ロングボードを始めた1990年代・・・
世のサーフマガジンは挙ってレジェンドであるドナルド・タカヤマを大きく取り上げていた。
それもその筈・・・
この時代の世界の海ではドナルドのボードに乗ったジョエル・チューダーが全てのサーファーを魅了していた。
そして、日本では宮内謙至氏が絶対的なパフォーマンスで他のサーファーを圧倒していた。
そんな二人の共通点は、勿論、ドナルド・タカヤマである。
定期的に発売されていたサーフマガジンで彼らを見掛けない時は無かった・・・
その位、世のサーフマーケットを魅了していたのだろう。
そんな、賑わいを見せるサーフマガジンの誌面で、当時、俺が気に掛けていたのがハンク・バイザックとブルース・グラントであった。
彼等は自身のレーベルを持ちつつも、名立たるレーベルのヘッドシェイパーを務める程で、ハンク・バイザックはグレッグノール、ハンセン・・・
そして、ブルース・グラントはデュークカハナモク、コン、等で腕を振るっていた。
因みに、この二人は陰ながらドナルド・タカヤマを支えていたのは有名な話である。
さて、本日紹介するボードはドナルド・タカヤマとの縁を持ちつつも、職業シェイパーの代表格と謳われたブルース・グラントが削ったボードである。
レーベルは彼がコンに変わって晩年ヘッドシェイパーを務めたデーブスウィートである。
ご覧の画像・・・
これまでにも幾度となく登場しているが、ようやく本日紹介出来る運びとなった。
早速、紹介したいと思う。
デーブスウィートのバルサボードである。
如何であろうか?
このアウトライン・・・
ダブルエンダーと云うよりはガンに近い?鋭さを放った様にも見えるのではないだろうか?
それもその筈、このバルは1950年代に実在したデーブスウィートのバルサガンがベースとなっているのである。
しかし、現代のサーフシーンにおいてバルサのガン等は全く必要性の持たない事からなのか?当時のアウトラインを採り入れつつも、適度に扱い易さを汲み入れた仕様にしているのである。
その為、レプリカと云うよりはモダンバルサの特性を生かし、装飾性を兼ね備えたTバンドストリンガーにレッドウッドが2本宛がわれている。
また、それに沿ったかの様にフィンも装飾性の高い組み合わされたウッドフィンがこのバルサに箔を掛けている様にも思えてならない。
豪華絢爛さを醸し出している一方で肝心のバルサの質であるが・・・
流石はレジェンド、ブルース・グラントが吟味しただけの事はある。
10本で構成されたバルサ材はどれも継ぎ接ぎのない最上質のバルサが使われている事が判る。
また、バルサボードならではの経年変化もしっかりと表れており、ご覧の様に各所にヤニ(樹液)が露わになっている。
このヤニはフォームボードの日焼けと同じ様なモノで、サーフボードの経年変化を楽しむ上では外す事の出来ない要素でもある。
そんな、ヤニと装飾性を備えたストリンガーに挟まれる様に、ひっそりと今は亡きブルース・グラントのサインが入っている。
ブルースにはこれまで沢山のボードを削って貰い、そして、ミーティングもさせてもらい、このバルサボードを手にするだけで数々の思い出が走馬灯の様に頭の中を駆け巡る。
そんな、ブルースが削ったバルサは俺にとって特別な1本である事は云うまでも無い訳だが、そろそろ今一度ワックスアップをして海に浸けてあげたいところである。
Keep Surfing!!!