前回お伝えしたのが全血輸血=追加融資でした。


今日は成分輸血=長期借換により止血を試みた実例を振り返ります。




私がバトンを受けた時、すでに末期的な状態にあったその会社には、

すでに莫大な借金がありました。その額約9400万円

資本金の9.4倍、年間売り上げの50%以上です。

これらの返済に、月々210万円が消えていくという、なかなか重い荷物です。



しかしひとつ救いがありました。この9400万円、4つの金融機関から

借りていたんですね。それも半分はプロパー融資。



不幸中の幸いです。理由は2つ

1.プロパー融資を協会融資(信用保証協会付け)に替えられる

2.どこか1つの金融機関に頼ることが可能




<プロパー融資を信用保証協会融資に替えられる>

これは借りる側からすると、利率は借りる時期次第ですし、

手間と手数料がかかるのでイマイチな話ですが、貸し手からすると

非常に魅力的な話です。


だって、今にも焦げ付きそうな会社へのプロパー融資を、

信用保証協会融資に切り替えることで、一気にリスクを吹き飛ばす

ことができるんですからね。



つぎに

<どこか1つの金融機関に頼ることが可能>

「や~銀行なんて信用ならんよ。。。」と思っている方、正解ですw。

ぃやぃや、そんなことは無く、しっかりとアメがあれば彼らはかなり

強力な味方になってくれますよ!

それが先に触れたプロパー→保証協会と、他行融資の切り替えです。


今回のケースでは、長期借換を目的として信用保証協会に申し込み、

その融資の窓口金融機関に色々と助けてもらいました。

もちろん、担当者はノリノリです。融資申込に必要な書類等の作成を

ホイホイ手伝ってくれます。本来は、これ反則だと思うんですけどねw。



そんなこんなで借換に成功し、結局は月々の返済金額を

70万円ほど削減することに成功しました!


や~大きい。これで安心して役員報酬がもらえますw。




今回の例は、事前条件があるので活用できる会社さんは多くないかも

しれませんが、ひとつ教訓があります。


よく言われる

「銀行は晴れの時に傘を差し出し、ドシャ降りの時には何も貸してくれない」

ってやつですが、これも銀行に与えるアメ次第ってことです。

つまり、必要無い時でも銀行が「借りてください」と言ってきた時には

少しでも応じてあげるのが得策かなということです。

支払い利息はイザ時のための保険料ということで。。。










前回お伝えしたような惨状 において、まず着手したのは
  • 止血:無駄な費用の削減
  • 輸血:現金借入
の2ルートです。当たり前ですが。

止血についてはブログの趣旨から逸れるので割愛しますが、
これで年間2000万円近くの削減ができました。
何やってたんだろ前任は、ホント。。。


さて、輸血には2パターンあります。
  • 全血輸血(血液の総量を増やすため)
  • 成分輸血(血小板製剤で出血を止めるため)

言い換えると次のように言えます。
  • 全血輸血=追加融資
  • 成分輸血=長期への借換え

今日はまず全血輸血=追加融資について振り返ります。

私の登板時には既に現金が枯渇しかけており、数ヶ月後の給与支払が危ぶまれるような状況でした。
(業種的に、人件費が最大の経費(製造原価扱い))
いくら止血=経費削減を急いでもタイムラグが発生するため間に合いません。
追加融資を獲得するのは生き残りのための必須条件でした。


いわゆる「セーフティネット」を利用して資金を調達したのですが、
一言で「セーフティネット」と言っても、大まかに2つに分けられます。
どちらともに中小企業庁が押し進めるもので、
①地方自治体のあっせん+信用保証協会+民間金融機関(以後 保証協会融資)
②日本政策金融公庫
によるものです。

この2つはどちらとも政府が「潰れそうな会社にドンドン貸せ!」言っているのでw、
潰れそうな会社で、ある程度売上の回復見込みが有る(少なくとも計画上は)ならば、まず借りれます。
ただ問題になるのが、その金額
重ねて言いますが、計画上は売上が回復する見込みを示すので、
最悪ケースを想定した額を申し込むと「そこまで要らないんじゃないの?」
減額されてしまう可能性が高いのです。
しかし現実は、最悪想定に近づいてしまうもので、出来る限りは調達しておきたいと考えますよね。


そこで私が利用したのは①信用保証協会と②日本政策金融公庫のコンボです(笑)
このコンボがミソ。どちらともに中小企業庁の号令で進める事業なのですが、
両者間は全く情報共有がなされていません
両者や民間金融機関の方はハッキリとは言いませんが、この仕組みを利用して
同時に2ルートからつまむ融資を獲得する企業は多いようです。

心配な方は、メイン金融機関の担当者に相談しましょう。銀行や信金ですね。
こちらはセーフティネットの利用にとても積極的です。
だって、自分達が今までプロパー融資してきた先が焦げ付くのを防げるのに加え、
自分達は全くリスクをとらずに進められる話なのですから。民間金融機関はホント~に現金なものです。
借りたうちの幾分かを、その金融機関がリスクを負っている融資の返済に当てれば、彼らは満足してくれます。
自分達の腹が痛まない方法なら、多少モラルに触れるようなこともシレ~っと教えてくれますから。

民間金融期間には素直~に話して、信用保証協会と日本政策金融公庫には余計なことを言わず、
ほぼ同時に融資申込を進めましょう。するとほら、最悪ケースを考えた場合の金額が引き出せます。
私はこの方法で、総資産の約50%に匹敵する5500万円を調達しました。
2年連続で資本金の倍以上の赤字を出し、債務超過に陥っている会社がです。






大量の出血が続き、すぐにでも輸血をしないと助からない
私が初めて経験した資金調達は、そんな一刻の猶予も許さない状況下でのものでした。

その会社はソフトウェアの受託開発を生業としつつ、大部分の稼ぎは技術者を派遣に近い(グレーな形で)送り込み人月で稼ぐという、どこにでもありそうな零細ソフト企業です。

基礎情報としては

・創業 - 平成3年
・資本金 - 1000万円
> 息が長い割には成長出来ていない、ジリ貧の典型的なパターンです


2007年度末の情報としては
・総資産 - 1億1千万円
・固定負債 - 9400万円
・純資産 - 1300万円
---
・経常利益 - ▲2100万円
> 2006年度までに積み上げてきた純資産のうち多くを、この年に吐き出してしまいました。これを次年度への投資としてとらえていたのですが...


2008年度は浮上しない訳にはいかないという前提でスタートしました。しかし黒転どころか赤字が拡大し、2008年の秋頃には、前年度を上回る赤字債務超過は避けられないという状況に陥りました。しかも、ちょうどその頃にリーマンショックが起こり、先行きは暗澹たるものだったのです。

この惨状において、私はその会社を任される事になりました。詳しい経緯は省きますが、役員でもなく、経営経験も無い私が、この完全に傾いた会社の再建をすることになったのです。今になってみれば、なぜ引き受けたのかと思いますが、当時は必死な思いで任務にとりかかりました。