2020年ももうすぐ終わりですね。誰もがこれまでに経験したことのない一年を過ごしたことと思います。いま生きていてこれを読んでいる皆さん—僕なんかが評価できる立場にないことは重々承知ですが、今年本当によくやったと思います。残念ながら力尽きてしまってこれを読めていない皆さん—本当にお疲れ様でした。コロナ関係なく毎年のことですが、まずはその一言を言いたいです。
さて、恒例の年間ベストとかいうやつ、いってみましょうか。
MIDDLE SCHOOL VIBE AWARD
Trey Songz - Back Home ft. Summer Walker
昨年まで"HIGH SCHOOL VIBE AWARD"と名づけて設けていたこの部門ですが、今年は僕が中学生時代にあたる2002年の名曲=キャムロン(Cam'ron)「Oh Boy」をサンプルしたこの曲が気に入ったので"MIDDLE SCHOOL VIBE AWARD"としました。この曲においてはニュー・エディション(New Edition)の「If It Isn't Love」もサンプルされているんですが、どちらの取り入れ方も文句なしで素晴らしい! 12/29放送のJ-WAVE様『SONAR MUSIC』でもこの曲を選んだところ、あっこゴリラさんも空音くんも放送作家さんも大いに気に入ってくれたようで嬉しかったです☺️
HOT 16: BEST FEATURED VERSE
Roddy Ricch - "Real Life" (Ty Dolla $ign ft. Roddy Ricch & Mustard)
昨年の"SONG OF THE YEAR"のヒップホップ部門にマスタード(Mustard)とロディ・リッチ(Roddy Ricch)の「Ballin'」を選び、ロディのアルバム『Please Excuse Me For Being Antisocial』でも「High Fashion」が一番気に入るほど、このコンビが大好きな僕。そこに客演王=タイ・ダラ・サイン(Ty Dolla $ign)が加わるとなれば、最強と呼ぶよりほかにありません。そうしたなかで、この曲に関していえば、ロディはTy$を喰わんばかりの好ヴァースを披露してくれています。
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BEST MUSIC VIDEO
Big Sean - Body Language ft. Ty Dolla $ign, Jhené Aiko
『ポエティック・ジャスティス/愛するということ』(原題:Poetic Justice、1993年)のパロディであれば何でも好きな自分のために作られたかのようなMVでした(笑)! 特に郵便局のシーンでガムを噛むジェネイ・アイコ(Jhené Aiko)の仕草が本家のジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)演じるジャスティスそっくり! ビッグ・ショーン(Big Sean)とアイコの二人は、後段でも述べるとおり個々の活躍も素晴らしく、間違いなく2020年のベスト・カッポーです!
SONGS OF THE YEAR
今年はどれか1曲を選ぶとなると難しかったです💦 代わりに今年のプレイリストのリンクを以下に貼っておきますので、ご自由にお聴きください!
ALBUMS OF THE YEAR
今年も特に順位は付けず、リリース日順で10作品挙げていきます。
D Smoke, Black Habits
Image via @DSmoke7 on Twitter
「正直誰も知らないラッパー」ことD・スモーク(D Smoke)の、グラミーにもノミネートされているアルバム。この作品についてはTURNさんにレビューを寄稿したので、そちらをお読みいただければ幸いです。アルバムの尺が長かった時代に裏方をやっていたせいか、本作も近年にしてはボリュームたっぷりではありますが、内容は申し分ないと思います。特にお父さんに宛てた「Like My Daddy」は泣けるし、真面目だけど遊び心のある人が作ったアルバムという感じがします。35歳の彼が新人賞候補ということに違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、裏方としてインダストリーに散々貢献してきたのだから、このようなかたちで報われるのも悪くないのでは?と個人的には思います。楽しみですね!
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Jhené Aiko, Chilombo
Image via @JheneAiko on Twitter
いくつか別の場でも触れましたが、今年の個人的MVPは間違いなくジェネイです! もはやTy$と同じくらい「この人が客演にいるなら間違いない」というポジションを築いたのではないかと思いますし、本作では彼女がメインのアーティストとしても素晴らしいことを示してくれています。精神的スタミナに乏しい自分は人一倍、日々の生活の中に癒しを求めてしまいがちなのですが、今年は例年に増してその傾向がありました。そんなcrazyでdifficultな2020年という一年を乗り越えられたのは、間違いなくアイコのこのアルバムと腕立て伏せ、そして瞑想のおかげです。オルタナティブR&Bの境界を押し広げ続け、多くのアーティストに影響を与えてきた彼女が、この作品のグラミー賞最優秀アルバム部門ノミネートをもって、ようやく値する注目を得られたことには嬉しくなりました🥳
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Kiana Ledé, KIKI
Image via @KianaLede on Twitter
ティーンの時分からタレント・ショウやドラマ出演、さらにはYouTubeのカヴァー動画などで注目を集めてきたキアナ・レデ(Kiana Ledé)のデビュー・アルバム。アウトキャスト(Outkast)の「So Fresh, So Clean」をサンプルした「Mad At Me.」やザ・ノトーリアス・B.I.G.(The Notorious B.I.G.)の「Juicy」と同ネタ使いの「Labels.」などヒップホップ・ファンを唸らせる楽曲群から、ブランディ(Brandy)の「Have You Ever」使いの「Honest.」や「Attention.」など正統派R&Bまで、幅広く楽しめます。キアナのようにキャリアが早熟すぎるアーティストは、その後振るわなくなるパターンも少なくないように感じますが、少なくとも彼女はそのパターンに当てはまらないであろうことを証明したように思います。同じく1997年4月生まれで、カヴァー動画で名を上げたOlivia Escuyosも、これに続いてほしい!
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dvsn, A Muse In Her Feelings
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R&Bはどちらかというと甘党な僕にとって、明らかにいわゆる「トラップ以降」のOVOっぽいドラム使いがありながら、しっかり甘いdvsnの本作は嬉しいご褒美でした。僕の中でのベスト・トラックは「For Us」なのですが、こちらについてはアボかどさんがこれ以上ないくらいに的確な言葉で表現してくださっているので、ご確認ください。いろんな客演ゲストとの絡みが秀逸で唸らされながらも、終盤にこういう曲がくると「これだよ、これ」と思わずにはいられませんでした(笑)。
Mozzy, Beyond Bulletproof
Image via @XXL on Twitter
もう、なんというか、Gとはこのこと! プレイリストにも収録した「Body Count」や「Boyz To Men」のようなハードなGシットから、「Bulletproofly」や「The Homies Wanna Know」のような哀愁系Gシット、そしてファボラス(Fabolous)の同名曲使いの「Can't Let You Go」のようなGだって恋したい系Gシットまで、モジー(Mozzy)というラッパーの魅力が余すところなく堪能できる一作です。周囲の人間にしか伝わらないのではないかと思うようなストリート・スラングをふんだんに用いたリリックも魅力です。
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A.Y.A & Drivxs, Mercury Retrograde
Image via @glamayaka on Twitter
A.Y.Aさんが『HIPHOPで学ぶ英語』のインタビューに出演してくれたから義理で『Mercury Retrograde』を選出しているのではありません。『Mercury Retrograde』が年間ベストの1作に選びたくなるくらい素晴らしい作品だったからA.Y.Aさんを『HIPHOPで学ぶ英語』のインタビューにお呼びしたというのが正解です。トキシック・マスキュリニティやフレックスといった題材を扱い、時にチクッとくるような痛烈な部分もありながらも、ついてこれない人間を排斥するのでなく、本人も仰るように「誰のことも置いて行かない作品」。A.Y.AさんのTwitterのバイオには"Alternative."とありますが、ユニークなサウンドとリリシズムをもって、本当にオルタナティブな視点をもたらしてくれる作品だと感じました。
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LEX, LiFE
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今年の日本語のヒップホップ作品で個人的にNo. 1です。多種多様なゲストに彩られながらも本人がまったく喰われていない、本当に凄い(語彙力)アルバムだと思いました。来年は日本語の作品もより多く聴いて、ちゃんとした言葉で語れるようになりたいな。
Wolftyla, Wolf in Color
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Instagramで見つけて可愛い子だなと思い、「どれどれ、作品も聴いてみるか」と思って聴いたらぶっ飛ばされたのが本作です。ウルフタイラ(Wolftyla)ちゃん、まじパねぇっす。このファンキーなトラック×可愛い系の声の組合せ、これまでにあまり無かったのでは? 個人的ベスト・トラックは…と思いながらライブラリを見返すと、なんと6曲中5曲に♡マークが付いていました(笑)。そうとはいえ、この作品はわずか6曲入り17分のEPにすぎません。彼女のフルレンクスの作品を来年以降聴けることが、待ち遠しくてたまりません!
Big Sean, Detroit 2
Image via @BigSean on Twitter
もはやベテランの域に達しつつあるショーンのアルバムは、豪華ゲストを迎えて気合十分の内容。ハードでラップ・ラップした「Deep Reverence」や「Harder Than My Demons」から、メロウな「Body Language」や内省的な「Everything That's Missing」まで、1時間をゆうに超える長さの超大作。若造たちのようにデラックス版をリリースしてストリーミング回数を稼ぐでもなく、一本でバチッと勝負してくる姿勢に惹かれましたし、なにより内容が骨太で素晴らしかった! デトロイトから多数のラッパーを招いた「Friday Night Cypher」においても、個人的にベストなヴァースをカマしていたのはショーンです。ヒップホップを聴き始めた頃に出会い、年齢も1歳違いの彼が、こうして今も活躍してくれているのは嬉しくなっちゃいますね。
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REASON, New Beginnings
Image via @reasonTDE on Twitter
この作品についてはTURNさんのレビューで十分に語り尽くしたので、そちらをご一読ください。TDEの箱推しとしては「やっぱりいいラッパーをサインするなぁ、TDE」と思わされる充実の内容です。どの曲も素晴らしいですが、特に好きなのは「I Can Make It」から「Flick It Up」までの流れと終盤の「Westside」および「Gossip」です。そういえばリーズン(REASON)、Twitterで相互フォローなんですよね! そのうちインタビューとかお願いできないかな…。
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というわけで
皆さん、2020年お疲れ様でございました。皆さんにとってもなかなかに大変な一年だったのではと思いますし、僕にとってもそれは同じでしたが、個人的にはYouTubeで『HIPHOPで学ぶ英語』を始められたのが最高でした。
いつも一緒にコンテンツを考えてくれているYOU-KIDとスタッフの2人、ゲスト出演してくださったヨシダアカネさん・アボかどさん・DJ KOTA a.k.a. K-LARKくん・Abyちゃん・DJ RINAトン・J.Lamotta すずめちゃん・SUBLYRICSのShinya Yamazakiくん・DJ YUMAさん・飛鳥ダンススクールの皆様・Ucca-Laughさん・DJ CAPITAL-Tさん・XXS MagazineのRiku Hiraiさん・Shama StationのShamasさん・A.Y.Aさん、そしてなにより日頃ご覧くださっている皆様に感謝、感謝です🙏 まだまだ弱小チャンネルではありますが、コンテンツとしては面白いものを提供できていると自負しているので、この勢いを落とさず、より多くの方に届けられるよう邁進してまいります🔥
そして、本業(?)のライターのほうも来年はレベル・アップしたいところ! 特に、機会があればインタビューをどんどんやりたいと思ってます! ソーシャル・メディアで相互フォローのSiRとリーズンにも(今ある関係を壊さないよう細心の注意を払いつつ)突撃したい! 日本でも絡みたいアーティストの方々がいっぱいいるので、一つひとつの機会を大切にやっていきます!
それでは、よいお年を🙏🎍✨