映画「ビッグウェンズデー」で監督のジョン・ミリアスが聖なる剣と称しているバルサボード・・・
劇中の冒頭からそれは登場し存在感を露わにする。
ベアーは、このバルサで「伝説の大波の乗る為に削っているんだ・・・」と、ピアに集まった子供達に語り掛けている。
(当時のシェイパーはラミネートも自身で行う様が演出されている)
最終的に、このバルサは主人公のマットに託され、そして、また次の時代を担うサーファーへと受け継がれて行く。
サーフィンを試みる様になって、改めて「ビッグウェンデー」を観てみると、如何にそのバルサの存在が大きいのかに気付かされる。
俺がバルサに恋を抱く様になったのは正にこの時だったと思う。
劇中において、そのバルサは3種類が確認出来る。
いや、実際にはもっとあったのかも知れない。
このバルサには様々な裏話がある様で、ある話しではフォームのボードにバルサの模様をエアブラシで描いてそれらしく見せているモノがあるとか・・・
確かに俺が所有する櫛本さんのボードのも限りなくバルサに見える様にエアブラシで加工が施されている事から、当時のハリウッドでも、それは、いとも簡単に細工が出来た事が推測出来る。
(確認し辛いがエアブラシでバルサの節が鮮明にあしらわれている)
ご覧の様にジャン・マイケルが軽々とバルサを小脇に抱えている事から、このボードがフォームであった可能性は否めない。
(いくらアメリカ人でもバルサを小脇には・・・)
また、ベアーのディケールが付かないボードがライディングシーンでは使われていたとか・・・
しかし、マットがポイントでバルサを抱えてる時に車にボードをぶつけるシーン等は、正しくバルサから発せられた音である事から、あの時だけは本物バルサだったのではないだろうかとか・・・?噂は絶えない。
(しかし、ハリウッドの音響技術ではバルサ音くらい出すのは容易い?)
劇中でのバルサはガンだった訳だが、そんなボードは俺には無用で、一生かかっても乗る事は出来ない事からPIGで創ってもらおうと密かに心に抱いていた。
そして、その想いは一人のレジェンドによって叶えてもらう事になる。
そう、彼の名はロジャー・ハインツ・・・
云わずと知れたベアー・サーフチームのメインシェイパーである。
ロジャーは他のハワイアン勢のシェイパーとは異なり、拠点がシールビーチであった事から古き良き時代のバルサを創ってもらうには彼以外は有得ないと早々から決めていた。
しかし、この時点では彼がどの様なPIGを削るのかも想像がつかなかった為、彼にコンタクトを取り、メールにてミーティングをさせてもらい、彼のPIGへの哲学を語ってもらい一先ずフォームにてPIGを創ってもらう事になった。
「頼むぞ!」
「付け焼刃の様なPIGだけは勘弁してくれよ!」
と、切に願いながら待望していたのが以前紹介したボードである。
このボードはヴィンテージレプリカとモダンを掛け合わせたかの様なPIGで、見た目はずっしりとしたレプリカの様な出で立ちだが、乗り味は俺の技量でも手応えを感じる程のフィーリング感が得られたボードでもあった。
生意気な云い回しになるが、「合格だ!」。
早速、ロジャーに乗り味の感想とバルサへの想いを伝え、制作に入ってもらう事を頼んだ。
そして、20年間追い求めていたベアーのバルサが遂に届いたのだ!
その詳細は次回の更新で綴ってみたいと思います。
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