夏の習慣それが善次郎さんの弟で、やがて夫となる小坂徳三郎だったのです。小坂家の軽井沢の別荘は街の上にあり、私のほうは下ですから、よく中ほどで落ち合いました。夕食後に散歩するのは別荘の人たちの夏の習慣で、夕暮れに街で偶然にあったふりをしてみたり。いつしか自転車で森の中を散策したり、ボートに乗って語り合ったりという仲になりました。徳三郎は活動的で喧嘩も強いスポーツマン。その男らしさに惹かれたのかもしれません。大学を卒業して朝日新聞の記者となり、戦争中は海軍主計中尉から少佐にもなりました。