ジェイコブスのフィン | Viva '60s SurfStyle!!!

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1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

数々のビンテージPIGに目を移すと様々なハーフムーンが存在している事が判る。

 

 

「このフィンは背が高いな」とか、「これはレイクが掛かているな」等々・・・

 

 

それはまるで人の表情の如く、ハーフムーンにも様々な顔があるのだと気付く。

また、その殆どがベルジー&ジェイコブスのバルサボードに宛がわれていた造形のハーフムーンが流用されていた事にも同時に気付く。

 

 

そんな中、かなり異端児な面構えをしてるのがジェイコブスのハーフムーンである。

 

ジェイコブスのハーフムーンに関してはこれまでにも綴って来たが、このフィンを再現して「PIGをオーダーしたい!」という野望がメラメラと沸き上がり俺なりに少々勉強してみた。

 

 

この一風変わった造形は一体どのような経緯から誕生したのか?

非常に興味が沸く。

 

 

サーフボードレーベルの在りきPIGではなく、ロッカーからテイル形状に至るまで、事細かく理想形を求めたカスタムPIGが欲しかった。

そして、そのPIGにはご覧のフィンを装着したかった。

理想のPIG追求の為に、このフィンを装着したPIGの構想を友人であるマイク・ブラックに相談してみると・・・


「それは面白い!」、「俺にアドバイスが出来る事があるかも知れないから、いつでも相談に乗るよ!」と、PIGの第一人者から援護射撃の確約も取り付けた。
 
 
そして、早々にこのフィンをマイクに見せてみると・・・
「これはダノーがコピーしているフィンだな!」と、嘗てダノーのHOGを愛機としていたからこそのコメントが寄せられた。
 
 
さて、このフィンを装着したPIGを誰に削って貰うか・・・
実は、もう答えは決まっていた。
 
 
シールビーチのロジャー・ハインツだ。
 
 
彼はシェイプ技術だけでなく、極力サーファーのニーズに応える事を心掛け乍らオーダーを受諾する姿勢を貫いており、更に、40年以上のシェイプ歴を持ち合わせたリアルレジェンドでもある。
 
 
現時点で俺の理想のPIGを創らせるなら彼しかいない。
 
 
そして、ロジャーにオファーをすると彼は「早速、そのフィンのテンプレートを取ってくれないか?」とやる気満々で請け負ってくれた。
 
 
見様見真似でフィンの型取りをして行くと思わぬ事に気付いた。
 
 
スケッチにしてみると予想以上にフィンがデカかったのだ。

ボードの装着された状態では感じなかったが、こんなデカいフィンでしっかりと機能してくれるのか?

 

 

少々不安になり改めてマイクの相談してみると・・・

「ロジャーに見せてみないと何とも云えないが、少し大きいかも知れないな」と、ロジャーのジャッジ後に改めて談義する事となった。

 

 

このフィンの誕生経緯を調べてみると面白い事が判って来た。

 

 

ジェイコブスがサーフボードレーベルを立ち上げ頃、既にサーフィンは大衆化しつつあり、マーケット拡大の為に「乗り易いボード」の必要性に迫られていた様だ。

 

 

スーパースターのランス・カーソンやミッキー・ドラを抱えるジェイコブスは彼らの為の次世代を見据えた斬新なボードの開発に取り掛かる一方で、これまでのスタンダードであったPIGをよりビギナー向けに開発する必要性も求められいた様である。

 

 

そんなマーケット事情を意識した結果、安定性のある大きなフィンを採用したとの説がコレクターの間では根付いているのだ。

 

 

「当時、海でロングライドをしている者と云ったら、皆決まった面子だったよ」


「彼等はバルサの時代からサーフィンをしていたから軽いフォームのボードを扱うなんて容易だったんだ」


「しかし、ブームでサーフィンを初めた連中は真っ直ぐにしか進めないから安定性がサーフボードに求められたんだ」


「結果、ジェイコブスは飛行機の尾翼をヒントに安定感のハーフムーンを創ったんだよ」

 

 

成る程・・・

コレが本当の話しかは定かではないが、同様の意見は数名のコレクターから寄せられている事もあり、信憑性はかなり高いのではないだろうか?

 

 

それはさて置き、このフィンのテンプレートを受け取ったロジャーは一体どんな反応をするのだろうか?

 

 

続きは次回の更新で綴ってみたいと思います。

 

 

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