趣味が高じるとは凄い事である。
仕事で無いからこそ、適度に手を抜ける。
仕事で無いからこそ、遊びの要素を加味出来る。
俺にとってサーフィンは正にソコであり、適度に力を抜いて楽しめればそれで良いのだ。
そんな楽しみの延長で構想したのが幼い頃に影響を受けたビッグウェンズデーの小道具。
この小道具を駆使して遊び心一杯のサーフボード創りたい。
そう思ったのは今から20年近くも前の事である。
劇中でベアーが着ていたハワイアンシャツを使用してサーフボードを創りたい。
しかも、カリフォルニアのレジェンドに手掛けてもらいたい。
そんな想いから相談させて頂いたのがデーブスウィートを国内で取り仕切っていたヘッズの佐藤氏である。
「このファブリックを使って・・・」と、俺の想いをぶつけると・・・
「デーブさんに許可を取って、ブルースに削らせよう!」と云って下さった。
どうせ創るならデーブ・スウィート氏本人が1960年代に使用していたテンプレートで創りたい事をブルース・グラントに告げ、更に装飾要素を多分に汲み入れたかったので「フィン、ブロックは全てウッド製に!」との要望を出し、ファブリックをカリフォルニアに送った。
そして、完成したのがこちらである!
テンプレートはノーノーズライダー全盛期のアウトラインを持つモノを使用したMid’60sのボードにしてもらった。
このボードにブルース渾身のウッドブロックを余す所なく汲み込んでもらい、ボード自体を豪華絢爛に仕上げてもらった。
勿論、フィンもウッド製である。
そして、ウッドブロックから覗き込む様にフィンをはみ出してもらっている。
更に、劇中のベアーのハワイアンシャツをボード全体でイメージする為に、ファブリックはブルーベースの生地をウエアハウスから採り入れ・・・
レールからボトムを淡いイエローティントで仕上げる事で劇中のベアーの装いに近づけた。
最後に無数の虎が埋め尽くす中央にサンタモニカで誕生したデーブスウィートのディケールを宛が得てもらった。
完成したボードを手に取った時に、「良くぞここまでイメージ近いボードが出来あがったものだ!」と感心してしまった程である。
それまでカリフォルニアに多くのボードを依頼したが、最も難度の高いこのボードでここまでの完成度を誇れたのはヘッズの佐藤氏がブルースと緻密にやり取りしてくれたからこそである。
このサーフボードはコラボを通り越している。
亡くなったデーブ・スウィート氏、シェイパーのブルース・グラント、ヘッズの佐藤氏、生地を提供してくれたウエアハウスと、多くの方々の協力の下で完成しているのだ。
果たして、このボードにワックスを掛けて良いモノだろうか?
Keep Surfing!!!