矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内のシェアードサービスセンター市場の調査を実施した。
1.調査期間:2010年11月~12月
2.調査対象:シェアードサービスを提供する主要事業者等
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
<本調査におけるシェアードサービスセンターとは>
シェアードサービスセンターとはグループ企業におけるグループ内の共通業務、主に人事、総務、経理などの間接業務を集約して実施する形態をさす。シェアードサービスはグループ本社が実施するケースや子会社を設立するケース、更に人事分野や経理・財務分野といった機能分野ごとに子会社化して運営するケースもある。本調査では主たる事業内容がシェアードサービスである事業者(グループ企業内子会社を含む)を対象とする。
【調査結果サマリー】
◆シェアードサービスセンター市場規模は2009年度3,335億円、前年度比5.8%減
2009年度のシェアードサービスセンター市場規模は前年度比5.8%減の3,335億円(事業者売上高ベース、外販を含む)であった。2000年以降、シェアードサービスセンターの設立が相次ぎ、参入事業者も増加傾向にあったが、リーマン・ショック以降の不況の影響を受け、同市場は縮小した。
◆設立後約10年を経て、シェアードサービスセンター事業者は一つの転換期を迎える
シェアードサービスは、親会社やグループ会社主導で展開されてきたサービスであるため、安定的な成長を確保できたものの、市場原理が働かず、適正な料金設定やサービス内容の充実、外部顧客を開拓するためのノウハウに乏しいのも現状である。課題の克服にはなお時間を要するものと考えるが、設立から10年を経て、順調に市場規模を拡大してきたシェアードサービスセンターは一つの転換期を迎えている。
◆2010年度はほぼ横ばいの3,340億円と予測
長引く不況はサービス料金の値下げ要請など、各シェアードサービスセンター事業者にとっても厳しい状況にあるが、2010年度はこうした影響も一段落すると考えられることから、3,340億円とほぼ横ばいで推移すると予測する。
→先日の人事サービス事業開発研究会のメインテーマでもあったシェアードサービス事業。ひとつの転換期を迎えている・・・とあるように、影の部分が目立つようになってきました。資本系派遣会社にとって、決して無関係とはいえないシェアード業務。次回の会合では、資本系派遣会社の今後の在り方について、あまり飛躍しすぎず現実的な路線で考察してみたいと思います。