どんなに素晴らしい代物でも常時使用していると必ずが飽きが来てしまうものである。
これはモノの性であり、高額であろうが無かろうが余り関係無い様だ。
今やPIGの第一人者として世界中でその名を馳せているマイク・ブラックもその一人である。
数々のPIGを乗り継いで来た彼は理想のPIGを追い求めて今も探求し続けている。
以前、彼が送って来たダイナミックな一葉・・・
これはダノーのHOGでのライディングである。
彼はダノーのHOGに対して「非常にダイナミックなサーフィンを齎せてくれる素晴らしいボードだ」と絶賛していた。
しかし、探求心の強い彼は理想形のPIGを求める為にダノーを手放し、ジーン・クーパーに自らが思い描く理想のPIGを依頼する。
ベルジー&ジェイコブスのバルサを参考に創り上げられた通称ブラックボードがそれである。
しかし、そのPIGにも満足すること無く探求し続けるマイクはマット・カルヴァーニの下を訊ねる。
そして、マットとのミーティング末に野生の荒々しい豚をイメージしたフェラールPIGが完成する。
ここでマイクはある事に気付いたと教えてくれた。
「どのPIGも素晴らしかったが、もっとシンプルなPIGを好む様に成って行った」と。
彼のシンプルと云うのは非常に解り易く、全てのロッカーを排除した古き良き時代のPIGだった。
「元来、サーフボードにはロッカーは無かった」
「俺はここを追求したいんだ」
とも語っていた。
しかし、この思想は歴戦の剛腕シェイパー達に受けられる筈も無かった。
そもそも、一般的な解釈としてPIGは非常に扱い難いボードである。
あのジーン・クーパーでさえ最初は「PIGは使えないから創りたくない!」と云っていたくらいだ。
同様に、アダム・ダベンポートのマイクからPIGを依頼されたにも拘わらず全く異なったボードを創って来たのだから。
そんな、PIGから全てのロッカーを排除してしまったら?
結果、その想いに応えてくれるシェイパーはいなかった訳である。
その後、彼はビンテージのPIGからヒント得て、親友であるスティーブ・ブロムに1950年代のPIGをイメージした新しいシグネチャーモデル依頼する事になり、誕生したのがブラックボードType1である。