7月28日、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)はリアーナ(Rihanna)をフィーチャーした「LOYALTY.」のミュージック・ビデオを公開した。同曲は、ダブル・プラチナムを達成したアルバム『DAMN.』からの4曲目のシングルとなる。

 

 

同MVでは、カンフー・ケニーとバッド・ギャル・リリが、いくつかの危険な状況をくぐり抜ける様子を見ることができる。K・ドットの最新作で最も人気がある曲の一つの映像を目にし、ファンたちは歓喜した。デイヴ・メイヤーズ(Dave Meyers)とザ・リトル・ホーミーズ(The Little Homies。ケンドリック・ラマーとデイヴ・フリー)が監督した同作品は、早くも年間ベスト・ビデオ候補と言っても過言ではないだろう。ケンドリックの熱狂的なファンならずとも、再生ボタンを繰り返しクリック(またはタップ)してしまうのも無理はない。以下が、気付けば「LOYALTY.」のMVを複数回観てしまう7つの理由である。

 

 

1. LAのもう一つの顔

コンプトンで生まれ育ったケンドリックは、ちょうど彼の大先輩であるドクター・ドレーが「Nuthin' But a G Thang」のミュージック・ビデオでそうしたのと同じように、「King Kunta」のMVで自らのホームタウンに敬意を表した。しかしながら、そのTDEのラッパーがリアーナとのランデブーの場として選んだのは、ダウンタウンLAだった。これにより、ビデオの洗練された雰囲気が演出されている。これを十分に楽しむには、1回観ただけでは足りないだろう。

 

2. ダンサーの誘惑

MVの序盤で、ケンドリックは椅子に深く腰掛け、露出が激しい多くのダンサーに囲まれている。これだけ多くの魅力的な女性がMacBookのスクリーンに映っていれば、そこから目を逸らすのは到底不可能だろう。彼女たちは間違いなく、あなたを「LOYALTY.」の世界へと誘い続ける。しかし、キング・ケンドリックは、その誘惑から逃れる最良の術−目隠しすること−を知っていたようだ。

 

3. バッド・ギャル・リリがマジでバッド

上述のダンサーの誘惑を運良くすり抜けようとも、リアーナのようなバッドな(本当にバッドな)ギャルを目の前にすれば、今度はそうはいかないだろう。「Work」で有名なその女性シンガーは、今回も魅力を振りまいている。彼女はケンドリックの忠誠心を様々な方法で試す。コンプトン出身の168cmの青年が、自分よりも大きな男と闘っている時でさえ、彼女は薄ら笑みを浮かべるだけなのだ(あの横目づかいは必見である)。

 

4. ウォレット・チェーン

アラサー世代なら、ウォレット・チェーンを何かに引っ掛けて辺りをめちゃくちゃにしてしまった10代の思い出があることだろう。ウォレット・チェーンは長らく表舞台から姿を消していたが、ケンドリックが本MV内で蘇らせている。そのさまは古き良き時代を彷彿とさせ、何度でも観たくなってしまうほど心地よいものだ。

 

5. ストリート・シャークス

子供時代に『ストリート・シャークス』を観ていたのであれば、本ビデオに登場する鮫を見るのも楽しいだろう(日本で生まれ育った筆者は、残念ながらその悦びを知らないのだが)。

 

6. 邪悪さか弱さか

2分35秒時点で、2人のケンドリック・ラマーの存在に気付くだろう−一人は黒いスーツに、もう一人は白いスーツに身を包んでいる。前者はマフィアのように葉巻を吸いながら、後者を尋問するが、彼は決して屈することなく邪悪なケニーに歯向かい続け、とうとうビニール袋の中で意識を失ってしまう。このシーンは「HUMBLE.」のライマーが持つ忠誠心を窺わせるばかりでなく、『DAMN.』全体を流れる「邪悪さか弱さか(wickedness or weakness)」というテーマを想起させる。そのコンセプトを理解するには、何度も映像を観る必要があろう。

 

7. ロイヤルティ、ロイヤルティ、ロイヤルティ

どんな場面に遭遇しようと、ケンドリックとリアーナは互いに忠実であり続ける。彼らの旅のハイライトは、ビルの屋上で、そのバルバドス出身の歌手がマン・マンの右手にぶら下がっている場面であろう。「俺を信じて」とだけ彼は彼女に伝え、互いに微笑み合う。至極シンプルである。もしも「LOYALTY.」の定義を見失っているのであれば、ドーナツ・スピンを繰り返した後に交通事故を笑い飛ばす二人を見ればよいだろう。これだけ相手に忠実な誰かを見るのは気持ちがいいもので、だからこそ我々は彼らの旅路に何度も引き込まれてしまうのだ。