1950年代のゴードン&スミス | Viva '60s SurfStyle!!!

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1960年代のカリフォルニアサーフスタイルに心を奪われた男の独り言。

あれは何年前の事だっただろうか?

 

 

あるマガジンに「1950年代の特集をしたいので取材協力をお願い出来ないか?」と持ち掛けられた事があった。

 

 

そのマガジンはサーフマガジンで無かったが、「サーファーとして登場して欲しい」と頼まれ、出させて頂いた。

 

 

誌面に一緒に登場するボードを厳選する為に数あるボードの中で、どのボードに白羽の矢を立て様うかと思ったが、結局はベルジー&ジェイコブスのバルサで落ち着いた。

 

 

しかし、今思えば、明確に’50年代モノだと伝わるバルサよりも希少なフォームの’50年代モノを露出すれば良かったと思い返す事も暫しある。

 

 

本日のボードは、そんな、希少感溢れる1950年代のフォームボードである。

 

 

ウレタンフォームのサーフボードはPIGが誕生した翌年の1956年にデーブ・スウィートによってリリースされた。

しかし、この時代のサーフボードは、まだまだバルサが主流であり、フォームの普及はゴードンク・ラークが手掛けるフォームを待たなければならなかった。

 

 

ゴードン・クラークがクラークフォームを設立するとフォームボードは一気にトレンドとなり、様々なメーカーからリリースされる様になる。

 

 

'50年代のフォームボードの特徴は、各レーベルのディケールからも確認出来るのだが、フィンの創り込みが非常にシンプルで、’60年代のPIGに見受けられる装飾された派手さが無く、良い意味で味わいがある。

 

 

このボードは、正にそれらを満たしており、紛れまなく1950年代に誕生した血統ある希少なPIGではなかろうか?

ゴードン&スミスのPIGである。

 

 

アウトラインは、この時代のトレンドを担ったベルジー&ジェイコブスのPIGを彷彿させるかの様な形状となっており、ディケールに至ってはヒンソンのレッドフィンでお馴染みのレッドを基調としていない初期のモノが付けられている。

 

フォーム自体は飴色に経年変色が成されている為、バルサストリンガーの無垢の色味が非常に映え渡る様に見えてならない。

レールは、この時代を象徴する様な丸太の様な創り込みが成されているのだが、ブームが到来した1960年代のPIGよりも洗練さが感じられる創り込みが見え隠れしている様に見えてならない。

 

 

また、フィンに至っては1957年に誕生したとされるリバース型のフィンが装着されており、1963年のフィルエドワードモデルの登場によって普及した事を考えると、この時代のリバース型は非常に希少ではなかろうか?

 

 

何もかもがパーフェクトな、このPIGにも一つだけ俺にとってはウィークポイントとなる箇所がある。

 

 

それは・・・

長さである。

 

 

1950年代のボードは、略大半が短く形成されており、俺の様なロングしか乗らない、いや、乗れない者にとっては大きな痛手である。

 

 

以前、紹介したデーブスウィートのPIG同様に、本来なら、このボードも墓場まで持って行きたい程の代物の1本である。

 

 

ヴィンテージボートの出会いは一期一会いである。

よく、「譲ってくれ!」と多岐に渡って相談を受けるが、ヴィンテージに限っては現状で放出するモノは1本たりとも無い。

 

 

仮に、俺自身が乗れない長さだとしても所有しているだけで心が満たされるのもヴィンテージの魅力だと思う。

 

 

もし、手放す時が来るとすれば、それは俺がサーフィンからドロップした時なのではと、昨今、強く思う様になって来た。

 

 

Keep Surfing!!!