ハクアリアム -2ページ目

ハクアリアム

珀亞が気まぐれに更新するブログ。


文化祭の出し物決め。
それが私の一番憂鬱な時間だ。

私の名前は如月茜。
このクラスの委員長をしている。

去年もクラスの委員長をしていた私は、委員長という役割に誇りを持っていたし、何よりやりがいを感じていた。

しかし、去年の文化祭の出し物決めの時、なかなか意見が纏まらず、終いには男子が喧嘩を始めるわ女子は雑談を始めるわで、大変なことになってしまったのだ。

男子の方の委員長だった子も、これはお手上げだと言わんばかりの態度で、私はもうどうしたらいいのかわからないという状況になってしまっていた。

だから、私は文化祭の出し物決めが大嫌いなのである。


だが、委員長という仕事をしている以上やらないわけにもいかないわけで。


「えー、では今年の文化祭の出し物を決めたいと思います。何か意見はありますか?」


私がそう言うと、もう一人の委員長である一十木音也が手を上げた。


「はいはいはい!猫ちゃんとのふれあい動物園とか!」

「却下で」


教室が笑いに包まれた。

なによ、猫ちゃんとのふれあい動物園
って。
そんなの小学生以下の子しか来ないでしょ!

あぁ…今回の男子委員長もあてにならないわ……。
また私がなんとかしなきゃいけなくなるんだ……。
最悪……。


「何で!?そんな即答で却下しないでよ茜ちゃん!」

「そんな幼稚な出し物、聞いたことないし。絶対お客さん来ないよ」

「そんなことないって!
少なくとも俺だったら行くもん」

「そりゃ、一十木くんは幼稚だからね」

「……俺…幼稚…」


一十木くんはシュンとして、教室の隅っこにうずくまってしまった。

あぁもう面倒くさい!
もういいわ。私だけで何とかしよう……。


「えーと、じゃあ他に何かありませんか?」

「はい!焼き鳥!」


とある男子がそう意見を述べた。

「おぉ~」と男子群から歓声が上がる。


「焼き鳥ですね。他、ありますか?」


すると、今度はとある女子が


「クレープ!」


と言うと、「いーねー」と女子群からの歓声が。


………嫌な予感がしてきた。


それからも意見は色々出てきたが、意見が出るにつれて嫌な予感は増していった。


なぜなら、

男子は肉系の食べ物。

女子はスイーツ。

完全にそう分かれてしまっていたからだ。


段々、教室の雰囲気が悪くなっていくのがわかる。


「如月さん!候補にワッフルも追加して!」

「はぁ?ふざけんなよ!そんな甘ったるい物ばっか食ってるから太るんだよ!おい如月、ホットドック追加!」

「ちょっと、また肉じゃない!肉焼くと油跳ねるから嫌なのよ!」

「それがロマンだろーが!わかれよ!」

「わかるわけないでしょ!そんなちっぽけなロマン!」

「んだとコラァ!喧嘩売ってんのか!?」

「ちょっと、みんな静かにしてください!」


私がそう言っても、騒ぎは一向におさまらない。

あぁ、だから嫌だったのに……!

唇を噛み締めた。

私は纏めれない…こんなの。
どうしたらいいの!?わかんないよ!




「ねぇ、みんな。ちょっと待って!
俺にいい考えがあるんだけど」




「………?」


誰が喋ったのだろうと思い見渡すと、先ほどから教室の隅でいじけていた一十木くんが立ち上がっていた。

みんなも一十木くんの突然の言葉に興味を惹かれたようで静かになる。


「なんだよ一十木、いい考えって…?」


ある男子がそう聞くと、一十木くんは教壇まで歩いてきて。


「猫耳喫茶店!」






そう言いながら、どこからか猫耳カチューシャを取り出して自分の頭に装着した。


「…………は?」


私は思わず聞き返してしまった。
みんなもポカンと口を開けている。


「だから、猫耳喫茶にしようよ!
だって、喫茶店なら肉類もスイーツ類も出せるでしょ?
どうかな?」


「…………………」


一瞬静まり返る教室。

そして、一気に歓声が上がった。


「おぉ!いいなそれ!」

「それだったら、まぁ、納得してもいいわね」

「じゃあ、猫耳喫茶に決定だな!」

「そうね!じゃあ、役割分担も決めちゃいましょうよ。私たち女子はスイーツ担当でいいわよね?」

「じゃあ俺らは肉類担当だな!
せっかくだし、肉とスイーツ以外の物も入れねぇ?」

「んー、じゃあ例えば……」




私は呆気にとられてその光景を見ていた。

こんな簡単にみんなが纏まってしまうなんて……


「ふー、一件落着!」

「えっと……、一十木くん」

「ん?どうしたの茜ちゃん」

「なんか………ありがとうね」

「……!
……へへ、どういたしまして」


私がお礼を言うと、一十木くんは少し照れた様子で頬を掻いた。

私も一十木くんを見習ってみんなを纏めないとな、と思った。



ところで。



「ところで、一十木くん」

「ん?」

「なんで『猫耳』喫茶?」

「あ、だってほら、俺猫と戯れたかったのに却下されちゃったから、せめて自分が猫になろうかと」

「…………………」

「……茜ちゃん?」

「一十木くんって、思考回路幼稚」

「ガーン」


一十木くんは再び教室の隅にもどってしまった。

ちょっと悪いこと言ったかな、なんて思ったけど、事実を言っただけだから私は悪くないよね、うん。



まぁ、一十木くんが幼稚なのは確かだけど……

尊敬できることもあるなって、思ったりもしたよ。


調子に乗るだろうから、絶対言ってあげないけど!



終わり



*イラスト提供
るみこ。@巴衛をください、切実に 様