こういう系の本は、必要としない人はたぶん一生必要としないだろうし、そうでなくともしっくりくるものを1冊くらい見つけられたらそれでいいと思います。僕にとっては昨年読んだ『The Untethered Soul』がすでにそれに当たるのですが、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)の『Mr. Morale & The Big Steppers』に著者のエックハルト・トール(Eckhart Tolle)がしばしば登場していたので、彼の代表作たるこちらを読んでみました。

 

 

 

 

「過去や未来に囚われると不安になるので現在に集中しましょう」「呼吸に集中して」「身体の感覚を楽しんで」などというのは、マインドフルネス瞑想のアプリのガイドを聴いていれば何万回も耳にするような言葉ですが、本著では方法論でなく、その裏にある考え方(という言い方が適切かは分かりませんが)を知ることができます。これを読んで

よし、俺はもう苦悩と決別した! いつだって〈思考〉や〈過去〉や〈未来〉じゃなくて〈今〉に意識を向けているから、心の平穏を手に入れている—いや、手に入れたんじゃなくて、元からそこにあるんだ。1分前でも1秒後でもない〈今〉に苦悩は存在するか? いや、しない。だから俺はもうenlightenedでconsciousな存在なんだ!

と言い切れればいいですが、なかなかそうもいかないもの。でも、心が思考に乱されたときにはいつでも意識を〈今〉に戻すことを繰り返すことで、そこに向かっていくしかないですね。いや、「向かっていく」っていうのもおかしいか。未来に理想があり、現在がそこへの過程だと捉えると、それは違うので。どこか外の世界から報酬を得ようとするのでなく、真の平穏はいつも己の内から抽出できることに気づきたいですね。

 

映画『マトリックス』(原題:The Matrix、1999年)でモーフィアスがネオに"You are faster than this. Don't think you are. Know you are."という言葉を投げかけていたのを思い出しました。

 

 

 

 

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6月は格闘技にうつつを抜かしすぎたので参加せずです。またボチボチ書いていきますね。