サーファーには余り馴染みがないかも知れないが、名優、スティーブ・マックイーンの出世作「大脱走」をご存知だろうか?
実話をベースに創られた映画で、マックイーンの出世作として今も語り継がれている名作である。
その映画の中にマックイーンが大地を駆け回る一台のバイクが登場する。
1961年式のトライアンフのトロフィーである。
この劇中に登場するトライアンフはマックイーンのスタントを務めたバド・イーキンスと云う人物が自作したモノなのだが、実はマイコレクションの中にバド本人が手掛けたレプリカのバイクを有している。
しかし、このバドが自作したレプリカは劇中のオリジナルとは掛け離れる程の出来栄えで、「本当に本人が作ったのか?」と疑いたく成る程の完成度だったのだ。
納得の行かない俺は劇中と同様の車両にすべく、劇中で使われていた数々のパーツを集め、テコ入れを図り今に至っている訳だが、アメリカ人が手掛けるレプリカは「何故お粗末な出来栄えなんだろうか?」と、この時から思う様になった。
そして、同じ事はこのボードでも起きた。
数年前にハーバーに依頼したPIGのレプリカである。
ハーバーの資料を参考にシーコングのスタッフが「コレと同じ物を!」、「細部まで複製してくれ!」とリクエストして出来上がった訳だが、どうしても2点程納得が行かない箇所があった。
一つは、このフィンの付け位置・・・
何故?こんな前に着けるんだ!
確かに、ヴィンテージPIGには同位置に付けられたモノが多々あるが、「何も、このボードでそれをする事はないだろう!」と、声を大にしたい程であった。
まぁ、百歩譲ってフィンの付け位置は後から変更出来るのだが、どうしても納得が行かなかったのが・・・
ストリンガーである。
なんと、事もあろうにストリンガーが継ぎ足されているのだ!
しかも、2カ所も!
2インチのバルサストリンガーにとってこれは致命傷であり、少なくともヴィンテージでこんなストリンガーは見た事が無い!
フィン位置は後から修正できるがサーフボードの心臓部であるストリンガーは手の施しようが無い!
先のトライアンフもそうだが、アメリカ人が作るレプリカとは所詮この程度のモノなのか?
そう・・・
彼等には日本人の様な「目の肥えた」感性が無いのである。
「ほら、こんな感じで良いんでしょう?」
これがアメリカンなのだ。
彼らに過度な期待をしてならない。
ライクな感じを重んじなければダメなのだ。
さすれば、バルサボードに対する「良し悪し」も変わって来るのではなだろうか?
Keep Surfing!!!!