『野菜の美味しさ際立つ!東京産野菜たっぷり中太巻き&飾り巻き寿司講座第2弾』のタイトルどおり、「野菜の美味しさ」は、名子先生のように、その地を想い、生産者さんの気持ちを汲みたいという情熱があるからこそ際立つんだということを実感する講座となりました。
実は、このひとつの講座にも、講座全体の構成にも物語がありました。
その物語は、ここから始まりました。
https://ameblo.jp/vege-fru-commu-tokyo/entry-12492447001.html
講師は、巻寿司特任大使であり、江戸東京野菜コンシェルジュの八幡名子さん。
生産者さんの思いと、地域の伝統を一本に巻き込めるのが魅力だとおっしゃる名子先生が生み出す巻寿司は、デザイン性が高くておしゃれで夢があって、しかも美味しい!
名子さんは美大ご出身ということもあり、魅せ方際立つ!だから男女問わず、ファンが多いのです。
昨年6月30日の講座では、七夕をテーマに名子先生のデモンストレーションを主体に進行しました。でもこれは第二弾があるという前提のもと構成されていたんです。
この企画者はコミュニティTOKYO役員の上原恭子さん。まずは名子さんワールドに触れてもらって、みんなで巻くのは次回のお楽しみ。この半年のあいだにも物語が動いていました。
私たち野菜ソムリエコミュニティTOKYOは、東京の農業を応援しています。そのなかで、
今回は、「とことん東京にこだわりたい。使う食材すべてを東京産で」という名子さんの熱い想いと運営側の私たちの意向が合致し、巻寿司に欠かせないお米からの確保が始まりました。
お米は、八王子市にて合鴨農法で栽培している澤井農場さんのもの。
昨年8月入ってすぐに澤井農場さんのところへ見学とお願いをかねて、主催メンバーである上原さん、森田哲也さん、わたくし若林とでご挨拶にうかがいました。
現地コーディネートをしてくださったのが「ゆっくり農縁」生産者の石川敏之さん。
石川さんが作る野菜ももちろん、今回の一本の巻寿司の中に加わっています。
名子さんはお盆の時期に澤井農場さんのディナーイベント「フレッシュテーブル」に上原さんと参加されました。
そのとき、ミラクルが起こったといいます。それは、澤井農場さんの田んぼの向こうに虹が!しかも、二重の虹。この時期には、合鴨たちはお仕事を終えもう居なかったのですが、あのときの風景が忘れられない・・・。
イベントがはじまる三週間前、飾り巻き寿司のデザインが決まった旨、名子さんよりチームに連絡が入りました。
題名『合鴨ちゃんと虹~澤井農場さんで見た風景』
あのとき、合鴨ちゃんはもういなかったけど、虹の下で合鴨ちゃんが居る面影を重ねてのデザインにチームみんなで感激しました。
田んぼと虹(緑の部分)は、西東京市 矢ヶ崎宏行さんの「ごせき晩生小松菜の葉の部分」
虹(オレンジの部分)は、石川さんの「内藤カボチャ」と
八王子市 浜中俊夫さんの「ニンジン」です。
それに八王子の直売所で求めたという「赤ダイコン」。
飾り巻き寿司のほかにもう一本。中太巻き寿司も巻きます。
八王子の浜中さんの「ノラボウ菜」「サトイモ」「ニンジン」
ノラボウ菜は、黒ゴマと醤油で味付けして、さらに美味しさを一工夫。
それとこの時期が一番美味しい矢ヶ崎さんの露地のごせき晩生小松菜の茎の部分。
澤井農場さんの希少価値あるお米は、ほとんど嫁ぎ先が決まっていたのですが、私たちのために5.5㎏をお譲りくださいました。森田さんが玄米として預かり、大切に保管。イベント実施前に精米くださって、それを森田さんの奥様が順次炊いていくというご家族まで巻き込んでのチーム連携のイベントでもありました。
さて、今回は、森田さんが組合長を務めておられる中里通り商店街振興組合の中里会館をお借りしてのコミュニティTOKYO共同企画。森田さんは、お米はもちろん、「ごせき晩生小松菜」を当日早朝に矢ヶ崎さんのところまで受け取りに行き、名子先生も食材調達に奔走し、まさにすべての食材が「ご馳走」でした。
コミュニティTOKYOそして中里通り商店街からのお申し込みを多数いただきましたが、特にこの時期は直前のキャンセルが出やすいため覚悟の上であったものの、なんと!キャンセルゼロの満員御礼となりました。
当日は、木村えり子さんにもメンバーに加わっていただき、チーム協力し合い、下ごしらえも順調に進みました。
さて、いよいよ本番。午前と午後の部の各15名ずつ、総勢30名の参加者があつまり、
名子先生の巻き寿司講座のはじまりです。
森田さんのご挨拶、そして私からのご案内に続き、名子さんへバトンタッチ。
今回ご紹介する農産物のこと、生産者さんのこと、飾り巻寿司一本に込める想い、今回のデザインに至った経緯・・・。名子さんの優しい語り口に、参加者みなさんは静かに集中して聞き入ります。
私たち主催メンバーも名子さんの巻き寿司を習いたくて、交替で参加しました。
はじめに、中太巻きから教えていただきました。卵焼きを「合鴨ちゃん」の胴体に見立てて型抜き。残った卵焼きはどうするかといいますと、中太巻きの中におさめます。食材は無駄なく美味しくまるごと一本の中に入れる工夫に、名子さんの優しさを感じます。
みなさんと和気あいあい!巻寿司のコツに少し慣れてきましたよ。
さあ、タイトル『合鴨ちゃんと虹~澤井農場さんで見た風景』の飾り巻寿司を作ります。
東京産の海苔を、飾り巻寿司に合うサイズに折って切って巻いて。
一つ一つのパーツを丁寧に説明しながら作業が進められていきます。
最終的にどんな巻寿司に仕上がるかの形をイメージしながら作るのですが、少しずつパーツが増えていくと、「なるほど~!」おのおのに声をあげながら、私たちのアタマの中のイメージも形づけられていきました。
完成した飾り巻寿司をカット。最後にゴマを“目”に、「黄ニンジン」を“くちばし”にしたら完成!みなさん、はじめてとは思えないくらいの完成度の高さです。
これも名子さんのわかりやすいご指導があればこそ。午前の部で巻き寿司体験した森田さんは、午後の部の中里商店街の皆さんへ丁寧にサポート役に回っている姿も印象的でした。
「あとは日本酒を買って夜にいただきます」と嬉しそう話してくださった参加者もいました。また、小学三年の男の子も参加してくれましたが、はにかみながらも黙々と楽しそうにお父さんと一緒に巻いてくれました。後日談によりますと、留守番していたお母さんにプレゼントしたとのこと。喜ぶお母さんの姿に満足げだったそうです。こんなエピソードを聞けるのも運営冥利につきます。
巻き寿司はすべてお持ち帰りいただき、最後の締めは、森田さんの「高倉ダイコンの沢庵漬け」と「カブの浅漬けゆず風味添え」と、ほうじ茶。
森田さんより、高倉ダイコンの生産者さんは今やお二人しかいないという現状を伝えつつ、塩分濃度のこと、米糠のこと、今年は暖冬による温度管理と仕上がり度合いの難しさを感じたことも吐露してくださいました。
なお、ここでも今日に至る物語がありました。こちら!
https://ameblo.jp/vege-fru-commu-tokyo/entry-12433572112.html
東京の魅力を巻き寿司一本の中に込めることができる名子さんならではの伝え方は、本当に素敵だなあと感じ入りました。
上原さんも名子さんもおっしゃいます。これはチーム力あってこそ出来る講座だと。
野菜ソムリエコミュニティTOKYOは、これからもいろいろなかたちで、東京の生産者さんをみなさんとチームで力を合わせ応援していけたら嬉しいです。
企画運営そして総監督を担ってくださった上原さん、多大なご尽力をいただきました八幡名子さん、懐深く様々に計らってくださった森田さん、いつも強力にサポートくださいます木村さん。
そしてご協力いただきました生産者のみなさん。
中里商店街振興組合のみなさん、コミュニティTOKYOメンバーのみなさん。
素晴らしい時間を本当にありがとうございました!
レポート:野菜ソムリエプロ&TOKYO代表 若林牧子