Photogenic ST-180 初心者向けギター レビュー | ALTERNATIVE SPIN

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元東日本ヨーヨーチャンピオンのブログ。スキルトイのレビューや楽器ネタを書いています。レビューのご依頼はスキルトイ情報サイトZESTのフォームからお願いします。

こんにちは、こんばんは。おじさんです。
 
 
私事ですが先日誕生日を迎えまして。
 
 
 
なんとフォトジェニックのエレキギター初心者セットをプレゼントで頂いてしまいました。初心者セットまるごともらったのなんて初めてだよ!!!
 
 
予想外のビッグプレゼント。せっかくなのでレビューしてみたいと思います。「現代の」フォトジェニはいったいどうなっているのでしょう。楽しみですね。
 
 
※この記事にはラフな表現が含まれます。安ギターオタクの愛がこもった言葉として受け取ってください。
 
 

 

  Photogenicとは

 

Photogenic(フォトジェニック)はキョーリツコーポレーションが長年に亘って販売しているエントリー向け楽器ブランドです。
 
 
「フォトジェニック(写真写りが良い)」という名前の通りルックスこそそれっぽく仕上げられているものの、楽器としての品質は高いとは言えず「安物買いの銭失い」を体現したようなギターという評価を受けることもしばしば。
 
 
私がかつて手にした個体も、
 
 
・トラスロッドが利かない。
 
・すり合わせもクラウニングも適当。
 
・爆音ノイズ。
 
・その日の気分で動きが変わるマシンヘッド。
 
 
など酷い有様で、直す術を持たない私はハードオフにドナドナしたのでした。
 
 
しかし。
 
 
そんなフォトジェニックにも当たりと言える個体が存在します。今のリペアちからがあればそこそこのギターに仕上げられるかもしれない。
 
 
いつか買おう。そう思っていた中でのバースデープレゼント。もう嬉しすぎます。
 
 
 

 

  製品仕様

 

Amazon販売ページによるとST-180の仕様は以下の通り。
 
 
ボディ材:ソリッドウッド
 
無垢材のことですね。…木の品種は??
 
 
ネック材:メイプル
 
定番の材です。切り出しは板目。
 
 
指板材:エンジニアリングウッド・22F
 
エンジニアリングウッドとは木質材料(木を原料として接着剤などで固めたもの)を使い目的の強度・特性に仕上げたマテリアルのこと。
 
 
加工品だと毛嫌いする人もいる材ですが、無垢材よりも安定した物性を持つ優れた材です(ちゃんと作られていれば)
 
 
モーリスのような有名メーカーをはじめ楽器店PBのギターなど採用実績は少なくありません。適当な木を染めて紫檀に見せかけたなんちゃってローズウッドなどよりはずっと良いチョイスだと思います。
 
 
 
ピックアップ:フォトジェニックシングルコイル
 
オリジナルピックアップのようです。ほんとかな…
 
 
その他パーツ構成はストラトキャスターを踏襲しています。
 
 

 

 

  各部チェック

 

 

 

 
格段にオシャレになった新ロゴ。個人的にはいいと思います。スマートなヘッド形状は現在。
 
 

 

 

 

ガバスカ簡素なマシンヘッドからSquierなどに使われるレベルのしっかりしたクローズ系に変更されています。偉い偉い。実用に耐える精度で動作してくれます。
 
 
 

 

ナットは樹脂系。実測3.5mm x 43.2mm。溝切りの精度、深さともに適切ではありません。あとで整形or交換しちゃいましょう。
 
 

 

 

噂のエンジニアリングウッド。均一で端正なルックス。
 
 

 

 

フレットは2.4mmのミディアムジャンボ。高さは1.2mm程度。

 

 

フレットエッジは…引っかかりゼロ。ちゃんとタングを切ってから打ち込んでパテで埋めてあります。エンド処理も切りっぱなしじゃない。これすごいと思います。
 
 

 

 

側面後方から見ても飛び出しゼロ。正直めちゃくちゃ驚いてます。有名な他社エントリーモデルでもこれより下の品質の仕上げはたくさんあります。
 
ちなみにネック形状は薄めのC寄りDシェイプといった感じ。指板アールは12R。
 
 

 

 

3プライのピックガードに搭載されたシングルコイルピックアップ。ピックアップ高はけっこう適切な高さに揃えられていました。
 
 

 

 

コントロール。5WAYスイッチはなかなか小気味よい操作感。ポットはちょっとユルめ。ボリューム奏法をしない人はグリスを足したり交換したほうがいいかもしれません。
 
各値はボリュームがB250kΩ、トーンがA250kΩ、コンデンサが0.047μF。
 
 

 

 

 
6点留めシンクロナイズドトレモロに70sタイプっぽいサドル。ピッチは10.5mm。弦高とオクターブピッチはガバガバで、スプリングハの字掛けトレモロはベタ付けでした。

ここは普通に調整すればOK。6弦2.0mm、1弦1.75mmまで下げられました。
 

 

 

ネックプレートはクッションつき。これがあると塗装や木部にプレートが食い込みにくくなります。安ギターで多用されているのは流れ作業でのクラックを防ぐ目的があるのかなと思ったり。
 
 
 

 

  使用感レポート

 

サウンドはまさにストラト系。全ポジションでストラトらしい変化を見せてくれます。

 

 

トーン傾向はややハイ寄りでローパワー。ストラトなのにボワっとしてる安ギターより使いやすくまとまってます。このあたりはいじり甲斐がありそうですね。

 

ノイズ量はエントリークラスのストラト系として平均レベル。コイルとキャビティの両方をシールディングすればストックのままでもそれなりにノイズを減らせそうな雰囲気。

 

 
幅広のネックはひとによってはやや大きいと感じるかもしれません。しかしそのぶん弦落ちしにくく、ビブラートも大きくプレイできます。
 
 
フレットの処理が丁寧なのはポイント高し。きれいにすり合わせされています。オクターブ調整すればピッチもしっかり合います。
 
 

 

  今のST-180は想像以上に良いギター

 

 

 
友人の好意で突然我が家にやってきたST-180くん。
 
 
あくまでこの個体の話ですが、古い時代のような致命的欠陥はなく、ちゃんと現代の安ギター水準に追従している製品でした。高品質なアンプに繋げばそれなりのサウンドが鳴ります。 
 
 
今はリプレイスメントパーツもリペア用品も多種多様に存在しますから、自分でちょちょいと手を入れてやれば長く付き合えるギターになってくれるでしょう。
 
 
優先的に手を入れるべきなのはナット。ここ以外はストックのままでもいけます。
 
 
 
 
プレゼントしてくれた◯◯さん、ありがとうございました。またひとつ魅力的なおもちゃが増えてニッコニコです。たくさん弾いて、ボロボロになるまで付き合ってもらいますニヤリ