ロアー・ミドルの出ついに彼女の堪忍袋の緒が切れた。「ちょっとダディ!何でそんな妙な顔をしてるのよ。それすごく悪い癖よ!何か気のきいたことのひとつもいってよ。たとえば居間の天井のコーニスがすごいとか、暖炉のタイルがすばらしいとか……何かあるでしょうよ」「おぉほんとうだ、なるほど立派なもんだな。暖炉もすばらしい」いわれて慌ててそれをオウム返しにするところが、いかにもアランらしい。ケイトにいわせると、ロアー・ミドルの出のアランにはこの家の価値の所在がわからないのである。