この本は、イロコイ族と言われる北米先住民が、その地に辿り着くまでの民族の移動のお話です。
彼らは自分たちの経験や学びを歌にして、口承してきたのです!!
アフリカで生まれたホモ・サビエンスは世界各地に広がりましたが、イロコイ族のこの口承伝はユーラシア大陸の東端から本格的に始まります。
飢えを常に意識しながら、
天候や災害の影響を大きく受けながら、
彼らは子供の子供の子供の・・・代まで安心して生活できる地を求めて移動します。
途中、色々な集団と出会い、すでにそれぞれに特徴があります。
優しかったり、乱暴だったり、臆病だったり、、
出会う中で、彼らは自分たちの特徴がわかっていき、彼らは自身を「歩く民」であり「学ぶ民」と自認していきます。
ユーラシア大陸からベーリング海峡を歩いて渡るパートは、ひとつのクライマックスだと思います。
どういう道具を使えば、
どういうルートを辿れば、
どういうタイミングで渡り始めれば、そして
お年寄りや子供がどのようにしたら渡れるか、、
知恵を出し合って、勇気を出して出発し、アメリカ大陸に到着します。
読み終わって、
例えば「年長者を大切にする」など、どの文化でも共通でありそうな道徳的観念も、命を保つために必要な最低限のことも最初は当然何もなくて、
それらが経験や学びによって編み出されていくものだということがとてもよくわかりました。
一ヶ月かけて一万年を旅しました。
日常に続いている、でも日常からかけ離れたこの本の世界を毎日少しづつ旅して、いつもの生活が新たな目で見えてくるようでした。
イロコイ族は、現在ニューヨーク州に保留地があるとのこと。
この本は、いわゆる有史以前で終わっているので、白人入植から現在に至る歴史にも興味が湧きました。この学ぶ民がどのような歴史を辿ったのか。。