その想いは劇中の1カットから始まった。。。
映画「ビッグウェンズデー」で主役のマット・ジョンソンが小脇に抱えているバルサ。
劇中の美味しいシーンに悉く登場し、物語の聖なる剣と崇められたボードである。
そんなボードに恋い焦がれてシールビーチのロジャーハインツにコンタクトを取り、削って貰ったボードが本日紹介するボードである。
それがこちらのバルサPIGである。
バルサの無垢材6本から組まれたソリッドバルサには何にもにも代え難い程のオーラが宿っている様に思えてならない。
基本的なコンセプトは先だって削って貰ったフォームのPIGと同様になるのだが、様々な所でバルサらしさが垣間見えてくる。
例えばフィンはソリッドである所・・・
実は、現在時折見掛けるモダンバルサのフィンは装飾性を高める為にウッドを組み合わせたモノが多々あるが、PIGにはそんな小細工不要でソリッドこそが最も美しいと俺は思っている。
制作を請け負ってくれたロジャー・ハインツも同様の意見だった事からロジャーがヴィンテージバルサを熟知している事がうかがえた。
そんなソリッドフィンには、日本の海でも気兼ねなく乗れる様にリーシュホールを付けてもらった。
リーシュホールはピーターのバルサとは異なり、樹脂枠の部分に開けてもらい、限りなく当時のバルサの形を残してもらった。
画像でも確認出来る様にロジャーのハーフムーンは意外に後方に斜行しているのだが、これが俺レベルでも比較的安易にバルサを操作できるマジックの細工なのかも知れない。
そして、そのフィンはお約束の真上から見ると完全にはみ出す様に配慮してもらっている。
肝心のレールの創り込みであるが、これに関しては現在のモダンボードに通じる様なシャープな仕上がりとなっている。
と云うのも、サーフボードがバルサの時代は削っている人間自体が生粋のサーファーであり、クラフトマンであった為、1960年代半ばに登場するヴィンテージの様な極太のレールは略存在しない。
ヴィンテージを熟知しているロジャーだからこその配慮が見え隠れしているディティールの一つである。
また、レール同様に配慮されているのがフラットデッキだ。
ピーターのバルサほどのデッドフラットではないが、フォームのPIGよりも明らかにフラットになったデッキには1960年代のベルジーのPIGの思想が見え隠れしてならない。
そして、なんと云っても、このディケールであろう。
現在、国内で入手出来るベアーと同じディケールが付くのだが、それらのコンセプトは180度異なるのではないだろうか?
サーフボードは突き詰めて行くとディケールではなくシェイパーに辿り着くと云われているが、このボードはそれらの両方を兼ねえてもらったボードである。
そんな、感慨深いボードには俺の名前と一緒にロジャーのサインを入れてもらった。
バルサの時代にはあり得ない事項であるが、これはこれで良しとしたい所でもある。
フォーム、バルサと2本削って貰って訳だが、実はもう1本構想があった。
しかし、残念ながらロジャーが病に倒れてシェイプ家業を引退した為にお蔵入りとなったのだが、その分、より一層これらのボードに愛着が湧くというものである。
思い入れ深いからこそ、仲間達と集う時には是非とも、こいつも一生に海に浸けてやりたいものである。
Keep Surfing!!!!