サーフボード業界に燦然と輝く菱形のディケール・・・
映画「ビングウェンズデー」に登場するベアーサーフボードのモデルともなったジェイコブス。

マリブ界隈のビーチで、誰からも尊敬された伝説のサーファーであるランス・カーソンが在籍していたサーフボードメーカである。




週末ともなるとマリブのビーチはジェイコブスのボードで溢れかえていた。

グレッグ・ノールからは高額なダ・キャットの復刻版がリリースされ、ビングからはダン・ベンディクソンが削るデビット・ヌヒワモデルがリリースされ、ベルジーからはリミテッドのPIGがリリースされ、ホビーからはエンドレスサマーモデルがリリースされ、ゴードン&スミスからはマイク・ヒンソンモデルがリリースされた。
ロングボードの復活で盛り上がった1990年代・・・
この時代のジェイコブスは他のボードメーカーと比べると、一際影の薄い印象が拭えない気がしてならない。
勿論、この時代はウェイン・リッチがジェイコブスレーベルを管理していた為、肝心のジェイコブスは「ハップ・ジェイコブス」レーベルでの活動を強いられる訳だが、それでもレジェンドの復活に際し、かつての伝説のレーベルにもう少し脚光が当たっても良かったのではないだろうか?
この時代の日本のサーフマガジンに目を向けてみると、やはり、ジェイコブスの登場は少ない様な気がしてならない。
また、素人ながらも感じたのがディストリビューターが目まぐるしく変わっていた様にも思える。
体調不良で実現しなかったが、生前、エムズの計らいでデイル・ベルジーが日本にやって来ると話題になった事があった。
また、CHPの計らいでグレッグ・ノールも来日を果たしている。
一方、来日とまでは行かなくとも、老舗のボードメーカーの各ディストリビューターはメディアを通じて、かつてのレジェンド達を盛り上げていた。
皆、日本のマーケットに伝説のカリフォルニアブランドを根付かせようと孤軍奮闘していたのではないだろうか?
残念ながら、当時、ジェイコブスだけが国内のディストリビューターに恵まれず、その波に乗り遅れてしまった感は否めない様な気がしてならない。
手を組んだディストリビューターのさじ加減一つでジェイコブスの様なボードメーカーが、日本のマーケットに根付かなかったのは、どうしても腑に落ちかったりする。
馬鹿が付くほど、1960年代のサーフカルチヤーが好きな俺としては、今一度ジェイコブスにスポットが当たる事を願うばかりである。

そして、老舗ボードメーカーのボードを知った後にモダンクラシックに目を向けると、歴史ある名品の系譜を楽しめるのではないだろうか?
Keep Surfing!