戦の完敗により、すでに今大会のグループリーグ敗退が近づいた日本は、この日のイタリア戦に敗れれば敗退が決まるという状況で迎えました。ザッケローニ監督の母国との対戦に、指揮官が選んだ先発メンバーは”鉄板中の鉄板メンバー”11人。ブラジル戦からはMF清武が外れて、最前線に前田が入り、岡崎が右サイドに戻ってのスタートとなりました。


相手国紹介~FIFAランキング8位。伝統の守備重視スタイルから脱皮した攻撃集団イタリア


 ユニフォームの色から来る通称”アズーリ(青色)”。2010年南アフリカW杯のグループリーグ敗退後に就任したチェザーレ・プランデッリ監督の下で、伝統の守備重視スタイル”カテナチオ”を放棄し、テクニックや運動量を重視したパスサッカー志向の攻撃集団を結成。技術に特化した選考メンバーには若手が必然的に相当するために世代交代にも成功し、その魅力的なサッカーで昨年のEURO2012では準優勝となり、W杯とのダブル制覇となったスペインの繰り上げ参加となって欧州代表としての今大会エントリー。

 主将GKブッフォンと司令塔MFピルロの大ベテランを中心に若手・中堅・ベテランがミックスされたチームですが、先発メンバーには常に国内リーグ2連覇中のユヴェントスの選手が平均7人は入る傾向がある。ただし、チームのベースがしっかりと作られた上で、”悪童”でもあり”怪童”でもある問題児FWバロテッリや、新進気鋭の若手FWエル・シャーラウィといった扱いにくい選手も巧みに戦力に組み込むプランデッリ監督のマネジメント力は、EUROで度々、闘志と涙を見せながら戦った問題児・バロテッリを観れば力量の高さは一目瞭然。


 【マッチレビュー】コンディション面の有利か?あまりにも日本をナメていたか?全くサッカーができないイタリアを尻目に2点先取・・・しかし・・・・・

 キックオフから前節のブラジル戦での消極的なゲームプランと試合内容からの反省・反動か?日本が積極的なゲーム運びで主導権を握ります。また、大会初戦の日程により、日本がブラジル戦からは中3日の休養だったのに対して、イタリアはメキシコ戦から中2日というコンディション的有利の土壌もあってに日本が完璧なゲーム展開を披露します。


 5分、左からの香川のクロスにゴール前ドンピシャでの前田のヘッドや、7分の遠藤と19分の香川の鋭いミドルシュートなど、日本の攻撃はしっかりとシュートで終える攻勢となって完全にイタリアを押し込みました。


 そして20分。後方からのロングボールを競り合った裏でカヴァーに入った相手DFがGKにバックパス・・・これを狙って奪った岡崎がエリア内で飛び出した相手GKブッフォンを交わしに行ったところで倒されてPKを獲得。ややラッキーな判定でしたが、試合内容や岡崎のプレースタイルが活きた結果でしょう。PKは最後まで動かなかったブッフォンをに対して本田がこの日は右下隅に決めて日本が先制。0-1。


 さらに畳みかける日本は26分に、バイタルエリア左で香川や長友が絡んでのチャンスメイクから長谷部のミドル、28分にはインターセプトした長友が自らミドルを放つ。


 そして32分、右CKからの相手の中途半端なクリアを今野がエリア内へ送り、エリア内の選手間で跳ねたボールに対して巧みに反転した香川の左足ボレーが鮮やかに決まって追加点。0-2。

 

さすがに2点を先行されて火のついたイタリアはここから猛攻。全く存在感のなかったアクイラーニを30分弱で交代させるプランデッリ監督の強気の采配で流れを一気に持ち込みました!!


 人数をかけた攻撃が急増し、ピルロの直接FKもあって明らかにギアを上げたイタリア。


41分、ピルロの右CKからのキックがニアサイドに走りこんできたデ・ロッシにピンポイントで合ってヘッドで決められて1-2。


前半終了間際にはアーリークロスからバロテッリのポストプレーで落とし、エリア内で受けたジェッケリーニが切り返しから放ったシュートがポストに当たるヒヤヒヤの展開に。


結局、前半は1-2と日本がリードで終了しましたが、もったいない失点。しかもその直前からのイタリアの猛攻ぶりがハンパなかったので後半の劣勢は必至と予測できる中でのハーフタイムとなりました。


立て続けにやられる案の定な逆転負けに・・・・・・決定力には圧倒的な差

 後半に入ると前半終了間際からの猛攻を見せていたイタリアが一気に試合をひっくり返します。


51分、ゴール前からのイタリアのFKからのセカンドボールをゴールキックにしようとした吉田がラインぎりぎりでジョビンコに奪われ、そのままゴール前でフリーのバロテッリへ折り返し、懸命に戻った内田が触ったものの、そのボールはオウンゴールとなり2-2の同点に。


さらに53分、右クロスからバロテッリのポストプレーを経てエリア内で受けたジャッケリーニが放ったシュートを長谷部が手でブロックしてPKを献上。これをプロ入り後1度も外した事がない”世界イチのPK職人”でもある問題児バロテッリが冷静に決めて3-2とイタリアが逆転に成功。

 

 スコアが動けば流れも変わり、逆転直後のジョビンコの強烈な左足ミドルを防いだ日本はここから反撃態勢に。リードしたイタリアはここで日程面での不利を露呈したようで運動量激減に。


 65分、中途半端な相手のクリアボールをバイタルエリア付近で拾った香川がファーポストに動き出した前田へ絶妙な浮き球パスを供給。しかし、前田のシュートは外れる・・・が伏線はあったはず。


そして69分、遠藤の右CKからニアサイドへ放たれたボールに相手より前に飛び込んだ岡崎のヘッドが炸裂し、3-3の同点に。


さらに猛攻にかかる日本は、72分、本田が1人でDF2人を交わして持ち込んでのシュートがGKのファインセーブに遭うと、

77分にサイド攻撃からのこぼれ球を狙った長谷部の豪華なミドルシュートが僅かに外れました。

81分にはカウンターからの攻撃のセカンドボールを拾った岡崎がゴール前をドリブルで突っかけ、香川の折り返しが相手に当たったボールに反応した岡崎のシュートがポストを直撃する場面も。


 ザッケローニ監督は74分に右SBを内田からクロス精度の高い酒井宏に、最前線には前田に替えて高さのハーフナー・マイクを投入して打開を図りましたが、ここから日本は決めきれないもったいフィニッシュの課題を露呈。終了間際のFKから香川、本田、岡崎のこぼれ球からの連続シュートのさらなるこぼれ球を吉田が押し込むもオフサイドの判定に。


逆にイタリアは87分、日本の一瞬の隙を突いてエリア内へスルーパスを通し、途中出場のマルキジオが受けて折り返し。フリーのジョビンコが流し込んで4-3と決勝点をあっさりと奪い、決定力の圧倒的な差でイタリアが打ち合いとなった乱戦を制しました。


 イタリアの攻撃スタイルへの変貌とブラッシュアップの過程を考えよう!!

  ~ファンタジスタの絶滅による全員サッカー、バロテッリの登用

 

イタリアがパスサッカー志向のチームになっている事はMF陣が本職ボランチであって守備的に”鉄壁”のアルベルティー二、ディノ・バッジョ、ディ・ビアッジョだった1996~2000あたりと比べて、現在はピルロやモントリーボ、デ・ロッシといった技巧派揃いとなっている事でも明白です。


 しかし、それは単に世界のサッカーのトレンドに合わせたワケではないでしょう。確かにプランデッリ監督は国内リーグのチームを率いた際にはパルマやフィオレンティーナなどで攻撃志向の強いチームを作っていましたが、僕なりには他に理由があると考えています。


 ずばり、ロベルト・バッジョやゾラ、デル・ピエロ、トッティといった”ファンタジスタ”と呼ばれる系譜に連ねる1人で局面を打開できる選手がいなくなった事だと思います。圧倒的な個がいないからこそ、今まで個人頼りだった攻撃は組織的に行う。ファンタジスタには守備免除の特権があったものの、全員攻撃・全員守備により”トータル・フットボール”へと向かったのではないでしょうか!?バッジョの時代にはロベルト・マンチーニ(今季マンチェスター・シティ監督を解任)さえ代表に入れないぐらいでしたが、今はとっくに代表を引退したトッティの復帰をサポーターも要求するくらいですから。


 そうしたトータル・フットボール化されたイタリアですが、その改革最中に”異分子”バロテッリが台頭。もちろん問題行動も多く、気分屋で時には全く走らない日もあるバロテッリですが、彼をエースとして組み込んだ事は博打でしたが結果的に大成功。監督の人心掌握の巧みさあっての事ですが、スタイルや走る事ばかりを要求せずに強烈な個を融合させた手腕が素晴らしい!!


 よくよく考えれば、パスワークによりポゼッション志向である攻撃も、実は司令塔のピルロはまずは縦パス1本で得点に直結するコースを狙うタッチダウンパスのような”個人技”を披露していますので、イタリアの攻撃に置いてはマスコミが言うような組織性はないと考えます。やはり個の美しさを大切にしている点がイタリアらしいと思うのです。


 現在の日本では宇佐美や柿谷といった強烈な個性を持った選手が「走らない」「守備ができない、しない」という理由で敬遠される傾向が強いですが、ブラジル戦も含めて個の重要性を説くならば、日本のサッカーファンの見方やマスコミの報道を変える必要があると感じます。


 サッカーは陸上競技でもないし、チームプレーだけしてればいいものではないんですから!!!


 最後に個人採点をお楽しみ下さい☆彡


スタメン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

GK川島永嗣5.5ファインセーブもあったが、2試合7失点では言い訳できない。メキシコ戦はもうさすがに西川を起用しないと彼のためにもならない。


DF内田篤人(74分まで出場)5.0ネイマールを抑えたブラジル戦とは打って変わる。ある程度サイドに張って足元で受けるネイマールやリベリといったスター選手は得意としているが、ボールのない状態でのシャドーの役割でギャップを突く動きが得意なこの日のジャッケリーニのようなタイプは苦手なのかもしれません。オウンゴールは仕方ない。

DF吉田麻也4.5やはり股関節痛の影響は濃いのでは!?ずっと低調すぎる。プレミアリーグでデンバ・バやベンテケを抑えたようなプレーはずっと見せていない。2失点目の軽い対応は・・酷すぎます。ブラジルの人に声は届いてなかった模様。(苦笑)

DF今野泰幸5.5相手のクロスに身を投げ出して跳ね返す場面も多く奮闘したが、そもそも前進守備しかできないチームにあって、身長の低いCBがラインを下げてクロスをクリアしてるというライン統率に問題あり。あれだけ日本が押し込んだのに日本がオフサイド5回取られ、イタリアはゼロだった。いかにイタリアのDF陣との違いがあるか?それは攻撃陣の決定力の差以上のモノですよ。

DF長友佑都5.5負傷の影響があるのは彼もか。マッチアップする相手選手は特に脅威を見せなかったものの、消極的なプレーに終始。それでも何度か効果的な攻撃参加を見せるのはさすが!!


MF長谷部誠(92分まで出場)5.5W杯予選に続き、またも次節累積警告で出場停止に。それだけ情熱を感じさせるプレーで攻守を繋いだが・・・PKを取られ・・77分の汚名返上の豪快ミドルは炸裂しなかった。

MF遠藤保仁6.5セットプレーのキックをはじめチャンス量産。最終ラインからのビルドアップで、たびたびCBの真ん中へ降りて来るなど行動範囲は人知れず広い!!ピルロとそん色ないゲームメイカーであると日本のサッカーファンは自負すべき選手。

MF岡崎慎司6.5目標だった「ブッフォンからのゴールを決めて自慢する」は達成。ややボールを奪われる事が多く感じたがゴールへの嗅覚は断トツで現在の日本代表ではトップ。

MF香川真司7.0敗戦でもマン・オブ・ザ・マッチも納得の仕事ぶり。ゴールにチャンスメイクにと躍動。珍しくミドルシュートも放ったり、数的でも果敢に仕掛ける事でタメも作った攻撃を牽引した☆


MF本田圭佑6.5唯一無二のオーラを放つ危険な男はPKをブッフォンからも冷静に決める。相手のマークも日々厳しくなっている中でも個で打開する場面も作るなど大黒柱である事を感じさせる☆


FW前田遼一(79分まで出場)5.5汚れ役となって2列目にスペースを作り、ブラジル戦とは全く違う気持ちの良い攻撃に貢献。フィニッシュに自ら至る過程はこの舞台のレベルに達していないが・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

DF酒井宏樹(74分から出場)6.0投入後に右からの攻撃が急増。

FWハーフナー・マイク(79分から出場)5.5機能していたとは思うが、肝心なプレー精度は低かった。

MF中村憲剛(92分から出場)短時間出場のため採点不可。


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