Donner「HUSH-X」レビュー:エレキギター | ALTERNATIVE SPIN

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みなさまこんにちは、こんばんは。おじさんです。

 

 

新年最初のMy New GearはDonnerの新型トラベルギター「HUSH-X」です。

 

 
 

 
 

国内情報が少ないモデルのようですし、せっかくなのでレビューしてみたいと思います。

 

 

…Donnerさん、案件待ってますよ!

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  Donner HUSH-X

 

HUSH-XはDonnerから発売されたトラベルギター(旅行に連れていけるコンパクトなギター)です。


 

2022年に発売されたトラベルエレアコHUSH-Iのエレキ版ですね。サイレントギター然としたデザインがかっこいい。


 

左右のフレームはロックを開放しながら押し込む/引っ張ることで着脱できます。

 

 

 

 

ローレット加工されている部分がロックパーツ。ドライバーのビットを固定するアレと同じ構造です。


 

フレームを取り外すとスタインバーガーのヘッドレス程度のサイズになります。


 

それでは各部仕様を順番に見ていきましょう。



 

 

  ネック

 

 

 

 

マホガニー製スルーネックで、ネックスケールは648mm(ロングスケール)

 

 

ヘッドレスは全長を短くできるのでロングスケールを採用してもコンパクトさに影響は出ていません。

 

 

ネックシェイプはUを基調とした非対称タイプ。クラシックフォーム時の安定感とウェスタンの握り込みやすさがしっかり両立されています。


 

 

 

  ヘッド

 

ヘッド部には弦を固定するためのパーツがついています。

 

 

 

 

 
 

そう、このHUSH-Xはダブルボールエンド弦ではなく普通のエレキ弦が使えるんです。2重ねじ留めですっぽ抜け対策も万全。

 

 

カットした弦の先端が露出しない構造になっているのも嬉しいポイント。


 

 

 

 

  ナット

 

 
 

定番の0フレット仕様。弦間を維持する目的で設置されているナットは牛骨製です。妥協なし。

 


 

 

  フィンガーボード

 

フレットはクラウニング、レベリングどちらも丁寧に行われています。

 

そして何よりヤバいのは…

 

 

 

 

フレットエンドが球状加工されていること。流石にたまげました。コストどうなってんの…

 

 

指板はなんとコンパウンドラディアス。ネックからブリッジに向けて10"~14"の範囲でアールが変化しています。

 

 

指板材はHPL(ハイプレッシャーラミネート。木繊維を樹脂で固めたエンジニアリングウッドの一種)

 

 

エンジニアリングウッドはマーチンなどのメーカーでも採用されている加工性・安定性の高い素材。HUSH-Xの指板もきれいに仕上がっています。




 

 

  トラスロッド

 

 
 

トラスロットはブリッジ側にあります。金属製のロッドカバーがかっこいい。

 

 

ロッドタイプは左右どちらにも利く2WAYロッド。やや順反りしていたので軽く締め込んだのですがスムーズに動いてくれました。

 

 

 

  ピックアップ・コントロール

 

 
 

PUはフロントがシングルコイル、リアがハムバッカーのSH構成。シングルの方はアルニコVマグネット採用とのこと(ハムは?)

 

 
 
 

ピックアップ切り替えはこの小さなセレクタースイッチで行います。フロント・ミックス・リアの3WAY。


 

コントロールは2連1個で内側がトーンノブ、外側がボリュームノブになっています。

 

 


 

 

  ブリッジ

 

 

 

ブリッジはスタインバーガーの影響が色濃い重厚なハードテイル。ブロックサドルなことも相まって快適にブリッジミュートできます。

 

 

ペグは限界まで長め太めにデザインされておりヘッドレスの中でも回しやすい部類といえます。ローレットの深さも適切です。

 


 

 

  ヘッドホンアンプ

 

HUSH-Xには夜間練習用の簡易ヘッドホンアンプが内蔵されています。実質サイレントギター。

 

 
 

 

 

ピックアップの信号を増幅するだけの古典的なアンプですが非常に良いクリーンサウンドに調整されています。キャブシムなしとは思えない仕上がり。

 

 

AUX-INがあるのでメトロノームや音楽プレイヤーに合わせて練習することもできます。

 

 

ジャック横のスイッチはモード切り替えスイッチ。

 

 

これを「アクティブ」にするとメインのアウトプットジャックからAUXの音が出力されるようになります。

 

 

つまりギターアンプに「HUSH-Xプリアンプのクリーントーン」と「AUX-INの音」を入力できるようになるわけです。

 

 

AUX-INがなかった時代のアンプを使ったりクリック音をアンプから鳴らしたいときに重宝します。

 

 

ちなみにこのアンプボックスはメンテ用の工具入れも兼ねています。旅行先でのメンテナンスを軽視していない素晴らしい仕様。

 

 

 

  使用感レポート

 

スタインバーガー系ヘッドレス同等すっきりとしたサウンドです。肉が少ないのでボディ全体で鳴るものではありません。

 

 

フロント・リアとも中程度の出力。クセがなくエフェクター乗りが良い。足元で歪みを作る人とは特に相性が良いと思います。

 

 

ネックの握りやすさは前述の通り。ただ指板フチがロールドエッジじゃないので人によっては実寸法よりも太く感じるかもしれません。

 

 

ストラップピンの位置も適切。ちゃんと弾きやすい角度で安定します。フレームの重さを活かす重心の取り方が出来ている証拠ですね。

 

 

フレーム形状も良く出来ていてレッグレストを取り付けたヘッドレスよりもずっと弾きやすい。金属製なので寒い部屋で抱えるとかなりひゃっこいのが泣き所(笑)

 

 


 

  新星にして名作

 

HUSH-Xの出来の良さは常軌を逸しています。この仕様・この価格でHUSH-Xに並ぶビルドクオリティのギターは見たことがありません。

 

 

これまで3桁に迫る数の楽器を買ってきましたが「お値段以上度」に関してはこのHUSH-Xがダントツトップです。お世辞抜き。本当に素晴らしい。

 

 

ハズレ個体を引かない限りHUSH-Xを買って「値段なりだな~」と感じることはまずないでしょう。

 

 

しかもですよ。本体の他に

 

 

・ピローつきの肉厚ソフトケース(持ち手アルミ)

・ストラップ

・クリップチューナー

・シールドケーブル

・自社製ジャズ型ピック(大中小3枚)

・交換用の弦

・9V乾電池

・カナル型イヤホン

・クリーニングクロス

・予備のレンチ

 

 

↑が付属してきます。一体どういう豪華さなんだ。

 

 

 

こうなるとスーパーストラトやメタル系のモデルも欲しくなってくるなあ。これらはさらにリーズナブルなランクなんですがちょっと珍しいカラーやボディシェイプを採用してて面白いんです。Donner、興味が尽きません。